東日本大震災の1か月前から震源域近くの地下で、ゆっくりとした岩盤の動きが震源に近づく形で発生し、本震の引き金になった可能性があると、東京大学地震研究所の研究者が発表しました。
これは東大地震研の加藤愛太郎・助教が研究結果を明らかにしたものです。
加藤助教は、岩手、宮城の沿岸にある地震計の観測データを3月11日以前にさかのぼって、調べたところ、2月中旬頃、大震災の震源から40キロほど離れた場所で体に感じる地震を伴わない、「ゆっくり滑り」と呼ばれる岩盤の動きを見つけたということです。
この動きは、その後、2月下旬にかけて続いたうえ、本震の震源付近にまで近づいていました。また、ほぼ同じ領域で3月9日から11日にかけても、同じような岩盤の動きを示す観測データが見つかったということです。
加藤助教は、こうした動きによって地下で力が集中し、3月11日の地震の引き金になった可能性があると分析しています。
仮にこの動きが事前に確認されたとしても巨大地震が必ず起きるとは限らないと説明していますが、会見に同席した東大地震研の小原一成教授は、将来の巨大地震の予測精度の向上につながる成果だと話しています。(20日05:03)