先週末の6月7日の米国市場は雇用統計の結果を受けて、株価が大幅に上昇したようですね。
「景気が回復しているが、FRBが金融緩和を縮小するほど良くなかった」というのがその理由のようです。
こうした判断が広がった理由のひとつとして失業率が7.6%と前月の7.5%から0.1ポイント上昇したと報じられたことがあるらしい。
ところが、これは小数点以下の2桁以下の値を四捨五入したことで失業率の上昇が過剰に強調されているらようだ。
細かく見ると7.510%から7.555%に上昇したので、実は0.045ポイントの上昇と報道の半分以下というのが本当の数字とのこと。
つまり、市場参加者が考えているほど金融緩和の水準を維持するようなものではないのだ。
そのせいか、この雇用統計の数値発表後の日本時間6月8日2:59のダウ・ジョーンズの報道によれば、経済専門チャンネルCNBCに出演したグリーンスパン前議長が「FRBがQE3の縮小を開始すべきだ」と発言したそうである。
もちろん、現職ではないグリーンスパン前議長の発言であるから、現在のFRBの政策決定には直接の影響はないだろう。
しかし、米大統領経済諮問委員会(CEA)のクルーガー委員長が「今回の雇用統計で米経済の回復が継続していることが一段と確認された」と発言していることから判る通り、米国当局は景気回復していると見ているのも事実なのだ。
何しろ、この雇用統計の対象期間は米国連邦政府が強制歳出削減に追い込まれて公的雇用が減少している中でのものでもあるからだ。
つまり、強制歳出削減が終われば一段と雇用者数が増える可能性があるといえる数字なのである。
そうした点を考慮すれば、「このまま雇用改善ペースが順調に進めば、FRBは9月にも緩和縮小に動く」との観測は決して無視できるものではないだろう。
このように色々なことを見ていくとこの先も米国の量的緩和を巡る思惑が入り乱れ、その度に相場の流れが変化するリスクが残りそうに感じます。