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スペイン銀行 34.3兆円支援必要か

 

6月5日(ブルームバーグ):スペインは資金繰りに行き詰まった銀行を救済するため、欧州連合(EU)に資金支援を求めるべきだと同国の銀行最大手サンタンデール銀行のエミリオ・ボティン会長が訴えた。政府が自力で難題に対処できるのか疑問を呈する声がバンカーの間で高まっている。

ボティン会長(77)は、バンキア・グループを含む国有化された銀行向けにEUから400億ユーロ(約3兆9200億円)の資金支援を受ければ、スペインの銀行危機解決には十分との見方を明らかにした。サバデル銀行のホセ・オリウ会長は、脆弱(ぜいじゃく)な金融機関のためにEUの資金を利用することが「解決策になり得る」と発言。バンクインターのマリア・ドロレス・ダンカウサ最高経営責任者(CEO)もスペインに選択の余地はないとの考えを示す。

スペインの銀行・投資サービス会社、レンタ4銀行のホワン・カルロス・ウレタ会長は、「EUないし国際通貨基金(IMF)からの支援メカニズムの利用が最善の選択肢だ。銀行業界ではそうした見方がますます強まっている」と指摘。その上で、「評判に傷がつくリスクはある。困難に直面するのが一部の金融機関にすぎず、銀行業界全体は健全だと強調することが非常に大事だ」と話す。

スペインは先月のバンキア・グループの国有化によって、欧州債務危機の表舞台に躍り出た。同行がバランスシート修復のために行った190億ユーロの支援要請は、銀行セクターの損失拡大の実態とそれを吸収する政府の能力が逼迫(ひっぱく)する状況を浮き彫りにしたからだ。

多元的問題を同時処理

サクソ・バンクのチーフエコノミスト、ステーン・ヤコブセン氏は、スペインが中央政府と自治州の財政資金のニーズを手当てする救済を求めないで、銀行のための支援を受け入れるのは非現実的だと指摘。「スペインは不動産から財政再建に至るまで多元的な問題に同時に対処しなければならない。EUから400億ユーロの銀行支援を得ることで状況を解決できると考えるのはナンセンスだ」との見方を示す。

JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、デービッド・マッキー氏(ロンドン在勤)は5月30日付のリポートで、2014年末までの財政資金ニーズの合計額と銀行への資本注入必要額750億ユーロを合わせると、EUとIMFによるスペイン向けの包括支援策の規模は約3500億ユーロ(約34兆3300億円)に達するとの試算を明らかにした。

エクサンBNPパリバのアナリスト、サンティアゴ・ロペス氏は5月29日付のリポートで、スペインの金融システムについて、これまでに国有化された3行のバランスシート整理に300億ユーロ、他の金融機関のために150億ユーロの公的資金がさらに必要になる可能性があると分析している。

 

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