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☆☆☆株式投資で勘違いしやすいこと

今日は株式投資で初心者の方が誤解しやすいことを幾つか書いてみます。


①勝率に拘らず勝敗に拘るべき
株式投資で勝率に拘る人はなかなか成果を上げることが出来ません。
何故なら、投資はトータルの勝敗が全てであり

勝率に拘るとロスカットのタイミングを誤り傷口を広げ兼ねません。

例えば1年間で100万円稼いでも、その内訳を見ると

3割の銘柄で利益200万円、7割の銘柄で損失100万円ということは良くある話です。
つまり年間収支がプラスであれば取引ごとの勝率は3割でも1割でも構わない訳で
そう考えれば、年間を通じて売買する銘柄のうち、7割の銘柄は容易に損切り出来る筈です。
(まとめ)
9勝1敗でも収支がマイナスなら負け、
1勝9敗でも収支がプラスなら勝ち。

勝率に拘らず勝敗に拘ればロスカットが容易になります。

②株価の上昇率と下落率はたとえ同率であっても重みが違う
損切りのお話をした序に、損切りの重要性をもっと解かりやすくご紹介しておきます。
例えば、株価が5%上がった場合と5%下がった場合

どちらも比率は5%なので全く同じに思えますが実はそうではありません。
株価1000円の株が950円に下がった時の下落率は5%ですが

950円の株が1000円になるには5.3%の上昇率が必要です。
つまり5%下がったから5%上がれば元の株価に戻るという訳ではないのです。

もっと切実な例として、100万円の資金が50万円に減った場合、
資金の減少率は50%ですが
この負けを取り戻そうとすれば50万円の元手で50万円利益を出す必要があるので

100%のパフォーマンスが必要になります。
100万円の資金を半分に減らすには数日もあれば充分ですが

50万円を倍にするのは容易なことではありません。
因みに50万円を倍にする為には、単利計算で毎月3%利益を上げ続けても2年かかるので

これははっきり言って至難の業です。
(まとめ)
株価の上昇率と下落率の違いを肝に銘じておけば、損切りは容易に決断出来ると思います。

③投資とギャンブルは似て非なるもの
ギャンブルは競馬や競輪の様に

胴元が一定の手数料を差し引いた残りの賭け金を還元する仕組みが一般的なので

胴元は必ず儲かり、客は平均すると必ず損をする仕組みになっています。

それでは株取引の場合はどうでしょうか?
例えば上昇相場が長期間続けば殆どの投資家が儲けることも可能で

こういうことはギャンブルでは決して起こりません。
またジェレミー・シーゲル博士の「米国に於ける200年の統計」によると

株式投資の還元率は107%となっており、この統計結果を見る限りでは

株式投資が経済の影響を受けるリスクを考慮しても、ギャンブルと同じだとは言えません。

但しこの統計結果はあくまで過去のトータルであり、個人投資家にも同様に還元される訳ではありません。
因みに、身近なギャンブルの還元率を比較してみると
ラスベガスのカジノ・平均(97%)、パチンコ(85%)、競輪・競馬などの公営ギャンブル(75%)

日本の宝くじ(48%) の順となり、還元率の低さでは日本の宝くじが群を抜いています。
しかし実際には、売り上げの大半が福祉の充実など社会貢献に使われるため

ギャンブルという認識は殆どありません。
因みにジャンボ宝くじで1等が当たる確率は、2トントラック一杯分買って1枚
もしくはボウリングで3000km先に置いたピンを倒す(ボールが到達したと仮定)くらい至難の業だそうです。

さて投資とギャンブルに違いがあることは何となく解かりましたが、投資にもギャンブル性は存在します
本来、株式投資とは企業価値に投資することであり

短期的な利鞘稼ぎや価格変動にお金を賭ける行為とは異なります。
ですから、デイトレの様な超短期投資や指数取引は若干ギャンブル性を帯びており

破綻リスクがある様な銘柄の売買は、投資ではなく投機ですからまさにギャンブルと言っていいでしょう。
(まとめ)
ギャンブルは一定のパイの中でお金を奪い合うので常に勝者と敗者が存在します。
これに対して投資は対象の価値が変化すればパイの大きさも変わるので
パイが膨らむ相場環境や、パイが膨らみそうな銘柄を狙って投資をすればギャンブル性は無くなります。


④長期投資と短期投資(自分自身の適性を知る)
長期投資と短期投資は単純に投資期間の長さだけでなく、それ以外にも両者を区別する根拠があります。
長期投資を行う際の判断基準は企業の価値、即ち業績や成長性ですから主な判断材料はファンダです。
これに対して短期投資の多くは、企業に投資するというより売買のタイミングで利鞘を稼ぐ訳ですから
主な判断材料はテクニカル指標であり、デイトレになると分刻みのチャートに対応しなくてはなりません。

また長期投資は企業価値だけでなく景気動向、金融政策、為替、商品相場といった経済環境や
地政学的リスク、災害など様々な外部要因にまで気を配らなくてはなりませんし
キャピタル・ゲインを目的にするのであれば、下落相場ではなかなか利益を出せないという難しさがあります。
これに対して短期投資は相場環境に左右され難いことが大きな利点ですが
トレードの判断にスピードが要求されるため、咄嗟の判断力やトレード環境が物を言います。
さらに、一時も値動きから目が離せないので、かなりの集中力が必要です。

因みに、長期投資と塩漬けを混同している人をたまに見掛けますが

塩漬けは機会損失そのものであり、決して投資とは言えません
(まとめ)
どの様な投資スタイルを選択するにしても、先ず自分の適性を理解しておくことが大事です。
また長期投資の利点の一つとして時間を味方に出来るという考え方もありますが
鉄板と思われていた電力会社や嘗ての国際優良銘柄が次々に暴落する様な相場環境では

逆に時間が仇になることもあるので要注意です。

⑤才能とスキル(投資に必要なのは才能ではなくスキル)
一言で表現すれば、才能(センス)は生まれ持ったものでスキルは努力によって身に付くものと言えますが
投資に関しては才能ではなく、スキルが重要だということを肝に銘じておく必要があります。

投資で失敗が続くと、自分には投資の才能が無いと思い込み、ついつい弱気になりがちですが
そういう人はスキルアップを怠っているだけで、投資に関する課題は努力によって殆ど解決するものです。
例えば、投資で失敗した時には必ず原因を明確にし

その顛末を記録しておけば次回の判断材料として役立ちます。
そして、こういう作業を積み重ね自分なりの投資マニュアルを作ることが成果獲得の近道だと思います。
(まとめ)
株式投資は才能ではなく、より多くのスキルを身に付けた人が勝者になれると思います。
ですから自分で投資に向いていないと思う人でも決して悲観する必要はありませんし
逆に努力せずに利益を上げている人は、大怪我をしないうちにスキルアップに努めることをお勧めします。

⑥買い煽りと売り煽り(他人の本心を探ると投資が一段と楽しくなる)
例えばYahooの株式掲示板を覗くと、買いや売りを煽る様な投稿をしばしば目にしますが
内容を良く読んでみると意外な本音が見えて来ることがあります。
そもそも相場は騙し合いの世界(心理戦)ですから、情報発信者が本音をそのまま表現するとは限らず
買いたい人が売り煽り、売りたい人が買い煽っても何等不思議ではありません。

掲示板での例を幾つか挙げると
当該企業絡みの情報(URL)を貼付して熱く語る人は思い込みが激しく間違いなく買い方
ハンドルネームに当該企業の社名を使っている人も思い込みの激しい人で買い方
落ち込んでいる人も殆ど買い方
論理的な文章で売りを仄めかす人は買い方で、同じく買いを仄めかす人は売り方というケースは意外に多い
控えめな表現でネガティブな発言をする人には売り方が多い
突然現れて根拠のない買い煽りを繰り返すのは、仕手筋の真似事を企むデイ・トレーダーかも
他人に恐怖心を与える様なしつこい売り煽りは、大抵損をした腹癒せか嫌がらせ
ステハンを使った誹謗中傷紛いの投稿も大半は嫌がらせ(稀に性質の悪い売り方が居るかも)

別に株式掲示板の投稿を参考にして株を売買する訳ではありませんが
個人投資家の心理を推察することで、急いだり見送ったりという参加するタイミングが見えて来ることもあります。
他にも裏がありそうな表現は幾つかありますが、他人の本音を推し量るスキルが向上すれば
株式投資がもっと楽しくなるかも知れません。
(まとめ) → 株式掲示板の活用法
売り煽るのが買い方で、買い煽るのが売り方であることは意外に多い。
掲示板の様子から察して、塩漬けホルダーが多そうな銘柄は焦って買うとお友達になり易い。
様々な言葉の裏を常に探ろうとする心構えが心理戦に勝ち抜くスキルを育成する。

⑦余裕資金と予備資金(予備資金は非常用と考える方が賢明)
投資を余裕資金の範囲内で行うのは当然のことですが
余裕資金(株式投資に投入出来る資金の総額)だからといって全額投資してしまうと

何らかの理由で相場全体が暴落した時に大きな損失を被る恐れがあります。
そこで資金のおよそ半分は予備資金(実質的な余裕資金)として温存し

相場の地殻変動に備えて置くのが正しい資金配分と言えるでしょう。

しかし、幾ら計画通りに資金配分を行っていても、資金が目減りすると状況は変わります。
例えば資金100万円でトレードを始めた時

そのうち50万円は予備資金として確保し、残りの50万円を投資したとします。

仮に相場が急落して25万円損をすると、少しでも早く取り戻したいと心が逸るのが人情です。
しかし予備資金(50万円)を温存したままだと、損失を埋めるための手元資金は25万円しか残りません。
つまり25万円を50万円にするためには100%のパフォーマンスが必要ですから現実的にはほぼ不可能です。
そこで誰もが考えるのが予備資金に手を付けることですが

予備資金を全額投入すれば大抵の場合事態はさらに悪化します。

予備の資金を全て投入してさらに含み損を抱えると、今度こそ身動きが取れなくなるので

こういう時は残った資金(75万円)をベースにして、新たな枠組みで資金配分を行うこと
つまり投資資金37万5千円、予備資金37万5千円という資金配分でリスタートするのが賢明です。
(まとめ)
どの様な理由があろうとも資金管理のルールを崩すべきではありません。

つまり余裕資金だから全額投資しても良いという訳ではなく

いざという時のために、必ず同程度の予備資金を残しておくべきです。

但し崩す局面があるとすれば、何等かの理由で一時的に相場全体が暴落した時くらいでしょう。

1件のコメントがあります
  • イメージ
    kfjさん
    2012/11/8 07:27
    う~ん,目配りがよく行き届き,巧みに構成された文章ですね。感服しました。

    私もついうっかりして,今日の今日まで kabukabumanさんの日記を見逃しておりましたが,こうした極めて良質な内容にコメントがあまり付かない。だからこそ,マーケットには勝機があるのでしょう。(^_^)/

    株式投資以外,ご本業でもレベルの高いお仕事をなさっておられるに相違ありません。過去の日記についても遡って読ませていただきます。今後ともよろしくお願いします。
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