6月6日(ブルームバーグ):欧州連合(EU)は6日、経営が行き詰まった金融機関の救済で無担保優先債の保有者に損失負担を強制することや、銀行による課徴金の支払いを盛り込んだ指令案(法案)を公表する。
指令案は、銀行危機の際に各国政府が「最後の貸し手」として相互に資金を融通し合うことも制度化する内容。国境を越えて事業展開する巨大金融機関の破綻に対処する資金プールの整備も求める。EUの複数の当局者が5日明らかにしたところでは、EUの行政執行機関、欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・金融サービス担当)は、銀行救済の負担から納税者を解放するために必要な措置だと主張する見通しだ。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁や欧州委のバローゾ委員長は、少なくともユーロ圏の政府間で規制の一層の調和を図る「銀行同盟」を提唱。バルニエ委員は先週、切迫した状況にある金融機関に対応するEUレベルで一元化した資金プールや、銀行監督の統合強化を盛り込む今回の指令案について、EU域内での銀行同盟の足掛かりになるとの考えを示していた。
お粗末で遅きに失する
ロンドン・ビジネス・スクールのリチャード・ポルテス教授(経済学)は指令案について、「欧州当局のこれまでの全ての危機対応と同様、あまりにもお粗末で遅きに失する内容だ。銀行の取り付けとその結果としてのユーロ圏崩壊を食い止める時間は、EUにはほとんど残されていない」と電子メールでコメントした。
EU当局者らによれば、バルニエ委員のプランはいわゆる「整理基金」として危機に直面する金融機関が直ちに利用できる最低限の資金を確保するため、銀行に年1回の課徴金の支払いを義務付ける。債務の減免など他の措置が決まるまで監督当局の時間を稼ぐことが狙い。課徴金だけで不十分な場合には銀行に追加的な資金拠出を求める可能性もあるという。