jojuさんのブログ
★日銀の量的緩和殺し(付利、財出、円安、需給ギャップ
日銀:金融政策の現状維持を決定、8対1-景気判断を前進
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NOMMSQ6TTDS601.html
記事要旨
・ インフレ目標2%達成時期を延期(15年5月頃→15年度→16年度前半)
・ 景気回復基調を根拠に追加緩和せず
・ 基調が変われば速やかに追加緩和する
(=景気反落にならなければ追加緩和するつもりはない)
(以下、各エコノミストのコメント)
・ インフレ率の伸び悩みから、早晩、追加緩和に追い込まれる。
・ 基調が続くかぎり、目標達成期間がさらに先送りされ(政治圧力がなければ)追加緩和はしない。
(=景気回復がもの凄く弱くても、景気回復してる限り追加緩和せず、インフレ率2%にはしない)
・ 国債購入の技術的限界により量的緩和の継続は困難に。
・ 付利の引き下げも俎上に。
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景気回復基調は本当だろうか?
2015年1QのGDP成長率は、2014年10月末の追加緩和により前期比で上がったが、その前は追加緩和先延ばしでリセッションに陥っていた。
前期のリセッションとの対比で高成長になっただけで、2Q以降は、それがなくなり再び、低成長化する可能性が高い。
なにより、コアインフレ率、コアコアインフレ率とも依然0%近辺で、昨年の追加緩和は、インフレ率低下トレンド、デフレ突入を止める効果しかなかった。
明らかに日銀の量的緩和は不足、小出し、出遅れになっている。
それなのに日銀は、インフレ率の伸び悩みを原油価格低下のせいにしている。
これはウソである。
なぜなら、原油価格変動の影響を除いたコアコアインフレ率も0%近辺に下がっているから。
原油価格(原価)が下がろうと、景気、金回りが良ければ、物価(売値)は上がるもの(経営者、自営業者ならばこれは直ぐ分かるはず)
なぜなら、売れるものを、わざわざ安売りする商人はいないから。
原価が下がった分、安売りするのは、売れないせい、景気が悪いせい
インフレ率の低下は、原油価格低下のためでなく、日銀の通貨供給不足により金回り、景気が良くなっていないためである。
このように、日銀がデタラメな言い訳を続けているうえ、増税の悪影響を、円安(=量的緩和)に責任転嫁したり(実際、増税のなかった2013は円安進行でも景気上昇で、円安進行は景気上昇要因(詳細後述))、デフレ時代の低成長を基準に成長率や需給ギャップを論じて、今の弱い景気を正当化したり(ゆえにこれ以上の量的緩和は不要とか)、、、日銀委員やマスコミからも量的緩和、景気浮揚を抑える不可解な論説が出まくっている。
小出しで遅れた追加緩和を続ける限り、経済成長は弱く、GDPの拡大は緩慢で、対GDPでの日銀資産は膨張しやすくなり、量的緩和政策は困難化していく。
黒田日銀の意図はおそらく、そこにあるのだろう。
量的緩和政策をやりにくくして、インフレ率・景気を抑え続け、財政悪化状態を維持し続け、更なる増税推進につなげるのが黒田総裁(財務省主税畑出身)の本音と思う(最近の財務官僚OB発言から目標税率はたぶん20%超)
増税=役所の資金シェア増大=役所の権限・支配力増大、であり、景気抑制=財政支出増大=役所の権限・支配力増大である。
黒田日銀の狙いはそこで、国民益を考えているわけではない。
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付利の引き下げは、景気浮揚に効果があるか?
否
いかに付利を引き下げようと、景気が悪ければ、銀行の貸し付けは増えない。
景気低迷での貸し付けは不良債権と損失を生むから。
景気低迷ならば、マイナス金利にされても貸し付けは増えないだろう。
景気低迷での貸し付け損失は、せいぜいコンマ数%のマイナス金利より大きくなる。
付利引き下げは、日銀が通貨供給を十分化し、金回り、景気を浮揚させてこそ意味を持つ。
付利引き下げを根拠に、量的緩和を弱めるならば本末転倒である。
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財政出動は景気浮揚に効果があるか?
否
政府の財政出動は、国民の税金(もしくは税金を裏付けにした借金、国債)が元手なので、日銀の通貨供給量より圧倒的に小さい。
日銀が通貨供給不足にしてれば、いくら財政出動しても焼け石に水で、景気は上がらず、税収も上がらず、財政赤字、政府借金が膨らむだけ(これは1990年代に行われてきた経済政策)
そのうえ、日銀の(諸外国と比べた)通貨供給不足は、通貨高方向、円高方向に働くので、国内生産コストは海外よりも高くなり(ドルベース比較で)、国内生産の停滞、企業の海外シフト、設備投資・雇用・技術・ノウハウの海外流出、となる。
こういう状況で財政出動をやっても、公共事業依存経済、財政出動依存経済になり、財政出動タネ切れ後の不良債権、失業を膨張させるだけである(これも1990年代の焼き直し)
財政出動は量的緩和の代わりにならないどころか逆効果。 財政出動を根拠に量的緩和を弱めるならば本末転倒である。
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国内のインフレ率が2%より小さいということは、諸外国より金回り低迷、景気停滞ということであり、この原因は、(経済規模、GDPに比し)日銀の通貨供給が不足しているせい。
このように通貨供給不足になっていると、為替レートも中立水準より円高になる。
だから、国内生産コストは海外と比べ割高になり、設備投資・雇用・技術・ノウハウの海外流出は続く。
そうなると、競争力の弱い地方経済、中小企業、低所得者層から没落が進む。
それにより格差拡大となる。
格差拡大をネタに、役所が再分配政策をとりやすくなる(地方、中小企業、貧民へのバラマキ政策)。
これも国民多数の役所依存を強め、役所の権限・支配力を強めることになる。
生き残った強い企業、強い個人(民間人)は格差是正の錦の御旗で役所に叩かれるので、役所はさらに強くなる。
、、、、こういう状況が1990以降、ずっと続いているわけです
正確にはオイルショック以降、こういう方向の政策を官僚は取り続けてきた。
それが日本没落の原因で、隣国・中国が法外な通貨安政策をとり始めた1990年代以降、通貨高の日本から通貨安の隣国・中国への設備投資・雇用・技術・ノウハウの流出により、上記の悪循環は加速度的にひどくなった。
結果、日中逆転で、安全保障も危機にさらされるようになっている。
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インフレ目標達成(=経済空洞化の阻止)をいつまでも先送りさせてはいけない
景気悪化、貧民増大が支持者拡大、軍資金増大(=労組費収入増大)になる左翼政党ならば、いざ知らず、自民政権はそうではない。
企業献金を減らしたり、選挙に負けたくなかったら、速やかにインフレ目標を達成させ、景気を浮揚させ、貧民増大を止めること。
そうでなければ、日本経済、地方経済の没落はさらに進み(これは自民の選挙基盤の崩壊でもある)、安全保障の危機もさらに高まるだろう
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