「こころの読書教室」 河合隼雄

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「こころの読書教室」 河合隼雄

村上春樹さんの『ねじまき鳥クロニクル』では、

ふとある日、パッと奥さんがいなくなるんですね。

これは現代という状況をピッタリ描いていて、すごいと思います。

 

何か災難が起こってとか、何かのことがあってというのではなくて、

「ふと気がついたら、もう魂は失われていた」というわけです。

これは、まさに世界中の先進国人たちの状況ですね。

 

魂を回復するというのが、どんなにむずかしいか。

 

さっき言ったように、単なる恋愛といいうことは、

いまはなかなか魂の回復にならなくなってきているんですね。

といって、そうしたら、異性なんていうのは、放っておいたらいいかというと、

そんなことはない。

 

ものすごく大事です。

ものすごく大事なんだけど、知らぬ間に消え去っている。

 

そうすると、失われた魂を回復するためにそうとうな努力がいるわけですが、

そういう中で、ものすごく暴力的な世界にどうしても直面していかなければならない。

それが現代です。

 

現代の世相を見ていられたらわかると思いますが、

いろいろなところで変な殺人が起こったり、

ものすごい暴力事件が起こったりしているでしょう。

 

人類は賢くなったと思っているのに、戦争したり、

途方もない殺し合いをしなければいけなかったりしますね。

だから、魂の領域に近づくということは、

すごい暴風雨圏というか暴力の世界にも直面していかねばならないということです。

 

『ねじまき鳥クロニクル』を読むと、それがすごくよくわかります。

そういうふうな現代人の生活における魂というものを異性像に求めていく場合のむずかしさ、

すごさ、それがよく書かれていると思います。

 

『ねじまき鳥クロニクル』は、世界中で読まれていますね。

日本だけではなくて、世界のベストセラーといってもいいぐらいではないですか。

このあいだ僕はロシアに行ってきたんですが、ロシアでも村上春樹は大変によく読まれていて、

いま、いちばん読まれているんじゃないかと思います。

(略)

世界中で読まれているというのは、

現代人の魂の問題を実に適切に取り上げているからではないかと思います。

 

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★「こころの読書教室」

  河合隼雄著 新潮文庫 490円+税 H26.2.1.発行 P.205~206より抜粋

 

中盤では「アフターダーク」についても、心理学的な見地から考察がなされている。

ユング哲学に触れつつ、いろいろな創作物を通して人の心の奥底を探求していく様は、

上質なミステリーを読むようだ。

 

と同時に、山田太一や村上春樹へのインタビューにより判明した、

ユング哲学に対しては無意識下で行われていたという創作活動が、

実にユング的であったという実際には、強く興味をそそられる。

 

著者は別のページで、

もしも創作者が明らかにユング哲学を意識して創作をしても、

それはオモロイものにはならないだろうと述べているが、

 

たった今読み終えた「アルジャーノンに花束を」というダニエル・キースが書いた小説では、

ユング哲学が顔を覗かせているのを発見した。

ダニエル・キースは恐らく、それを意識して書いているように思える。

 

魂に近づくと暴力を避けて通れないという話は、

オイラが巻き込まれた談合事件でも示唆されるところなので、実にオモロク腑に落ちているところだ。

 

PS:日曜日の読売紙上で、三浦しをんがオモロイ話を書いていた。

   昨年だったろうか、TV東京のWBSでみかけた三浦しをんは指に結婚指輪をしていたが。

   またその時、えらく美人に映っていたのだが。

 

   ところが、なんでも最近、「一人暮らしを始めた」と書いてあった。

   それしか書いていないから、余計な詮索はしたくないけれど、

   魂の回復に恋愛がそう役に立たなくなっているという河合隼雄の話と、被った。

 

   で、その後がオモロイ。

   なんでもカバのようになった私の云々という自虐ネタを枕に、ムーミン小説につなげた件。 

 

   ところで、なんで「ムーミン」なんだろうと思った。

   「ムー民一族」から連想した、なんてことはないよね、魔坂。。

 

PS2:「ムー民一族」といえば。

    スペイン酒場のママに、件の替え歌・ルシファー聖歌の記事をコピーして渡した。

    彼女は来月、北見修道院へ赴いて、

    106歳になるシスター・ビクトリアに会うときに、それを渡す予定だ。

    これでスペインは騙されないのだ、多分。

 

 

 

 

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