[ワシントン 21日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は21日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、総額4000億ドルの追加措置を打ち出した。
2012年6月末までに4000億ドルの6─30年物国債を買い入れ、償還期限が3年以下の国債を同額売却する「ツイストオペ」を実施する。
長期金利を押し下げることで、ぜい弱な景気と低迷する住宅セクターの支援を目指す。
また政府機関発行のモーゲージ担保証券(エージェンシーMBS)、政府機関債の元本償還資金をエージェンシーMBSに再投資する方針を表明した。
声明では「最近の経済指標は、全般的な雇用市場の状況が引き続きぜい弱であることを示しており、失業率は高止まりしている」と指摘。「世界的な金融市場の緊張など、経済見通しには著しい下方リスクが存在する」との見方を示した。
発表を受けた金融市場の反応はまちまちとなった。FRBの示した景気見通しの暗さを嫌気し、株価は下落。S&P総合500種指数は3%近く値下がりして引けた。
一方、長期国債価格は上昇した。指標10年債利回りは、約60年ぶりの低水準となる1.856%をつけ、追加措置が一部の予想よりも積極的であったことを示した。
超低金利を少なくとも2013年半ばまで維持する方針を表明した前回8月のFOMCに続き、今回もダラス地区連銀のフィッシャー総裁、ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁、フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁の3人が反対票を投じた。
米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のモハメド・エラリアン共同最高投資責任者(Co-CIO)は、反対票が出たことで、米経済のぜい弱性に関するFRBのメッセージを弱めたとし、「決定は、内部の対立がより深まっていることを示唆している」と述べた。
アナリストの間では、たとえツイストオペにより長期金利が低下しても、大きな景気浮揚効果は期待できない、との見方も出ている。
キャピタル・エコノミクス(トロント)のエコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「問題は借り入れコストではない。企業が投資しないのは、将来への自信が持てないからだ。住宅ローン利用者の半数は、借り換えに必要なホームエクイティ(持ち家の自己保有分)がない」と述べた。
FRBの金融緩和をめぐっては、成果が出ておらず、インフレやドル安につながるとの批判も出ている。
共和党議会指導部は20日公表したバーナンキFRB議長への書簡で 「FRBによるさらなる介入が現在の問題をさらに悪化させ、あるいは米経済を一段と損なうことを心から懸念している」と表明。
大統領選で共和党の有力候補に浮上しているペリー・テキサス州知事も、FRBがさらに紙幣を増刷すれば「背信行為」とみなすと主張している。