6月6日(ブルームバーグ):午前の東京株式相場はじり安で、日経平均株価の下げ幅が一時100円を超えた。法的整理が望ましいとの見解を東京証券取引所グループの斉藤惇社長がインタビューで示した、と報じられた東京電力が一時制限値幅いっぱいのストップ安。電力株は全面安で、電力会社への融資債権や資本規制への懸念が重なり、三菱UFJフィナンシャル・グループなど銀行株も安い。
このほか、米国の5月雇用者数が予想を下回ったことなどが嫌気され、電機など輸出関連株も下落。海運やガラス・土石製品など海外景気敏感の素材業種も下げている。
午前10時20分時点のTOPIXは前週末比7.08ポイント(0%)安の810.42、日経平均株価は88円31銭(0.9%)安の9403円90銭。
SMBC日興証券国際市場分析部の河田剛部長は、「政府の賠償スキームが定まらない中、斉藤社長の発言を受けて東電株は日本航空の時の連想が働いている」と指摘。その上で、「電力株全体に資金調達への懸念があるほか、銀行の電力債権への不透明感も出ている」と話していた。
東電は一時80円(28%)安の206円とストップ安で、上場来安値を更新。4日付の朝日新聞朝刊によると、東証の斉藤社長は同紙の「法と経済のジャーナルAsahi Judiciary」のインタビューに対し、「東電でも日本航空と同様の処理が望ましい」と語り、債務超過だった場合、一時国有化、銀行には債権放棄を求め、いったん上場廃止とした後、数年後に発電会社として再上場する案を示した。また、送電設備の売却や原発の国有化の可能性も指摘した、という。
三菱UFJなど銀行、証券株も下落。主要国などの金融監督当局が自己資本規制の上乗せ規制を求める「国際的な巨大金融機関」で、三菱UFJなどが対象になる見通しと4日付の日本経済新聞朝刊が伝えていた。