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1-11 単なる長期投資ではありません


長期投資というと、「親の遺産で入手した株を、売るに売られずに持っているうちに、いつの間にか株数が増え、株価が上がり、気がついたら大金持ちになっていた」といったイメージがあります。


バブルのとき、松下電産(今のパナソニック)が、額面割り当てによる増資、増資の繰り返しで、何百倍になった話や、ITバブルのとき、ヤフー1株が億単位で公開され、株式分割を繰り返すことで何百億になったという話は、夢の話ではありません。


とはいっても、これは一つの株を長期に持っていたというだけの話で、投資法ではありません。「ふやす」目的も意思もなく、ただ持っていたら、そうなったということです。


だいいち、親の遺産や職業柄手に入れた株を、これから始めようとする人が、どうやって入手できるのでしょうか。バブルという特殊な投資環境を夢見て、今のうちに銘柄選別をしろというのでしょうか。まったく無意味ですが、意外とこの手の長期投資法が多いのも事実です。


長期投資といっても、ただ漫然と株を長期に持っているわけではありません。現在の投資環境の下で、達成可能な目標と、それを達成する具体的な方法、その上で投資法の長所と欠点、それに達成ができなかったときの代替手段……、総合的な運用システムでなければなりません。


投資法は開示したら、すべての投資者がその方法を知ることになります。秘法、特殊な技術も、公開されれば、あっという間に万人が共有してしまいます。それでも多くの人がこれから実行して、成果がある投資法でなければなりません。


「結果よければすべてよし」の世界で、結果についていくら解説してみても、同じことが繰り返される保証はどこにもありません。誰も明日のことは分からないのです。投資法についての限界は、すべて分からない明日に、大切なお金を預ける不安にあります。


不安を解消するには、やってみるのが一番です。それには、生涯時間の豊かな若い世代がもっとも適しているはずですが……。この世代には纏まった資金がありません。結局、小金をギャンブルのような値幅取りに投じて、不安を解消しないまま、株の世界から去ってしまうのです。


老後に豊かに暮らすためには、時間が掛かるということを、この世代から身に着けて欲しいのです。「時間とお金」は、投資に当たっての車の両輪です。時間と資金に合わせた投資法を取らないと、お金はなかなか増えてくれません。


波を読んで波に乗る「波乗り投資法」は、時間と資金にあった投資法を提案し、著者の実証と、SNS「みんかぶ」の厳しい視線で検証されているのです。


* * *
45歳までの「ためる」世代の目標1,000万円は、かならずしも株だけで達成させる必要はありません。むしろ貯金箱で貯めたお金や、定額貯金、リスクの高い金融商品など、さまざまな方法を使って、お金の価値とその増やし方を実際に経験してみることです。


実生活では、収入より支出のほうが多いかもしれません。少しでも出るお金を減らし、親に頭を下げてでも纏まったお金を作り、5年後の開封を夢にNISAで株を買っておきましょう。時間が掛かるかもしれませんが、お金が自然に増えてゆく実感が理解できます。


お金は意思がないと貯まりません。いつまでも親はいないのです。たとえ1,000円でも、定期的に受け取れる配当金のありがたさを、この世代から身につけておきましょう。


問題は、1,000万円を5,000万円に「ふやす」世代の投資法です。投資資金としては十分な額になっていますが、大金を増やすのは小金を増やすのより、はるかに難しくリスクも多いのです。


1,000万円を年率9%の複利で増やしてゆけば、20年間で5,000万円になる勘定ですが、この間に一度でもマイナスになれば、元に戻すには18%でも追いつきません。


安定的に増やす道を選べば、それこそ天文学的な期間が必要になります。ここではリスクがあっても、株式投資で増やさなければなりません。それならば、500万円で株式を、残りの500万円は、定期預金にするという組み合わせはどうでしょうか。


これならば、株式で年間20%増やし、残りの500万円は利息がつかなかったとしても、トータルとしては、100万円の増加となり、10%の利殖が可能となる計算ですが……。金融機関のファイナンシャルプランナーに相談すれば、たいていこのような答えが返ってきます。


でも、20年間この状況を続けることができるでしょうか。株式投資には波があります。いいときもあれば悪いときもあります。90年バブル以降は、波は下を向いていたのです。このような組み合わせで、1,000万円が20年間で、5,000万円になるとはとうてい考えられません。


株式投資には、波があるという前提で相場を読んで、1,000万円をそっくり株で増やすのです。もちろん、持ち株の構成を十分吟味し、相場の安いときに購入し、高くなった株は売却しますが、その資金で再び安値の株を購入し、どんな場合でも株は所有し、配当金を絶やさないようにします。


当然のことですが、所有する株資産は、相場の変動で増えたり減ったりしますが、受け取る配当金の額は、相場の下落期にあっても比較的安定しています。投資資金はすべて、株で保有し、キャッシュを持たないというのが、「波乗り投資法」の特色です。


一般の長期投資法では、資金を投資資金とキャッシュに分け、上昇期には株の比率を増やし、下落期にはキャッシュを増やすとなっていますが、相場の変動は簡単に読めるわけではなく、大底を叩いたときになって、初めて「あれが天井だった」と分かるのが普通です。その上、「相場と柿は、落ちる前が一番甘い」の例えのように、天井期が株にとっては一番上昇幅が大きいのです。そんなときにキャッシュを増やしていたのでは、せっかくのチャンスをみすみす逃してしまうことになります。


「波乗り投資法」は、投資できる資金をすべて株式で運用し、上昇期に大きく増やし、下落期には持ち株を抱えて冬眠に入るのが、投資法の基本的な考え方です。


それを耐え抜くことで、また新しい世界が開けてきます。この繰り返しによって、退職後の長い時間を、豊かに暮らすことができるのです。





2件のコメントがあります
  • イメージ
    おちゃちゃさん
    2014/10/31 15:07

    日経すごかったですねぇ~ (*≧∀≦*) 

    一緒に喜んでください~(私は株ほとんどないんですけどね(^_^;)

  • イメージ
    yuhsanさん
    2014/10/31 16:32

    おちゃちゃさん

    こんにちは


    よろこんでますよ!!!

    この通り。

    なにしろキャッシュレスですから、こたえられません。

    冬眠前にひと稼ぎでも、ふた稼ぎでもしておかないと。

    おちゃちゃさんの膝も早く直して、優勝してくださいね。

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