今春卒業した大学生の依然厳しい就職難が24日、文部科学省などの調査で明らかになった。今年度は昨年度より採用数を増やした企業が多いものの、東日本大震災の影響で面接日程の延期が相次ぎ、就職活動の長期化は必至。学生らは企業研究を重ねるなど工夫を凝らし、就職戦線を乗り切ろうと奮闘している。
「面接が延期されて時間ができたため、今のうちに勉強したい」。都内で面接対策などを指導する就職塾「就活ゼミ」には震災後、こんな理由で駆け込んでくる学生が増えた。申し込みも昨年の3倍近い月約30件あり、担当者は「ここまで殺到するとは」と驚く。
大手就職情報サービス「リクルート」によると、大手を中心に、震災の影響で面接日程などを1~2カ月延期した企業も少なくない。
広告会社やメーカーを志望する早稲田大4年の女子学生(21)も面接が相次ぎ延期に。毎日数時間、英語を勉強しており、「志望動機をじっくり考える時間ができた。面接に生かしたい」。
立教大4年の女子学生(21)は人材派遣会社など大手を含む3社から内定を得たが、「出産や結婚後も働きやすい会社を見つけたい」と就活を継続。中小企業を中心に会社説明会などに連日参加している。
大卒者の地域別の就職率
4月1日現在、単位%、カッコ内は前年同期比。▲はマイナス
北海道・東北
―( ―)
関 東
92.7( 2.1)
中 部
89.0(▲4.6)
近 畿
91.4(▲3.3)
中国・四国
91.5(▲0.3)
九 州
88.2(▲0.7)
(注)北海道・東北は、岩手、宮城、福島の3県が未集計のため出せず
関西大4年の男子学生(21)も昨秋以降、計70社の説明会に参加し、中小も含め商社など約20社に応募したが、すべて不合格になった。「社名にこだわらずに受ければ内定を取れるかと思っていたが、予想以上に厳しい」とため息をつく。
「震災の影響で来年度は厳しくなる。いかに今年の夏までに内定を取るかが勝負だ」。20日午後、東京・青山で開かれた合同企業説明会。「震災後の就職活動ここがポイント」と題した講座で男性講師が声を張り上げると、就活生ら約30人が一斉にメモを取り始めた。
ブースを回った日本女子大4年の女子学生(21)は保険会社など約15社を受けほぼ全滅。面接に進めなかった企業も多く「大手は書類審査も100人に1人しか通らないと聞いていたが……」と残念がる。現在は志望を中小に絞っているといい、「今年のうちに必ず内定を取りたい」と力を込めた。