去年は、85円を割ると騒いでいた円が、77円。
円高は、輸出企業には、つらいが、消費者にとってみれば、
短期的に見れば物価安につながり、悪いとも歓迎したいところもある。
円高で値段がさがったものといえば、
私にとっては牛丼だ(笑)
大手三社の安売り戦争から激化した牛丼三国志は、牛丼ファンの私としては、楽しい。
老舗の吉野家(私は、吉野屋の牛丼が味が一番おいしいと思う)
メニュー充実の松屋(牛丼以外のメニュー充実)
新興のすきや(安売で、急激に拡大した新興勢力)
今のところの勝者は小川社長が率いるすきや。(ゼンショー)
ここの小川社長。東大の学生運動出身で、元吉野家社員。
吉野家の経営方針に反対して退職。その後、ゼンショーを立ち上げた剛腕だ。
ゼンショーの名前も、今度こそ、絶対に負けない。全戦全勝するという覚悟でつけたらしい。
立ち上げた際に、二人の部下に行った言葉がまたすごい。
「資本は小川賢太郎100%、意志決定も小川賢太郎100%、専制君主制でやる。
なぜなら議論している時間はないからだ」
強烈な個性をもった野心家である。
小川社長の徹底した合理的経営と拡大戦略で、またたくまに成長し
牛丼だけではなく外食産業の天下に覇をとなえた。三国志だと、曹操の役回りがぴったり。
一方、老舗 吉野家の安部社長は、大学中退でアルバイトからのたたき上げである。
写真を見る限りでは、人物の良さそうな真面目な方の印象。
こういう人を社長に選ぶのは、この企業の社風がにじんでいると思う。
よく言えば、職人気質で実直。悪く言えば、保守的。
のちのゼンショー社長、小川氏のような個性的な合理主義者では、はみ出したのもうなづける。
吉野家は、味と伝統を守る経営方針を貫いた結果、
すきやが仕掛けた安売り競争に出遅れ、収益も悪化。牛丼トップ企業の座からも滑り落ちた。
阿部社長は、衰えた漢室の社稷を、守ろうとする劉備の役か。
経営は悪化するも、古くからのファンを抱えた吉野家は、
企業努力を続け、今期の第一四半期に、3期ぶりに営業黒字を果たした。
曹操に敗れ続けながらも天下の信望を失わず再起を果たした劉備のごとく
吉野家の反撃はこれから始まるのだろうか。いちファンとして興味深い。
この二人の社長、年齢は、1歳しか違わない。
東大卒の野心家とアルバイト出身の叩き上げ
対称的なお二方である。
たぶん、吉野家で働いているときに、お互い顔と名前くらいは知っていたと思う。
まさか数十年後に、こういう立場で相対するとは、おもってもいなかっただろう。
曹操、劉備もそうだったのだろうかと往事を偲ばれる。