スペイン首相:650億ユーロの財政措置-就任来4回目の緊縮
7月11日(ブルームバーグ):スペインのラホイ首相は11日、増税と歳出削減を組み合わせ向こう2年半で650億ユーロ(約6兆3300億円)の収支改善につながる措置を発表した。ユーロ圏ソブリン債危機に歯止めをかけるため、リセッション(景気後退)を深刻化させかねないリスクを承知で財政面で措置を講じる。
同首相の就任以来7カ月で4回目の財政緊縮パッケージは、付加価値税(VAT)の税率を21%とこれまでの18%から引き上げるほか、住宅購入者向けの税控除の廃止、失業手当の減額、地方政府の統合、一部公務員の年末賞与廃止などを盛り込んだ。財政措置の規模は発表済みのものの2倍。
ラホイ首相はマドリードの議会で同措置を説明。70分間の演説で、「私が打ち出した措置が喜ばしいものではないのは承知している」とした上で、「喜ばしくはなくとも、不可欠なものだ。われわれは極度に深刻な状況にある」と訴えた。
総選挙で大勝し昨年12月に就任したラホイ首相だが、債券市場と欧州諸国からの圧力で、公約とは裏腹に財政改善に取り組まざるを得なくなっている。「減税をすると言ったが、増税を実施することになった。しかし、状況が変わったのだからそれに適応しなければならない」と述べ、国民に理解を求めた。
スペインは今週のユーロ圏財務相会合で、欧州連合(EU)協定が定める財政赤字の上限(国内総生産=GDPの3%)を順守する時期を1年先送りすることを認められた。今年の赤字目標は6.3%と従来の5.3%から緩和された。一方で財務相らは財政改善を急ぐことをスペインに促し、欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)は10日、「追加措置をどちらかと言えば早急に取る必要がある」と述べていた。
スペインは長期国債を6.577と大分改善した