東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う賠償金負担について

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東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う賠償金負担について

<前置き>
この日記記載時点で、東京電力株の保有および空売りは行っておりません

<主張>
東京電力の経営努力のみで賠償金を負担することは不可能である。結果、東京電力管内の人間が負担せざるを得ない。かなり長期にわたっては機構≒国の負担で賠償金を担うしかない

<お願い>
ありふれた主張に長文を費やしております。始めにお断りしておきます
自分の欲求で書いたものであり、あくまで「私感」を書きます


<ここから本題>
2011年3月11日に発生した東日本大震災、
その地震で発生した大津波が東京電力福島第一原子力発電所を襲い、
非常用ディーゼル発電機の全停止・配電盤浸水等の多重故障により全電源喪失となり、
地震で非常停止後冷却中だった1・2・3号機が順次炉心溶融を起こした
燃料被覆管【ジルカロイ】が溶融し、冷却水と触れたため大量の水素が発生し、
圧力容器・格納容器から漏れ出た水素が原子炉建屋上部にたまり、
1・3・4号機の原子炉建屋で相次ぎ水素爆発を起こした
結果、放射性物質を閉じ込めておく壁がすべて突破され【注:ベントで既に放射性物質は放出されていた】、
大量の放射性物質が大気中へまき散らされることとなった
また、圧力容器から漏れた水に混じった放射性物質は格納容器・原子炉建屋の壁も突破し、
地下へと浸透、あるいは海水が通るべき配管を通じて海へ流出した
いまだ放射性物質の放出は続き、長半減期の核種が検出されるなど、
事故の収束は今だ道半ば。廃炉に至るまでには30年ないしそれ以上の時間がかかり、
最低限行うべき核燃料の取り出しにしても、
燃料プールにある核燃料で3年、溶融した核燃料は10年ないし15年とも言われている
【溶融核燃料は正確な位置さえわからず、また形状が「象の足」と言われるように広い面積にわたっているだろうため、回収は困難を極める】
地震のみならず、原子力事故の被害まで受けることになり、今なお被害を受け続けている被災者の皆様にはお見舞い申し上げます
また、過酷な状況の中、福島第一原子力発電所で事故処理にあたっている作業員の皆様には厚くお礼申し上げます

原子力事故に伴う最高の補償は「原状復帰」ではあるが、
まき散らされた放射性物質をすべて除去【注:除染と言っているが、ある場所から他の場所に放射性物質を移しているだけ。放射性物質の総量は減少していない】することは人間の生きられる時間から考えると無理
現実的な対処としては、日本の平均的な放射線量と同等の放射線量を基準とし、継続的にその基準を下回るまで除染を行う、ことになる【自然放射線があるため、地球上いかなる場所も無放射線地域はない】
それまでの期間は、地元住民の皆様には申し訳ないが、避難生活を送っていただくこととなる
地元に戻れない精神的苦痛、仕事復帰できないことに伴う経済的損失など、さまざまな損失が現時点で生じており、今後も生じる
また、工業、農業、サービス業あらゆる産業に損害が発生しており、
放射性物質の吸着に伴うお茶や野菜、肉の販売停止などの直接被害や、
放射性物質で汚染されているのでは、とする風評被害も農業、漁業、観光業など幅広く発生している
すべて東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う損害と考えるべきである
原子力発電所を建設・運営してきた東京電力、原子力行政を推進してきた国には今回の事故に伴う被害を賠償する責任がある

法律論となると、原子力災害対策基本法および原子力災害対策特別措置法がその根拠となる。
小生、法律に詳しくないので、マスコミ等で報じられた内容を基に議論すると、
原子力災害の補償責任は電力事業者たる東京電力にある。国は原子炉1基あたり1200億円の保険をかけており、原子力災害発生時は電力事業者からの補償に充てるため、保険を適用し電力事業者経由で補償にあたらせる
ただし、電力事業者には免責事項あり、「予測不可能な天変地異」に伴う原子力事故については国が全責任を持つ、とある
事故発生当初、東日本大震災が「予測不可能な天変地異」にあたるかどうか議論があったが、予測不可能ではないとすることとなった【ならば、なぜ安全審査で予測していなかったのか?など疑問の残る判断ではあるが】。東京電力と国との力関係【誰が責任を負うか】を考えれば、当然の結果と言える
そのため、東京電力は国からの保険以外は自力で賠償金を負担することとなった

しかし、東京電力の現状を考えれば、自力で払い切れる額ではない。甘い見積もりでも数兆円、除染が長期にわたるのが確実のため、数十兆円ともなると試算されている
【高汚染地域は国が土地を買い上げ立ち入り禁止とし、
住民の皆様には集団移転していただく方が現実的解決の気はするが、
被害者の反発を招く措置なので提案できる人がいない】
そのため、東京電力の賠償を支援する機構を設立し、国および他電力会社が出資して東京電力の賠償金を貸し出し、東京電力は長期間かけて機構に返済を行うこととなった
東京電力自体の経営努力は当然求められ、給与カット、資産売却は行われており【甘いと批判はあるが】、人員削減、年金カット等、さらなる努力が求められている【発電・送電の分離議論があるが、別日記参照】
経営努力の一環として行う資産売却、不動産・株式等を売却するが、一時的な収入に過ぎない。一回売ってしまえば終わり。それ以上の収入はない。2兆円程度だろう
給与カット、人員削減、年金カットは持続的な経費節減となるが、あわせて1兆円になるかどうか。売上5兆円企業としては2割削減が限度。厳しく削ると、本来必要な設備投資や保守費用に手を付けることになり、結果として施設の老朽化・事故の増加を招く。福島第一原子力発電所の事故を収束させ、廃炉にするための費用も重くのしかかる。例年上げてきた年間利益2000億円程度を足してやっと1兆円に届くかどうか

一時金2兆円と年1兆円では、とても賠償金を満額満たすには足りない
一人の避難者に年間300万円必要として5万人避難者がいるとすると、それだけで1500億円
食べていく分だけで。医療費、介護費用も必要だし、教育費だって必要。仕事できないことによる遺失利益も同等になるだろう
避難地域内の企業も利益を喪失している。数千億円単位になるだろう
これらは避難者が元の生活に戻るまで払い続ける義務がある

一時的とはいえ、
放射性物質が検出された農作物・肉、風量被害への賠償も発生する
漁業についても、海中の放射性物質の濃度が低くならない限り漁ができないだろうから、その期間中の損失も賠償対象になる
また、避難地域に戻ることをあきらめた住民・企業等に対し、移転費用を負担することにもなる

除染については、学校の運動場の土の削り取り等で既に費用が発生しており、地方自治体がどこまで請求するか定かではないが、賠償する自治体は当然出てくる

詳しい数字を持たないので感覚的な数字ではあるが、年2兆円が最初の10年間、年1兆円が次の20年間、合わせて40兆円程度になると想定している。一方で、東京電力が負担できるのはざっと32兆円。8兆円不足する計算になる。不足分は機構が一時負担することになるが、東京電力はどうやって返すのか?
案としては、
(1)賠償終了後に利益から返し続ける
(2)電力料金を値上げし、値上げ分を賠償金に充てる
いずれかしかない

改めて考えなければならないのは、年金カット、給与カットは実は一時的な経費節減でしかないということ。つまり、年金カットが決まれば、それに見合った年金保険料が設定される。でなければ、将来世代は予定利率マイナスの年金に加入することになる。よって、現役世代は引き下げられた年金保険料しか払わず、引き下げられた年金を受け取る。なので、年金カットの効果は約20年とみるべき。給与カットについても同様で、一時的には減るが、数年たてばそれが普通となり、削減効果は薄い。人員削減が行われるだろうが、それも事務員中心だろう。いずれにせよ、時間がたてば節減効果はなくなる。あって10年がいいところだろう。なので、年1兆円の経費節減自体に無理があるのだが・・・

本論に戻って、機構から借りた資金をいかに返すか、だが、
(1)では返済までに数十年、約50年は必要だろう。水俣病を起こしたチッソが【会社形態は変わったが】現在も負担し続けているように、半永久的に負担する、と表現した方が正しい
(2)では福島第一原子力発電所が廃炉になったころ、あるいはその5年後程度には返せるだろう
消費者としては安いに越したことはないので、(1)であるべきと思うが、怖いのは必要な投資が行われなくなること。地震対策は火力・水力発電所、各変電所、送電施設等多岐にわたって必要だが、経費節減を厳しく国から指導されるため、必要であるとわかっていても先延ばしする可能性が高い。それに、現世代の過ちを将来世代にツケとして残すことにもなる。現世代は快適と低コストを求め、事故が起きるまで原子力発電反対を声高に叫んでこなかった。せめて将来世代にはきれいな環境を渡したかったが、その夢はかなわない。ならば、賠償金のツケを回すのだけはやめるべきではないか?
東京電力の経費節減努力は必須としても、電力使用者が負担すべきと考える
原罪に対するせめてもの償いになれば、と思うところ

再生可能エネルギーは実用化していかなければならない
各発電方式に欠点があるので、短期間で主力電源になることはない
原子力発電も使っていかなければ電力供給をまかなうことはできない
火力を増やせば温室効果ガスをより多く排出することになる。今年は京都議定書で定められた排出削減目標を達成できていない。削減どころか1990年基準で排出増になっている
最適解がどこにあるのか、難しい問題である
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