人にはない能力を犬は持っている
捨てた人は、わかってない
捨て犬から災害救助犬に、広島土砂災害で捜索活動
TBS系(JNN) 9月6日(土)18時46分配信
広島で起きた土砂災害では、ぬかるんだ泥やがれきが残る危険な現場で多くの災害救助犬が活動しました。その中には、捨て犬として処分される寸前だった犬がいました。
広島県の中国山地のまちで暮らしている4歳の「夢之丞」です。優れた嗅覚を活かして災害現場で人命救助の手助けをするための訓練をしています。「災害救助犬」としては珍しい、雑種の犬です。
災害直後の被災地では、延べ100頭を超える災害救助犬が、行方不明者の捜索にあたりました。夢之丞も倒壊した住宅のがれきが散乱する現場を歩き回り、「人の臭い」を探し続けました。
黙々と活動する夢之丞ですが、自らの命が危機にさらされた過去があります。4年前の11月、生後4か月ほどの夢之丞は捨て犬として広島県の動物愛護センターにいました。このままでは殺処分される運命でしたが、ぎりぎりのところで引き取り手が現れました。
「最初、来たときはおびえて後ずさりする感じ。少しずつ人にもなれてきた」(佐野浩之トレーナー〔2010年11月〕)
夢之丞を引き取ったのは、災害地などの緊急支援活動をしているNPO法人ピースウィンズ・ジャパンです。ここで災害救助犬として仲間とともに訓練を重ねました。
「目つきも変わって、だいぶ落ち着いた」(佐野浩之トレーナー〔2011年2月〕)
騒音や人ごみにおびえ街中を歩くこともままならなかった夢之丞は、過酷な現場で人の命を救うための災害救助犬へと成長を遂げたのです。広島の土砂災害現場では壊れた住宅の中で亡くなっていた男性の発見に貢献しました。
「生存者の救助はできなかったが、人が殺処分している犬猫が、人の命を助けることができる代表として、夢之丞にはこれからも頑張ってほしい」(佐野浩之トレーナー)
一度は人に見捨てられた夢之丞。災害現場で人の命を救うためにこれからも訓練を続けます