ユーロ圏財務相:スペインの銀行支援を最終承認-1000億ユーロ
7月20日(ブルームバーグ):ユーロ圏諸国の財務相らは20日、1000億ユーロ(約9兆6000億円)規模のスペインの銀行救済を最終承認した。
財務相らは電話会議で合意に達した。ルクセンブルクのフリーデン財務相が記者団に述べた。合意により暫定救済基金の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)による第1回融資に道が開かれた。合意文書の草案によると、EFSFは今から300億ユーロを調達する。このうち100億ユーロは「長期的な安全のための緩衝帯」として緊急事態に備える準備金となる。銀行は承認を受けた事業再編案を提出し次第、資金を受け取ることができる。
銀行救済は、スペイン政府が金融市場へのアクセスを維持するための対策の柱。同国のラホイ首相はこの日、今後1年半の経済政策を打ち出し始めた。スペイン10年債利回りは7%を上回り、市民は緊縮策への抗議行動を街頭で繰り広げている。
バークレイズ・キャピタルの南欧担当チーフエコノミスト、アントニオ・ガルシア・パスクアル氏はこの日の顧客向け文書で、「救済プログラムが市場の鎮静化と国家の資金調達コスト押し下げに役立つかどうかは不透明だ」とし、「海外投資家と一部の国内金融機関は様子見姿勢を続けている。プログラムの実践が鍵と思われる」と記述した。
スペイン支援は当初、EFSFから行われる。EFSFに残されている融資余力は2400億ユーロ。恒久基金で5000億ユーロ規模の欧州安定化メカニズム(ESM)は、ドイツの裁判所が判断を下す9月まで実質稼働できない。また、銀行への直接資本注入ができるのは、欧州中央銀行(ECB)の役割が拡大されユーロ圏の銀行監督一元化が実現した後になる。
スペイン10年債は7営業日続落し、この日の利回りは一時7.12%に達した。ドイツ債との利回り格差も過去最大を更新した。