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グランフロント 大阪市内の主要商業施設で、消費者の「評価」が高い施設はどこか。日経MJが実施した消費者調査をもとに集計したところ、阪急うめだ本店が総合評価で首位だった。 調査はマクロミルに依頼して関西2府4県の1200人を対象に、4月17~19日にインターネット経由で実施した。「品ぞろえに満足できる」「楽しい・快適だ」「価格に納得感がある」「接客・サービスが良い」「アクセスが良い」「飲食店が魅力的だ」の6項目を評価してもらい、各項目1位に3点、2位に2点、3位に1点を割り当ててランキングを作った。 総合首位の阪急うめだ本店は12点。「品ぞろえ」と「接客」で1位だったほか、「楽しい」「飲食店」などで2位。2012年11月に3割増床し、館内にイベントが開ける「祝祭広場」を設けるなど「コト消費」を強く意識した売り場を作った点が評価を得たようだ。 総合2位はグランフロント大阪の11点。「楽しい」「アクセス」「飲食店」でトップの評価を得た。エンターテインメントの拠点として消費者の認知が進んでいる。ただ、「価格」への評価は低く、関西の消費者にとっては割高な印象を持たれている点が課題といえる。一方、6点で総合3位となった阪神梅田本店は「価格」が首位。いつも混雑するデパ地下など、庶民性や日常性が評価された。 「今後利用を増やしたい」との項目で1位は「あべのハルカス近鉄本店」(全体の15・4%)。グランフロントが14・5%で続く。「今後減らす」では大丸心斎橋店(8・3%)、高島屋大阪店(6・4%)。話題の発信などで後手にまわっているようだ。JR大阪駅北側の複合ビル「グランフロント大阪」が開業して1年。初年度売上高は436億円、来場者数は5300万人と目標を1割、5割上回った。周辺から客を集め、大阪・梅田への商業一極集中が進む。背景には都心部への人口、オフィスの集積があるものの、開業景気が冷め始めるなかで、梅田の課題も見えてきた。 大阪市内の大型商業施設はこのところ、「誤算」の連続だ。2012年11月に増床全面開業した阪急うめだ本店は14年3月期の売上高が1880億円の見込みで、初年度目標の2130億円には及ばない。3月全面オープンのあべのハルカス近鉄本店も2度の下方修正。高島屋大阪店も改装後の売上高目標に届かず、鳴り物入りで登場したJR大阪三越伊勢丹は今夏から改装、売り場の6割を専門店化する。 目標売上高を1割上回り、隣接するJR大阪三越伊勢丹の売上高を5割近く上回ったグランフロント大阪は「勝者」といえるのか。 グランフロントの店舗面積は4万4千平方メートルあるが、年間売上高が約350億円の専門店ビル「ルクア」(2万平方メートル)に比べれば、1平方メートル当たり売上高はルクアが1・7倍多い。大阪市内の百貨店幹部は「グランフロントで買い物袋を持つ客をあまり見かけない」と明かす。 最近は陰りもみえてきたという見方もある。大丸梅田店は昨年3~8月期、グランフロントと阪急本店の増床効果で予想を7億円上回る26億円の減収となったが、9月から今年2月は2億円の減収と想定の15億円には至らなかった。「昨年11月で節目が変わった」(大丸松坂屋百貨店の好本達也社長) 「新しもの好き」の大阪の客の動きが一段落した可能性がある。グランフロントの商業施設を運営する阪急電鉄の谷口丹彦不動産開発部長は「平日に衣料品などでもっと20~30代の働く女性を取り込みたい」と語る。 ここに最近の梅田を含めた大阪の商業施設が「勝ちきれない」一因がある。 新設・改装するどの百貨店・商業施設も狙うのは、若い女性客。面積が広がったほどは売り上げが伸びない。その結果「梅田が日本で一番競争が激しい」(大丸松坂屋の好本社長)エリアになった。 日本百貨店協会によると、大阪市内の百貨店の総店舗面積は約73万平方メートルと3年前より2割広がったが、13年の総売上高は8487億円と3年前の1割増にとどまった。阪急本店の関係者は「本店改装前にここまで増床ラッシュになるとは予想できなかった」と打ち明ける。 実際、阪急本店は12年秋の増床開業時に新設した「うめはんシスターズ」や「うめはんジェンヌ」が当初の販売計画を下回った。阪急阪神百貨店の荒木直也社長は「若い世代に百貨店のシャンデリアをくぐらせるのは難しい。店作りや品ぞろえを見直す必要がある」と話す。 11年に6割増床した大丸梅田店は2月、目玉だった20~30代向けフロア「うふふガールズ」を縮小し、40代を狙った店に切り替えた。 競争に敗れたJR大阪三越伊勢丹は8月に改装休業に入って6割減床するが、来春に「(従来より若い)30~40代女性に照準を合わせる」(三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦取締役)という。 郊外から流入する若い客は先細りする可能性もある。関西では私鉄沿線や郊外では大型ショッピングセンター(SC)の開業・改装が増えている。日本SC協会によると今年2万平方メートル超の新設数は8で昨年を上回る。 3月に08年の開業以来最大規模となる改装をした阪急西宮ガーデンズ(兵庫県西宮市)は「リニューアル効果で消費増税後も売り上げは前年実績を上回る」(阪急電鉄)。米国で人気のカジュアルブランド「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」など関西初の店を呼び込んだ。「梅田」にたどり着く前に、消費者が吸い取られていく構図が定着しつつある。(関口圭、世瀬周一郎) ▼グランフロント大阪 JR大阪駅北側の再開発地区「うめきた」で昨年4月26日に開業した。約7ヘクタールの敷地にオフィス、商業ゾーン、外資系高級ホテル「インターコンチネンタルホテル大阪」、高級マンションで構成する。事業主体は三菱地所や積水ハウス、阪急電鉄など12社。 商業ゾーンは店舗面積4万4千平方メートルで、約260店で構成。オフィス向け総床面積は約15万平方メートルで、60社以上が入居している。「緑も多くてやっぱり気持ちがいいですよ」。大型連休初日の4月26日、グランフロント大阪の玄関口「うめきた広場」の木陰で2人の20代の女性会社員はおにぎりをほお張っていた。 開業から1年間での来場者数が5300万人と東京スカイツリータウン(東京・墨田)の5080万人を超えた理由は、「大阪らしくないところ」だ。阪急うめだ本店など梅田の商業施設は館で来場者を囲い込むところが多いが、グランフロントは地上で青空を楽しめる。 グランフロントの広場ではビール祭りやスポーツ大会などイベントが盛りだくさん。初年度の開催数は約70回で、「『いつも何かやってにぎやかだ』との認識が定着しつつある」と商業施設を運営する阪急電鉄の谷口丹彦不動産開発部長は語る。 梅田にあるという地の利も勝因として挙げられる。梅田周辺ではオフィスビルの集積が進む。オフィス仲介の三幸エステート大阪支店によると、梅田を含む大阪市北区の新規供給面積は昨年、5年前に比べて2倍になったという。買い物客だけでなく働く人が増え、3月のJR大阪駅の乗降客数は7%増えた。 さらに市内の中心部ではマンションの建設ラッシュが続く。大阪市の都心3区(北区、中央区、西区)の人口も5年で13%増えている。郊外からの人口流入で、梅田の一人勝ちが進む。オフィスと居住人口の都心集積は大阪だけでなく、名古屋市や福岡市など大都市でも進んでいる。
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