先週末発表の米雇用統計が予想をはるかに下回る結果となり、
それまで各通貨に対して買われていたドルが
逆に売られる展開となっており、円高方向にふれている。
とくに円に関しては先安期待(※1)が強いため、
円売りポジションがかなり積み上がっていたので
今回の雇用統計をキッカケにどれだけ巻き戻されるかが一つ注目だ。
※1/欧米各国の中央銀行は金融緩和を引き締める方向だが、
日本の中央銀行、つまり日銀は金融緩和を持続
あるいはさらなる追加緩和の可能性もあり、
金融政策の違いから円が一番弱い通貨となっている。
予想をはるかに下回った雇用統計に関しては
12月のアメリカの悪天候が原因とする見方もあるが、
雇用統計の内訳を見るに、平均時給や労働時間が減少しており
アメリカ経済がまだまだ脆弱であると見てとることもできる。
[雇用統計の詳細」
・米・12月失業率:6.7%(予想:7.0%、11月:7.0%)
・米・12月非農業部門雇用者数:前月比+7.4万人(予想:+19.7万人、11月:+24.1万
人←+20.3万人)
・米・12月民間部門雇用者数:前月比+8.7万人(予想:+20万人、11月:+22.6万人
←+19.6万人)
・米・12月平均時給:前年比+1.8%(+1.9%、11月+2.0%)、3月以来で最低の伸び
・米・12月週平均労働時間:34.4、(予想34.5、11月34.5)
・米・12月労働参加率62.8%(11月63%)悪天候のため
・米・12月不完全雇用率:13.1%(11月13.1%←13.2%)
市場の見方としては、おおまかに以下の3つに分けることができる。
①12月の雇用統計の悪化は一時的なものでQE3のさらなる縮小がある。
⇒長期金利上昇、リスク資産の巻き戻し、株安
②雇用統計の悪化は成長の脆弱さもあり、QE3のさらなる縮小はない
⇒長期金利の上昇一服、株高期待
③アメリカ経済の成長3%は難しく、先行に不透明感が増した。
2月上旬の債務上限問題も懸念材料だ。
⇒リスクオフによる安全資産への逃避で長期金利低下、株安
QE3のさらなる縮小があるかは次回のFOMCで判明するが、
1月28、29日開催の次回FOMCまで
景気回復の判断材料となる企業決算や経済指標、要人発言によって
①~③の間で揺れ動くこととなろう。
日本株に関しては、円高進行が一番のネックである。
①になれば、日米金利差からドル円が買われることとなるが、
冒頭にも書いたとおり、円売りポジションがかなり積み上がっていたため、
今現在は、円売りポジションの巻き戻しが起こっている。
5月の高値103.74円を割り込むと、103円割れや102円割れと
さらに円高が進むことが考えられ、
日経平均や自動車をはじめとする輸出企業は弱含むだろう。
しかしながら、NYダウなど世界の株が堅調に推移している間は
リスクオンモードなので、円高の影響を受けにくい
新興株や小型株などは引き続き堅調だと思われる。
ただ、日経の下落が1万5500円を割り込むなど大きくなってくると、
センチメントの悪化は新興・小型にも影響を与えるだろう。
と、書いている間に、ドル円が5月高値の103.74円を割り込んでしまった。