下のリンクはおよそ4年前、ダウが10分間で700$下落した時のロイターの記事です。
http://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-15166220100507
この様に、僅か数分間のうちに株価が異常に急騰・急落することを「スパイク」
同じく暴落することを「フラッシュ・クラッシュ」と言いますが
その原因は、コンピュータのプログラム売買である「アルゴリズム取引」だと言われており
国内でも東証がアローヘッドを導入して以来、頻繁に見られるようになったそうです。
具体的には「誤発注」に間違えられたり、「見せ板」という形でしばしば目にする現象です。
アルゴリズム取引とは、コンピューターシステムが株価や出来高などに応じて
自動的に売買のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引のことで
世界中の機関投資家が利用しています。
代表的なアルゴリズム取引 → http://www.kabuschool.jp/algorithm/31/
さらに取引の高速化を象徴するシステムとして「コロケーションサービス」があります。
コロケーションとは、通信事業者の局内に他の通信事業者の通信機器を設置するという意味ですが
株式市場の場合は、証券取引所のシステムセンターに証券会社がサーバーを設置し
取引所の売買システムに直接接続出来るサービスを指します。
コロケーションサービスについて(東証:平成20年8月)
→ http://www.tse.or.jp/about/press/080826s.pdf
とろで2010年に東証がアローヘッドを導入したことで
アルゴリズム取引を駆使するマネーが東京市場に大量に流れ込んで来た訳ですが
同時に幾つかの弊害も浮彫りになりました。
例えばアルゴリズム取引では企業のファンダが無視されやすいため
とんでもない銘柄の株価が突如急騰するといった不可解な売買が起こることがあり
ダウ急落事件(冒頭のリンク)も原因はは同じだと言えます。
或は私達がしばしば直面する「見せ板」も同様の原因だと思います。
具体例を挙げると
貴方が持っているA社の株5000株を1000円で売りたいとします。
待ちに待って漸く1000円の買い板に10000株買い注文が出たので、即座に成り売りしたところ
約定価格は1000円ではなくその下の買い板の値段になることがあります。
つまり売り注文を出したと同時に、ミリ秒単位の差で買い注文が取り消されてしまうのです。
これが板の薄い銘柄であれば一気に数ティック下で約定することも有り得ます。
逆に大きな買い板が現れたので成り買いした瞬間に取り消されるケースもあり
その結果不当に安く売らされたり、高く買わされたりという理不尽なことが起きるのです。
この様な悪質な「見せ板」は個人の参加者が多い人気銘柄で良く見られます。
しかも仕手筋の見せ板とは大違いで、最初から買い上げる為の仕掛けでは無く
あくまでもコンピュータによるアルゴリズム取引の一つのパターンなので
間違っても仕手筋が関与しているかも?などという期待を抱かないことが大事だと思います。
話は変わりますが、今日も東京市場はいいところなく指数の大半がマイナスで終わりました。
どうやら自立反発する元気すら無くなった様で
これでは幾ら値頃感が出て来たとはいえ、短期リバ狙いでしか買う気になれません。
それでも長期保有なら買い場だと言えるのかも知れませんが
最近は個人にもプログラム売買が広がっており
アルゴリズム取引やスキャルピングといった売買手法が増えた所為で
投資に欠かせない筈の「時間軸」が何処かへ消え去った様に思えて仕方有りません。
つまり本来資産運用であるべき株式投資が個人の間でもマネーゲーム化しつつあり
機関投資家がアルゴリズム取引でボラを大きくし
大きなボラが住むところにスキャルパーが集結する。
どうやら一部の銘柄ではそんな構図が出来上がっている様です。
さらに、長期投資のつもりで保有した銘柄が、コンピュータ取引のターゲットになり
1年先の目標株価に僅か1~2週間で到達するケースもあります。
これは時間軸が吹っ飛んだ典型的なケースですですが、同時に長期投資の意義さえも失われます。
取引の高速化も相俟って、東京市場は益々魅力の無い市場になりつつある様な気がします。
(嫌味)
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