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ブログ

ウェブ時代に生きる

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 梅田望夫著「ウェブ時代をゆく -いかに働きいかに学ぶか」を読んだ。この人の意見は示唆に富んでおり、ウェブの片すみで生息している翔年にとっても、なかなか有益だった。多分、若い人にとっては、昔、翔年が読んだ梅棹忠夫先生の「知的生産の技術」に相当する一冊の本に位置づけられるのではないかと思う。


 本の中に「ネットは知恵を預けると利子をつけて返す銀行」という面白い考えが紹介されている。極めて具体的な説明で大変分かりやすい。㈱はてなの創業者近藤淳也氏の著書『「へんな会社」のつくり方』からの引用です。
 自社サイト「はてな」の運営に関しても、「こういう問題が出てきていますが、こんな風に考えています」といった情報を出せば出すほど、多くのユーザーの方々から「その問題の本質はそこではなくて別の部分にあるんだよ」とか、「その方法は一部のユーザーしか満足させられないぞ」といった指摘をたくさんいただきます。中には、はっとするような新鮮な視点が含まれていて、危うく一部のユーザーに不利益を与えるような仕組みを作ってしまうところだった、という経験もしています。こういう経験をくり返していると、インターネットは知恵を預けると利子をつけて返してくれる銀行のようなものだ、という感じがしてきます。

 2003年末からBlogを書き始めた翔年も、利子以上の恩恵をネットから受けた経験が幾度と無くあります。
 リアル世界では決してつき合いの機会のなかったであろう方々、例えば「人セム」の玉川和正氏、「快楽原則」のkompfさん、「情報考学」の橋本大也氏、”Ten Thousand Leaves”のYN氏、奈良のO氏、神戸のYさんなどなど、翔年が預けた以上の利子を今も返して下さっている。

 著者の梅田望夫氏はネットの達人らしく「知恵を預けると利子を返してくれるなんてものじゃなく『脳を預けたらそれが膨らんで戻ってくる』ような気がした」と知的興奮が伝わってくる表現をされています。多分、対話や討論を通じて、知的興奮の連鎖から知的産物の結晶作用がはじまり、最後に輝く何物かが生み出されているのでしょう。
 昔から一流の学者はディスカッションを良くやっていましたが、それが今は普通の人々がネット上でオープンな形で出来るのだということがよく理解できました。


 もう一つ共感したことは「ネット空間の日本語を知的に豊穣なものに」するということ。
 
 英語圏ネット空間の知は「次の十年」で圧倒的に充実していくだろう。このまま十年が経過すると、英語圏の「学習の高速道路」が著しく充実し、英語圏に生まれ育つことの優位性がこれまで以上に増幅されてしまうのではないかという危惧すら抱く。(中略)
 日本語圏のネット空間を知的に豊穣なものにしていけるかどうかは、日本語圏に生きる私たち一人ひとりの意志にかかている。ネット上の知の可能性を過小評価して何もしなければ、十年後の英語圏ネット空間と日本語圏ネット空間の間には、取り返しがつかないほどの格差が広がっていることだろう。

 この指摘は警鐘なんて生易しいものではない。恐ろしい予言を含んでいると思う。
 知の空間は広い。全国の図書館、博物館、美術館、動物園、植物園、水族館、さまざまな研究所にある論文や資料、行政組織や企業が集めたデータなど、日本語でアクセスできる豊穣な知的空間は十年でどの程度できるのだろうか? はたして、このようなダイプロジクトを目指す動きはあるのだろうか? グーグルやアマゾンが着手している全ての知識をあまねく集めるという大プロジェクトはよく耳にする。たいして日本語の知の空間つくりの話はあんまり聞こえてきません。国会図書館の本の電子化程度で満足していてはいけないと思います。
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