ビッグデータ、低価格で世界最速解析「中小企業にも恩恵」 大阪のベンチャー
SankeiBiz 9月27日(土)8時15分配信
システム開発ベンチャーのバンクラックジャパン(大阪市西区、梶井雄介社長)は、企業内に蓄積されたまま眠っている膨大な「ビッグデータ」を100万円未満という低価格にもかかわらず、世界最速レベルで分析できるソフトを開発し、10月中旬から国内外で売り出す。同社は「一部の大企業に限られていたビッグデータの恩恵が中小企業にも広がる」と意気込む。
ビッグデータは、インターネット上などに蓄積された情報。ネットバンキングや現金自動預払機(ATM)を介した銀行預金者の取引履歴、レンタルビデオ店の利用者履歴、大企業の社員用パソコン操作履歴などがある。これらの情報を細かく分析できれば、新商品開発の必要性やビジネスチャンス、コンプライアンス(法令順守)違反などを捕捉しやすくなる。
2014年度情報通信白書によると、ビッグデータの活用で国内全産業の売上高が12年度に約61兆円押し上げられた。
しかし、ビッグデータを分析するためには、ソフトウエアとハードウエアで数百万~数億円もかかる機器が必要で、ビッグデータを活用できるのは、こうした高額な設備投資ができる大手の通信会社や調査会社、メーカーなどに限られていた。しかも、従来システムは、データベースにビッグデータを取り込んで分析する方式が主流で、1億件の検索に1分程度かかるケースもあった。
これに対し、バンクラックの新製品「Event Horizon」はデータベースに取り込まず、パソコンのメモリー上で直接検索する方式のため、市販のパソコンでも1秒間に1億件のデータ検索を可能にした。大規模データから目的の情報を素早く見つけだして分析できる。また、業務用パソコンだけでなく、家電量販店で売られている家庭用パソコンにも対応する。
バンクラックの田嶋宣弘・最高技術責任者(CTO)は「現在、ビッグデータ検索の主流である処理ソフト『ハドゥープ』を導入したマシン10台で分析するデータ量をEvent Horizonなら1台で同レベルの処理速度を実現できる」と胸を張る。
同社はソフトの小売価格を50万円程度と想定しているが、ベンチャー企業のため販路を持たないのが弱点。国内外の大手システム会社などと提携し、世界で年間売上高10億円を目指す。
製品は発売後、同社の専用サイト(http://www.bankluck-japan.net)からダウンロードできる。問い合わせは同社(電)06・6543・5999
ホントかな