竹、月、力の物語10

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竹、月、力の物語10

目次

第九話

 

 

第十話:立ち止まらずに
 
三人は走った。
天高く跳び、谷を超え、
野を矢の様に早く駆け抜けた。
一時も休むことなく。
 
彼らは止まることなく走った。走り続けた。
時に傷つき…
 
「女神様。スター印のプロテイン凄いですぜ。
 何にぶつかっても痛くもないし、はね飛ばしちまいますぜ!」
 
「特注品だからよ♪」
 
時に疲れ、
そして倒れそうになり…
 
「兄貴ィ。スター印のプロテインのお陰で、
 走り続けても疲れないし、楽しくなってきたぜぃ!」
 
「それは最高にランナーズ・ハイってやつだあ、累二!」
 
さらには死の恐怖に怯えながらも。

 

「兄貴ィ。さっき何かの群れをふっとばしちまったんですが、
 気付いたら1upしてましたぜぃ!」
 
「景気がいいぜ、この調子で障害物は体当たりで全部ふっとばすぜ!」
 
彼らは走った。
幾千もの障害をのりこえて。
と言うか 障害物はすべて体当たりして、止まることなく走った。
 
なぜ三人は立ち止まることをしなかったのか。
立ち止まってしまうと、誘惑に負けてしまいそうだったからだ。
そう。引き返して、もう一度体当たりしたくなる誘惑に。
しかし、それは許されない。
なぜなら、彼らには目的があるからだ。
早く桃姫を復活させてあげたい。
でも、体当たりは何度もしたい。これぞ筋脳のサガ。
目的と欲望。二つの間で揺れ動く心を振り払うように走り続けた。
止まる事はできなかった。
 
こうしてオリンポスへの道のりを走破したのだが…
本当の試練はオリンポスにあることを彼らはまだ知る由もなかった。
続く!
 

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