ベースはどっちだ？

[prenomairさん]

　また貴金属の話になってしまう。

　足元の金や銀に対する投資需要は、穏健派に言わせればインフレヘッジであり、過激筋に言わせればペーパーマネーに変わる新しい通貨（つまり金・銀本位制への逆戻り）としての準備段階であるようだが、いずれにせよ、政府が無尽蔵に発行できる”お金”からの逃避ということで意見は一致しているように思う。

　そう考えると、金や銀が”値上がった”というのも、実際は単にドルや円という紙の通貨が減価しているだけなのかもしれない。
とはいえ、金を”買う”だとか、銀が”上がる”というのは、あくまでペーパーマネーをベースとした表現であり、皮肉にも、依然として社会の基軸通貨は紙のお金であることを示唆している。だって、誰も「銀でドルを買った」とは言わないでしょ。

　道行く人たちが本気でペーパーマネーを信じられなくなった時には、おそらく金や銀は名目価値は急騰するだろうが、もはや誰も”上がった”とは言わなくなっているだろう。
　自分が貴金属に投資しているからと言って、儲けの為にそういう状況を望んでいるわけではないのだが、生きている内に一度くらいは、ジンバブエ並みのハイパーインフレを経験してみたいという純粋な好奇心はある。自分の投資は、出来る限り無傷でその経験を乗り切るためのものだ。