4月から消費税率が8%に上がり、家計への負担が確実に増えている。特に子どもがいる家庭は、教育費から食費、日常にかかる生活費など削るわけにはいかない出費が多い。そのうえ、子どもがまだ小さいと母親が外で働くことがなかなか難しいという状況もある。
そこで、厚生労働省は、「子育て世帯への(消費税増税の)影響を緩和し、子育て世帯の消費の下支えを図る観点から、臨時的な給付措置として行うもの」として、「子育て世帯臨時特例給付金」を支給することを決めている。
「子育て世帯臨時特例給付金」は、対象児童1人につき1万円が1回だけ支給されるまさに臨時的な給付金。支給対象者は、平成26年1月分の児童手当の対象となる児童が基本とされている。つまり、0~15歳の児童手当を受給している子ども1人につき1万円が、世帯単位で支給されるのだ。
ただし、平成25年の所得が児童手当の所得制限額を超えているともらえない(所得制限を超えて、子ども1人につき月額5000円しか児童手当をもらえていない世帯は除外)。また、低所得者層向けに消費税増税分の負担を緩和しようという目的で給付される「臨時福祉給付金」の対象者や、生活保護を受けている人は、ダブって受給することはできない。
■同様の趣旨で実施される「臨時福祉給付金」と両方は受けられない「臨時福祉給付金」は、平成26年度分の住民税が課税されていない人が対象で、こちらも1人につき1万円、1回限りの支給だ。老齢基礎年金、障害基礎年金、児童扶養手当などの受給者は、これに1人につき5000円が加算され、最大で1万5000円の支給になる。「臨時福祉給付金」の支給対象になっている世帯で暮らす子どもは、こちらを受けることになる。世帯単位で支給されるため、5人家族なら5万円が支給されるのだ。生活保護世帯も保護基準の改定で消費税の負担に対応するようになっているため、支給の対象外だ。
■申請時期は7月以降の見込み。自分で手続きが必要「子育て世帯臨時特例給付金」を細かく見ていくと、支給の基準日が平成26年1月1日とされていて、基準日の翌日以降に生まれた児童は支給対象外となる。また、児童手当の対象になっているが、児童手当の申請をしていない場合は、「子育て世帯臨時特例給付金」の対象外となる。平成25年6月の児童手当の現況届が未提出で児童手当を受けていない場合、現況届を提出し、さかのぼって平成26年1月分の児童手当の受給者となれば、「子育て世帯臨時特例給付金」の支給対象者となれる。
4月から消費税率がアップしたので、そろそろ受給できるのかと思っている人もいるかもしれないが、申請時期は7月以降というのが現実的な見通しである。その理由は、「臨時福祉給付金」の対象者が確定しないと、「子育て世帯臨時特例給付金」の支給対象者も確定しないというからみもあって、平成26年度分の住民税が確定しないと支給対象者が決まらないからである。住民税が確定するのが6月なので、その後の作業となると、7月以降にずれ込んでくることになる。
注意したいのは、児童手当と一緒で、受給者側が申請や手続きをして受領の意思を示さないともらえないという点。支給対象者になっているからといって、児童手当が振り込まれている口座に自動的に振り込んでくれるわけではないのだ。
国の方針では、「自治体ごとに定められる予定の申請受付開始日から3カ月(最長で6カ月)が経過した日で申請期間が終了する」とされている。この期間を逃さず手続きしよう。あらかじめ自治体のホームページや広報誌などで申請時期や申請方法を確認しておくのがおすすめである。住んでいる自治体の子育て支援課などから手続きの書類や申告用紙などが送られてくる場合もあるので、見逃さずきちんと手続きしよう。
■「子育て世帯臨時特例給付金」を知らない子育て世帯も多い最近の子育て世帯は、新聞をとっていない家庭も多いし、子育てで忙しいため情報をゲットできる範囲も限られている。この「子育て世帯臨時特例給付金」の支給が決まったことを知らない子育て世帯も多いようだ。ママ友同士で、あるいは会社の子持ち同僚同士で話題にあげてみよう。そして、自治体からの書類はスルーせずに目に止めるようにしよう。
一人一人に支給されるのは1万円だが、国は給付費に1271億円、事務費に202億円を使ってこの給付金を支給する。消費税は否応なく上げられているのだから、わが子が支給対象となっているのであれば、手続きをして確実に1万円をもらっておこう。