演者:安部芳裕氏の講演より抜粋。
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そもそも「日本の関税率は高い」というのも事実と違います。
日本の農産物の平均関税率は11.7%であり、アメリカは5.5%と若干日本よりも低いのですが、
他の国々から比べれば、日本の関税率は圧倒的に低いのです。
★その他の関税率・日米間比較
日本 米国
鉱工業品 2.5% 3.3%
電気機器 0.2% 1.7%
輸送機器 0 % 3 %
化学品 2.2% 2.8%
繊維製品 5.5% 8 %
非電気製品 0 % 1 %
要するに日本は農業品だけが若干高いだけでだって、
あとはアメリカの方が関税率は高いのです。
ですから関税によって日本が開かれていないというなら、
アメリカの方がさらに閉鎖的な国といってよいでしょう。
ただ、関税率が貿易にとって重要だったのは昔の話です。
現在は、関税率はそれほど重要な問題ではありません。
貿易にとって重要なのは、今は為替レートなのです。
(略)
今、世界は通貨安競争に入っています。
日本がライバル視する韓国は、たしかに貿易輸出が増えています。
つまり、常に4割引きセールをしているようなものです。
日本の製品より若干性能が落ちても、安い方がよいという人が世界的には圧倒的多数なのです。
「自由貿易によって関税がなくなれば、日本は韓国との輸出競争に勝てる」
みたいなことを言っている人がいますが、はっきり言って見当はずれ。
まったく認識が違っています。
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米国の「2013年まで低金利」発言が効いていて、
日本がどれだけ為替介入をかましても、しばらくドル高・円安になりそうもない。
米国の政治経済戦略というものは、実に巧妙だ。