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リソー教育の粉飾決算 訂正報告から読み取れる今後

リソー教育の不適切な会計処理が第三者委員会の調査報告書で明らかになりました。いわゆる粉飾決算ですね。
私自身、随分と昔になってしまいますが4年間程度、リソー教育が運営するトーマスでアルバイトをしていたことがありますので非常に関心を持って読んでみました。
リソー教育の粉飾決算について、調査報告書、訂正後の決算書に関して感じたことを記載したいと思います。
なおこれから記載する項目はあくまで個人の雑感ですので、正確性の保証はいたしません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
<粉飾決算による影響>
今回の粉飾決算を総括すると、リソー教育は売上が成長していることを示すために売上の前倒し計上を行っていたということに尽きると思います。
学習塾という性質上、現金を前受けでもらうことになりますので、前受金の計上を過少に計上し、売上を過大に計上していたことが読み取れます。今回の不正発覚の影響が今後のリソー教育の利益にどのような影響を与えるかを推察します。
・前受金の過少計上の影響は今後も続く可能性が高い
今のような事業形態で事業を拡大していけば、前受金は減少することはなく今後も増加していくことが予想されます。
以前投資を行っていた英会話のGABAの前受金水準は年間売上高の半分程度でした。修正後のリソー教育の前受金水準は60億円程度と年間売上高の3分の1程度です。GABAとリソー教育の前受金比率の違いは事業形態の違いからくるものでしょうから、おそらくリソー教育の前受金比率はこの水準をベースとして推移すると予想されます。
今後事業を拡大すれば必然的に前受金は増加するため、以前の純資産水準・利益水準に回復するためには相当程度の時間を要すると思われます。
・売上返戻引当金の影響
同時に計上された売上返戻引当金は平成25年2月期の訂正有価証券報告書を見る限り、平成24年2月期から平成25年2月期にかけて減少していることから、平成25年2月期に計上された金額から大きな変動はなく、そのため当該引当金が今後の利益に与える影響は前受金と比較すれば限定的かもしれません。
但し今回の報道を受けて授業料の返還を求められるケースが急増した場合等は、今後の利益に大きな影響を与える可能性も考えられます。
また後述する通りリソー教育の財務体質は脆弱ですので、実際のキャッシュアウトが生じうるといった観点から考えると、会社にとっては心配の種かもしれません。

<今後のリソー教育>
今回の訂正報告が行われた平成25年2月期の有価証券報告書、26年2月期第三四半期の決算短信から読み取れる今後の財政状態・経営成績の不安点は以下の通りと推察されます。
・現預金が非常に少ない
リソー教育は先に授業料の現金支払を受けた後、授業を実施する際に講師に給与を支払う事業形態であるため、原則現預金に余力があってしかるべきです。しかし平成26年2月期の第三四半期財務諸表を見ていると、現預金残高は訂正後の前受金64億円の半分以下、25億円しかありません。新規の投資を加速している段階ならいざ知らず、それなりに成熟期に入っている企業であれば、現預金の保有水準はもう少し高くあるべきかと思います。前受金はいわば受講生のお金を預かっているわけですから、前受金と同水準程度の現預金を保有しておくことが望ましいでしょう。(そういえばGABAは受講料を信託していました)
訂正後の前受金と比較して現預金が少ない理由は多額の配当金を行っていたことに尽きると思います。
・多額の配当金を行っていたが故に自己資本留保が非常に少ない
リソー教育は現金商売であること等を受け、過去から非常に多額の配当を行っていました。
そのため修正後の平成25年2月期の純資産は約8億円程度にまで下落しています。
リソー教育の平成25年2月期の配当金総額は12億円と、修正前の純利益15億円の80%近くです。売上が下落傾向にあり、かつ自己資本が潤沢であるならばこの配当水準は納得できますが、平成25年2月期の修正前自己資本であったとしてもリソー教育の自己資本は56億円程度しかありません。このような自己資本水準の会社が12億円も配当すること自体、正直異常ではなかったかと思います。それだけ今後も利益計上を継続できる自信の裏返しでもあったかもしれないですが。
・多額の配当を行っていたために時価総額が高い
決算修正を行う前であっても財務状況等を勘案すると時価総額は高かったと個人的には思いますが、これを支えていたのは間違いなく前述した多額の配当金だと思います。
今回決算を修正したことにより利益剰余金は△15億円にまで落ち込んでいること、訂正後の利益額は配当額を下回っていることを考えても、今までのような配当水準に戻るには相当の時間を要すると想定されます。そのため過去の時価総額水準は参考にしない方が良いと思います。
なお今後税務上の決算修正により税金還付を受けられる可能性がありますが、平成25年2月期の訂正有価証券報告書を確認すると、還付相当分と思われる繰延税金資産が計上(売上訂正による影響額として17億円程度の一時差異を識別している)ことから、税金還付を受けることによる会計上の利益計上はほとんどないのではないかと推察されます。
・訂正後の経常利益は減少傾向
訂正後の経常利益推移を確認すると、平成22年2月期の15億円をピークとして平成25年2月期まで経常利益は一貫して減少しています。セグメント別に確認してみると、家庭教師派遣教育事業が非常に苦戦していることがわかります。当該事業は売上高が順調に増加しているにも関わらず、利益は一貫して減少傾向であり平成25年2月期は△3億円の赤字となっています。
家庭教師事業の仕組みがわからないため、ここからは完全に想像となりますが、固定費はそこまで大きくないと思いますので、おそらく無料授業の提供等による売上単価の下落により苦戦しているのではと想像されます。仮にこの想像が正しかったとすると、家庭教師事業が損益分岐点を超えるまでには時間を要するのではないかと推察されます。

<総括>
2月14日に提出された訂正報告を受けて、今後どのような値動きとなるかはわかりませんが、一日のさや抜きを狙っている方以外、暫くは手出し無用だと思います。
現在時価総額は最高値の時と比較すると大幅に下落していますが、以前の時価総額は不正によって作られた利益のほとんどを配当に回していたことによって支えられていた時価総額です。
不正を行っていた時代に計上していた利益水準に追いつくためには、おそらく時間を要するでしょう。また今回失った社会的信頼・今後の訴訟リスク等を考えると、今のリソー教育の体力では支えきれなくなる可能性もないとは言い切れません。
直近で株価が大幅に下落していることからリバウンドが狙えるのでは、と単純に考えて参加することは非常にリスクが高いと思います。
なお再掲いたしますが、上記はあくまで個人の感想であり、正確性の保証はいたしません。投資に関する最終的な決定は、利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
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