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順張りと逆張り(2)

前回の投稿では、順張りと逆張りにおいて、どちらの場合も勝率は変わらないと言うのをそのランダム性によって説明したと思うが、それでも現実にはトレンドフォロー信者はたくさんいるし、その方法で儲けている人々もいるのが現状だ。果たして、彼らにはどのような思考回路が働いているのか?私なりに考えてみることにした。

理論上、株価はランダムに動くとスキャルピングできない構造にはなっているものの、実際問題としては、この考えには抜け道が用意されていると考える。例えば、株価のランダム運動は、数値化されている時点で、その位置が明白に固定されているという点。空気分子によるブラウン運動には、その位置に関係なく立場は中立だが、株価はそうではないのだ。具体的には、あなたが今、Sサイエンスの株を1円で買ったとする。本来株価がランダムに動く場合、勝率は50%のはずだが、この場合、あとは2円に上がるのみなので、勝率100%となる。これが示すことは、株価が1円に近づくほど、株価上昇による期待値のマイナス補正は少なくなっていくので、低位株などでは、買い方に有利な作用が働くということである。

でも、株価10000円以上の株でも1円をつける可能性はあるし、同じ上昇補正がかかるんじゃない?・・という意見が聞かれそうだが、重要なのはレンジの問題である。Sサイエンスはレンジの中に1円というオプションがあるが、例えばガンホーのような株には倒産でもしない限り1円というオプションは残されていないのだ。

コインの表裏が出るようにして、半分半分の確率で上下変動する株価の上昇幅の期待値は・・
(*期待値における確率の和については、式の簡略化のため省略。以下は厳密には正しくない式である。

株価が2円の場合
(-1) × 1/2 + 1 × 1/2  + 2 × 1/4 + ・・・・・・・ = ∞(上昇期待値無限大)

株価が200円の場合
(-1) × 1/2 + (-2) × 1/4・・+(-199) × 1/(2^199) + 1 × 1/2 + 2 × 1/4 +・・ = ∞(上昇期待値無限大)

となるのだが、これをレンジで限定すると、

株価が2円の場合(レンジ幅2円)
(-1) × 1/2 + 0 + 1 × 1/2 + 2 × 1/4= 0.5

株価が200円の場合(レンジ幅50円)
(-50) × 1/2^50 +・・-1×1/2 + 1 × 1/2 +・・+ 50 × 1/2^50 = 0

株価はマイナスはありえないので、このように1円がレンジ内に組み込まれている場合、期待値はプラス補正がかかってしまうのだ。

で、このレンジという考え方で株価の売買を考えると以下のような問題が出せるだろう。

 以下のように、A.12000円, B.11000円, C.10000円, D.9000円, E.8000円, のレンジ幅で動く株価がある。現在10000円であなたはこの株に買いを入れるとする。 レンジの上限と下限では、これ以上株価が動かないので、あなたは上限レンジAでは売り、下限レンジEでは買いを強制発動させることにしている。
 株を買うこと3日目、あなたは現在の株価を確認したところ、レンジDの9000円で推移しており、-1000円の損失を出していることが判明した。あなたはこのまま株の買いポジを持ちつづけるべきだろうか?それともここで空売りして、8000円に向けてドテン売りポジを持つべきだろうか?

A.12000
B.11000
C.10000
D.9000
E.8000

これと似たような問題として「モンティ・ホール問題」があるので、興味がある人は参照して欲しい。

レンジ相場の考え方では、株価をブロックとしてとらえるので、例えば株価A12000円とB11000円の間に存在する11200円などの株価は、あくまでも通過点として考えることになる。その結果、コインを振って表が出たらCからBに移動する、もしくは、裏が出たら、CからDに移動する、といった解釈と似たようなことが行われることになる。

そこで、上がる下がるの勝率が50%だとして、CからB、もしくは、CからDに移動する確率は、それぞれ1/2となり、株価がCからAまで上昇する確率は、1/2 × 1/2 = 1/4 と言う確率になる。

で、それぞれの期待値を計算すると、

損切りせずにそのまま株を持ちつづけた場合は、DからAに移動したときの利益が+3000円で、確率は、1/2×1/2×1/2=1/8, 同じくDからEの損失が-1000円で、確率は1/2なので、
その期待値(E)は、
E = (-1000) + 3000 × 1/8 - 1000 × 1/2 = -1125 (1125円の損失)

株価を損切りして、ドテン売りに切り替えた場合、10%の損失が発生するので、売りポジの合計額は買いポジの時よりも少なくなるので、
その期待値(E)は、
E = (-1000) + 1000 × 1/2 × 9/10 - 3000 × 1/8 × 9/10 = -887.5 (887.5円の損失)

結果から、下がった株をそのまま塩漬けするよりも、損切りして、ドテン売りに切り返したほうが、確率的に有利であることがわかるのだ。

ああ、おそらくこれが、逆張りに対して順張りの優位性を示す根拠となろう!!

誰しも、ポジションに対して損失が発生したとき、それをホールドし続けるということは、その後反転して利益になることを見越しての行動であり、それは必然的に逆張りになる。ここで、損切りを行い、手のひらを返すようにドテン売りに転じることは、トレンドフォローであり、順張りである、と見なすこともできる。

しかし、ここでも順張り教の信者達は、この神話の致命的な欠点を見逃している。すなわち、この戦略は、損失を出したときにのみ有効であって、最初のポジションメイキングにおいては、有効性を持たないという点だ。ぶっちゃけ言ってしまえば、株価が上がっていようが、下がっているときにエントリーしようが、そのはじめの期待値は依然として50%のままであるということだ。
そしてもう一つの欠点は、このレンジという概念の不確実性だ。上の問題でも分かるように、株価の上限が12000円、下限が8000円などとどうして決めることができようか?順張り派は、ここが天井、ここが底、というように勝手に決めつけずに相場についていくことをスタンスとしているようだが、レンジを決めて順張りをしなければ、実質期待値を上げることができないという矛盾を抱えていることになる。そこで、順張り教の連中は、レンジブレイクなる教義を生み出すこととなるのだが、そもそもそこが意味不明(笑)。レンジを外れてしまえば、上記のような期待値のズレは発生しないし、前の日記で書いたブラウン運動に収束してしまうのだ。まあ、順張り逆張りなんて結局は五十歩百歩、ドコも変わらんのだろう。

おっと、一つだけ例外を忘れてた。さっき書いたSサイエンスの株だ。
この株には1円底値という下限レンジが存在する。よって、ここではレンジの教義は絶対化する。

順張り派には、ボロ株低位株投資をオススメしたい。
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