中銀は電子メールで配布した声明で、「大幅で持続的なフラン安を目指す」とし、「即時実行で、ユーロについて1ユーロ=1.20フランを下回る為替レートを容認しない。この下限レートを断固たる決意をもって防衛する。無制限に外貨を購入する準備がある」と表明した。
フランはユーロとドルに対し最高値を更新、スイスの輸出と景気に打撃を与えていた。中銀は先月、短期金融市場の流動性を高めるとともに政策金利をゼロとすることでフラン相場の押し下げを図ったが、ユーロ圏債務危機悪化を背景にフラン高が続いていた。
UBSウェルス・マネジメント・リサーチの経済調査責任者、シーザー・ラック氏(チューリヒ在勤)は「SNBは相当のリスクを伴う勇気ある行動を取った」とした上で、「大問題はSNBがこの水準を守るためにどの程度闘わなければならないかだ」と話した。
SNBは前回、1978年にドイツ・マルクに対してフラン相場の上限を設定した。
中銀の発表後にフランの対ユーロ相場は一時8.7%下落した。チューリヒ時間午前10時51分(日本時間午後5時51分)現在は1ユーロ=1.2035フラン。1ドル=0.8490フラン。フランは8月9日に1ユーロ=1.0075フランの最高値に達した。
日本も先月、円高抑制のため介入に踏み切った。安住淳財務相は6日、今週の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で円高についての懸念を伝えたいと述べた。
ソシエテ・ジェネラルの為替調査責任者(ロンドン在勤)、キット・ジャックス氏は6日の顧客向け文書に、「通貨戦争は白熱化しつつある」と記している。