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④のITバブル以前の①②③はNYダウ30種平均の動きを見ていれば世界の株式市場の動向がわかります。したがって、①②③はNYダウ30種平均の騰落率で検証しています。④のITバブル、⑤のブラック・マンデーは、資本主義経済のグローバル化が始まり、中国をはじめとした新興国の存在感が非常に高くなり、モルガン・スタンレーのMSCIワールド・インデックスの騰落率で検証しています。
過去5回の歴史的クラッシュ(暴落)のピーク/ボトムの期間は1年~3年、その下落率は平均-56%です。
過去4回の歴史的クラッシュ(暴落)の安値後の上昇期間は4年~9年、上昇率は平均170%です。平均上昇率は寄与度が極めて高い①の大恐慌を除いた②③④で計算すると、平均は111%になります。
2008年のリーマン・ショックは、過去の大クラッシュにそん色ない下落率(-60%)になっています。やはり、リーマン・ショックは世界の株式市場を巻き込んだ歴史に残る大クラッシュであったことが、過去のデータからも検証されます。
2009年3月の大底から今年4月の高値までの上昇率は約80%です。金利上昇、ギリシャ危機などをきっかけにした5月の調整で、上昇率は51%まで下がっています。1929年の大恐慌を除いた過去3回の大クラッシュ後の上昇率111%から鑑みて、現時点の世界の株は、まだここから2倍以上上昇する可能性が極めて高いということになります。
今後、「英米」、「大陸欧州」、「日本」、「中国を中心とした新興国」の覇権争いが、「お金の世界」と「物作りの世界」で繰り広げられると考えています。なぜなら、2009年を境にして、「米国経済を中心とした先進国が主導する世界経済拡大期」から決別して「高成長の多くの新興国経済(多極化経済)が支える世界経済拡大期」に突入したことが、異論をさしはさむ余地が無いほどに明らかだからです。ギリシャ危機、ユーロ財政問題もまた、「英米」、「大陸欧州」の金融競争の中で起きた、その金融覇権争いの一環に過ぎません。
過去5回の大クラッシュ前と後を描いた株価グラフ①から⑤を眺めていると、現在、リーマンショックの安値後の上昇期間がまだ2年目に突入したばかりの魅力的な投資タイミングが、5月の株式市場の調整によって出現しようとしています。
量から質に転換しようとしている高成長の新興国経済にフィッティングした日本企業は、内需、外需を問わず、たくさんあることを知る時と思います。
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