新興国の通貨下落は各国中央銀行による緊急利上げ措置が今のところ一過性に終わっている様です。
その結果、相対的に安全資産として円が買われ易い環境が続いており
株価的には東京市場が最も翻弄され易い状況に陥っていると言えそうです。
因みに最近1ヶ月の新興国通貨の下落幅を見るとご覧の様に尋常ではありません。
◇直近1ヶ月
ルーブル(ロシア:-9.8%)、ランド(南アフリカ:-9.2%)
リラ(トルコ:-8.9%) 、フォリント(ハンガリー:-8.2%)
◇直近1週間
ルーブル(ロシア:-5.4%)、ランド(南アフリカ:-4.9%)
フォリント(ハンガリー:-4.7%)、レアル(ブラジル:-4.5%)
貨幣ごとの詳細はこちら(1/30現在)→ http://www.okasan-am.jp/market/new/
ロイターニュース(2/1)
因みにトルコが1/28に政策金利を7.75%から一気に12%まで引き上げたのを初め
南アフリカ(1/29)とブラジル(1/15)がそれぞれ0.5%
インド(1/28)も0.25%の利上げに踏み切っており(インドネシアも利上げの可能性)
29日の東京市場が大幅に反発したのはその為だと思います。
ところで政策金利を引き上げるということは
中央銀行から市中銀行に対する貸出金利が上昇するため
市中銀行の貸出金利や預金金利も連動して上がります。
そこで取り敢えず投資家は資金をその国の銀行に預けて置いて利子を稼ごうと考えるため
当該国の通貨安が収まるという理屈ですが
現実はトルコの大幅な利上げを機に一旦鎮静に向かいかけていた通貨安は早くも再燃を始めています。
利上げは資金の流出を食い止める方法としては効果的かも知れませんが
同時に銀行の貸出金利も上昇するため当該国の景気低迷を招き易いというデメリットが付き纏います。
しかも元々トルコやインドなどはインフレや経常赤字という深刻な経済問題を抱えており
FRBがテーパリングを予定通り進めればこうした不安がさらに深刻化する恐れがあることから
なかなか資金の流出が止まらないのではないかと推察しています。
こうなると通貨安によるインフレの進行で景気が悪化し
景気の悪化がさらに通貨安を招くという負の連鎖に繋がることも充分考えられ
此の度の新興国問題は予想以上に深刻化且つ長期化するのではないかと危惧しています。
次に株価ですが
2014年は米国を初め先進国の景気回復により世界経済は上向くとの見方が大勢を占め
IMFは昨年10月の世界経済見通しを3.6%から3.7%に僅かながら上方修正したばかりです。
しかし新興国経済の悪化が長引けば
中国経済の減速やユーロ圏の金融不安と共に思わぬ足枷になる可能性があり
今後世界経済に対する判断は下方修正も有り得るのではないかと思います。
因みに世界的に株価が下落する原因は
金融不安、地政学的リスク(戦争・テロ)、核問題、天変地異、伝染病など様々ですが
株価の低迷が最も長引くのは金融不安だけに
今回の新興国問題はサブプライムショックほどのインパクトは無いとしても
世界の株式市場を長い調整期間に導く可能性は大いにあると思います。
また日経平均株価に関しては先週末の終値が14914円で100日線(14960円)を下回りましたが
CME円建ては14610円で、むしろ200日線(14414円)に近い水準まで下げています。
個人的には為替が1ドル101円台~103円台の水準にあるうちは
概ね14500円~15000円のレンジ相場を想定していますが
万一100円を割る様であれば日経平均が14000円を下回る場面もあるのではないかと思います。
とはいえ、今のところテクニカル的には14500円付近での打診買いを予定していますが
全体的な株価推移に比べ下げ渋っている銘柄については週明けの打診買いも考えています。
ただ現在CP85%を堅持していますが、昨日で持ち株トータルが含み損に転じたため
なるべく下値で買いたいと思い逸る気持ちをセーブしているというのが実状です。
ただテクニカル面も充分考慮すべきだとは思いますが
金融不安を伴う株価の下落は時としてテクニカルが通用しない場合も少なくないので
今は無理に逆張りに徹する必要も無いと考えています。