改めて述べるまでもないが、最近はネット取引の急拡大があって、
“短期順張り”が株式投資の主流となっている。
ダブル逆指し値(上がったら買う、下がったら売る注文を
同時に出すやり方)などはその典型的な手法のひとつだろう。
ロス・カットも速い。要するに、
ひたすら目先の動きについていく戦術である。
まさに、シープドッグじゃないか。
まあ、ゴチャゴチャ理屈をいっても仕方がない。
それよりも、値動きを追っかけようじゃないか
(強い銘柄は買う、弱い銘柄は売る)、
ということだろうか。
その気持ちは分かる。
間違ってはいない。理論家(?)
の私にには耳の痛い話だが…。
しかし、相場格言は時には遠くを見よ!
と教えているし、遠くを計るものは富み、
近くを計るものは貧す!との人生訓もある。
それに、リスクマネージメントを徹底するうえでも
長期的な視点は必要である。そこでこの機会に、
じっくり考えてもらう材料として、
中期的な相場の見通しを述べてみたいと思う。
すなわち、私の年内の相場の大まかなデッサンである。
5~6月は現状のもみ合いの展開
(基本的にボックスゾーンの動き)が継続する、と考えている。
日経平均株価は9,200円(下値のメド)~
9,860円(上値のメド)の間での推移だろう。
もちろん、相場には常に行き過ぎがあり、
最大10,300円がらみの水準までの上値を想定している。
しかし、ここ(10,000円前後)はとりあえず、
売っておくべきであろう。
外国人の3月第3週以降の買い越し
(約1兆7,000億円)の平均コストは9,317円であり、
10,000円前後の水準では先物の売りが出る。
ただ、5~6月の大崩れはないだろう。
底固い相場展開を予想している。ただし、
利食いを優先し、キャッシュポジション
(現金比率)を高めておく必要がある。
一方、7~8月には下ブレのリスクが存在する。
ECB(欧州中央銀行)の再利上げ、
FRB(連邦準備制度理事会)のQE2
(金融緩和第2弾)の終了、日銀の金融政策が平時モードに戻る…
などがあって、ヘッジファンドなどの
投機資金は急速にリスク回避の姿勢を強めるのではないか。
さらに、東日本大震災に対応した
2次補正予算(10兆円規模)が6月22日の
国会会期末までに成立せず、
復興特需関連セクターが失望売りを浴びる可能性がある。