みんかぶで,貴重なご教示の数々を頂戴している KAMEKOさんは,「本業で駄目な人が,トレードで起死回生を図ろうなんて笑ってしまう」というご見解をお持ちである。彼女のそうした言及を拝読する度に,私も「その蓋然性は高いだろう」と考えてきた。ただその根拠を,私自身は具体的に言語化できてはいなかった。
ところが昨日昼間,
小宮一慶,『報われない人の9つの習慣』青春出版社 2011
を読んでいて,はたとその根拠に思い至ったのである。
小宮氏は「他社や異業種に転職するのはリスクが高い」という見解を退け,「会社によって,業界によって,表面的な作業は違っていても,仕事が深くなればなるほど,本質は共通している」(p.160),「仕事の本質は大きく違いません。そこを勉強しておけば,どんな会社にも通用する」(p.161)と述べる。この「会社」を「投資」「トレーディング」に置き換えても,多分差し支えはないだろう。
その件では「仕事の本質」と要約しているが,適切な情報収集に基づく的確な判断力,その判断を形にしていく着実な行動力など,ビジネスを進めていくために必須の諸能力の総体を指していると考えられる。
例えば,一定レベルの技術を持つ登山家が,A山には登れるが,同様の難易度のB山は無理,ということはありえない。A山が無理なら,B山も無理。A山が可能なら,B山も可能。それが世の道理というものである。
昼間の仕事(本業)ができる人は,夜の仕事(株式投資)も上手くできる,その可能性は明らかに高い。少なくとも,昼間の仕事ができない人が,こと夜の仕事はできる可能性よりも。
ネット上とはいえ何度かコミュニケーションを重ねていくうちに,相手がどういう人物であるかはまあおおよそ見えてくる(場合が非常に多い)。ビジネスパーソンとしてトレーニングをほとんど受けたことのない主婦やフリーターが,小遣い銭稼ぎ程度の意識で,あるいは人生一発逆転の悲願をかけて(という発想自体で既に負け試合に入っていると私は思うのだが)株式投資を始め,程なく退場という例をいくつか見てきた。そのどちらにせよ,当然と言えば至極当然の展開だったと改めて思わざるを得ない。