日本の8/1の昼が期限だろうが、恐怖のシナリオに向かいそう。
[ブエノスアイレス 22日 ロイター] - アルゼンチン政府は、同国の債務再編を拒否した債権者(ホールドアウト)との協議を月末までにまとめなければ、2002年に続いてデフォルト(債務不履行)を引き起こすことになる。
アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、ホールドアウト側の債務全額支払い要求には応じないという姿勢を堅持しており、この面からみればデフォルトの確率は上昇しつつある。これは大統領の交渉戦術の一環であり、引き続き舞台裏で支払い額を削減するための取引を行う時間は残っているものの、実際問題として大統領の強硬な態度がホールドアウトや調停する立場にある米裁判所の怒りを招いており、妥協は難しくなっている。
ホールドアウトは、弁護士を通じてアルゼンチンの支払い時期に関する事情などについて耳を傾ける用意があると表明してきた。ただ主要メンバーの米エリオット・マネジメント傘下のNMLキャピタルは、アルゼンチン政府がデフォルトを決意しているようだとの見方を示した。
それでも一部の投資家は、フェルナンデス大統領が土壇場でホールドアウトと合意に達して、外貨準備拡充や国内の資源開発資金獲得のためにアルゼンチンをもう一度国際金融資本市場に復帰できるようにすると期待している。
バルティック・キャピタル・マーケッツのパートナー、アルベルト・ベルナル氏は「デフォルトが(アルゼンチンの)プラスになるようなシナリオは思いつかない。フェルナンデス大統領は、ホールドアウトとの合意がもたらす恩恵が莫大であることを知っている」と指摘した。
デフォルトになれば、公式レートで既に年初来で20%下落している通貨ペソがさらに下落し、物価上振れのリスクは高まってしまう。投資助言会社コンテニアル・グループのクラウディオ・ロゼル氏は、現在8年ぶりの低水準の300億ドルにとどまっている外貨準備が、通貨防衛などのために最大で3分の1がなくなってしまう恐れもあると警告する。
<市場の楽観ムードは後退>
ジェフェリーズの中南米戦略責任者、シオバン・モーデン氏によると、アルゼンチンの再編債務の上下価格リスクのスプレッドが織り込む合意成立の確率は、先週になって11日までの週から低下した。
それでもドル建ての再編債務の価格は、米最高裁がアルゼンチンの上告を退けた6月半ば以降で14.7%上昇しており、市場はまだデフォルトが回避される事態を見込んでいることがうかがえる。
モーデン氏は、投資家が期待しているのはアルゼンチンが合理的に行動して協議をまとめ、国際金融資本市場に復帰して経常赤字問題に関する重圧を和らげるという展開だと説明した。
その上で同氏は「もしもアルゼンチンが(今週中に)ホールドアウトとの会合を設定しないようなら、債券価格は期限が差し迫っているのを見越して協議決裂のリスクが高まることを織り込むだろう」と話した。
もっともアルゼンチンのキシロフ経済財務相が、調停人に対して米裁判所のホールドアウトへの支払い命令の執行を停止してほしいと伝えて以降、具体的な進展が何も見られないことから、市場の楽観ムードは既に後退してきている。
投資銀行プエンテの戦略責任者、アレホ・コスタ氏は「われわれは、アルゼンチンが執行停止を獲得できる確率を55%とみている。以前に比べればやや悲観的になっている」と述べた。
<米地裁の審理で事態変化も>
22日には米連邦地裁のトーマス・グリーサ判事が、アルゼンチンが6月末の再編債務の利払い原資として預託した資金の取り扱いに関する審理を開く。これにより事態が変わるかもしれない。
アルゼンチンは、バンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロン(BK.N: 株価, 企業情報, レポート)に利払いのために5億3900万ドルを預託していたが、グリーサ判事が債権者への支払い凍結を命じたことを受け、BNYメロンから今後の取り扱いをどうするか判断してほしいと申し立てがあった。
グリーサ判事はBNYメロンに口座凍結の解除を認める可能性がある。この場合は、アルゼンチンが6月末の利払いを行えることを意味するが、法律専門家によるとそのためには判事があらためてホールドアウトへの支払い命令の執行停止を表明しなければならないという。
アルゼンチン経済財務省のある高官は、22日の審理の結果をみて次の対応を決める方針を明らかにした。
(Eliana Raszewski、Richard Lough記者)