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ポジティブ・サプライズ雇用統計で早期利上げ?

非農業部門雇用者数
 1月 +25.7万人
 市場予想 +22.8万人
 前月 +32.9万人(上方修正)

失業率
 1月 5.7%
 市場予想 5.6%
 前月 5.6%

労働市場情勢指数
 1月 4.9 前月 7.3(上方修正)

■ポジティブ・サプライズ雇用統計
6日に発表された1月の米国雇用統計は一言で言えば、「ポジティブ・サプライズ」だった。まず、非農業部門雇用者数は1月が25.7万人増と市場予想(22.8万人増)を大きく上回った。さらにサプライズだったのが、11月分と12月分の上方修正だ。11月は35.3万人増→42.3万人増、12月は25.2万人→32.9万人とそれぞれ大幅な上方修正が行なわれ、2ヵ月累計で14.7万人の上方修正となった。11―1月の3ヵ月累計で実に100万人を超える雇用者が増加した計算となる。




一方、失業率は5.7%と前月から0.1ポイントの悪化となった。ただ、悪化の背景には「労働参加率の上昇」というポジティブな要因があるため、悲観する必要はない。

1月の労働参加率は62.9%と前月の62.7%から0.2ポイント上昇した。労働参加率とは、生産年齢人口(15―64歳の人口)に占める労働人口(15―64歳人口の内働く意欲のある人数)の割合であり、労働参加率の増加はこれまで職探しを諦めてしまい労働人口や失業者としてカウントされていなかった人々が職探しを再開したことを意味する。



失業率は失業者÷(失業者+就業者)で計算されるので例えば失業者5人・就業者95人の場合、
5÷(5+95)=失業率5%
となる。
この状況下で今まで職探しを諦めていた1人が職探しを再開したがすぐには職が見つからなかった場合、
6÷(6+95)=失業率5.9%
と失業率は悪化する。

上記は説明を単純にするための極端な例ではあるが、1月の雇用統計では同じような事象が起きたため、失業率が悪化したのである。労働環境が好転し、これまで職探しを諦めていた人が労働市場に戻ってきたために一時的に失業率が悪化した、言わば“良い”失業率の悪化とも言えるのである。

1月の雇用統計はもう一つ好材料があった。労働者の平均賃金が上昇したのである。12月の雇用統計では労働市場の堅調な伸びが確認されながらもなぜか賃金が前月から低下するというやや不可解な状況が起きていた。1月は前月比+0.5%、前年同月比2.2%の増加と堅調な伸びを見せた。前年同月比の上昇率は直近に比べて特段大きな伸びというわけではないが、まずは一安心といったところだろう。



■ 大幅な金利上昇で反応した債券市場
雇用統計の発表後、債券は売られ米国の中長期金利は大きく上昇した。予想を上回る雇用統計の結果を受け、債券市場は利上げの早期化を意識したようだ。前回のレポートで記したように、筆者は雇用統計発表前時点で6月の利上げの可能性が高いのではないかと考えていた。今回の雇用統計の結果を受けて、よりその可能性は高まったと言えるかもしれないが、マーケットの反応にはやや過剰と思える節もある。



前述したように確かに非農業部門雇用者数の伸びは大きく、労働市場の回復加速には疑いないと思われる。ただ、労働参加率が上昇したと言っても依然として金融危機後の最低圏である。また、賃金の伸びも2.2%としっかりしてはいるが、例外的な落ち込みとみられる12月を除外して、11月までの伸びと比べればことさら高い伸びを見せたわけではない。

雇用統計後には米国経済が好調で利上げ早期化へ、という論調の報道が目立つが、むしろ足元ではISM製造業景況感指数の落ち込みが目立っている。現在は冷静に経済指標の推移を見極めたい局面である。

■用語解説
雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。
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