年齢層が普通に高かった。前回のセミナーで20代の参加者が目に付いたのは稀有なことだったみたい。大学の経済学部が共催で会場も大学の講堂でしたから学生の参加者が多くなるかと思いきや、それらしい集団は見当たらず。実際に投資活動をしていないとしても経済学部の学生ならば興味を持って欲しかったところ。名証としても当てが外れたかな(笑)
主催者側の偉い方の挨拶から始まりましたが、原稿に視線を落としたままの朗読状態。しかも割り振られた時間をオーバーでこういうことなら配布資料に挨拶文をいれるだけで十分という気も。
「テーマ:近未来のグローバル投資環境」(講師:武者陵司氏)
・以前参加したセミナーでもそうでしたがグラフが資料にテンコ盛り。データ分析については誰にも負けないと自負されていましたが、見慣れないグラフが多く素人には活用しきれない気も。
・過去20年の投資スタンスを改める流れが起こると予想 【キャッシュ】⇒【リスク資産】
・2006年の米国の不動産バブルは1990年に日本で起こった不動産バブルと比べれば非常に軽度なもの。
・生産性の革命で労働力が余剰になった。企業は労働力を削って収益を上げることに味をしめ、雇用の削減を景気の落ち込みのためとしているが口実でしかない。話を聞いていて、新興銘柄の代表格、IT関連企業の利益率の高さを連想した。
・自動車、住宅ともに、米国の需要は抑制された水準にあり、上昇の余地がある。
・ABX指数推移を見ると、この2年でサブプライムローンの担保証券でさえ価格が2倍になっている。よって米国金融機関の含み損が減少し含み益に転換することに繋がる。
・EU内において、この10年でドイツだけが浮上し、独り勝ち状態。ドイツ以外のEU諸国の賃金が大幅に上昇したことが背景にある。
・円高誘導は日本を叩くため。日本の労働生産性は先進国の中では一番向上しているが、1人当たりの雇用者報酬は(2000年を基準として)唯一マイナスである。労働者の身を切ることによって円高による日本叩きに耐えてきた。
・中国の台頭により中国を封じ込めなければならない米国にとっては日本の重要性が高まった。
・韓国の製造業の評価が高まっているが韓国の対日貿易赤字は増加傾向にある。
話の趣旨としては、日本の産業には力があり改めて見直される時がくるという感じに受け止めました。昨年6月のセミナーでも強気論を展開されていましたので、マネー界のタカ派といったところかもしれませんね(笑)
「テーマ:日本経済のゆくえ」(講師:水谷研治氏)
・武者氏の資料とは対照的にこちらはA4のレジュメ1枚きり(笑)
・資料は簡素ですが、話はとても上手。演壇の上の資料に時折、視線を落としたり、めくったりする仕草を見せますが、聴衆に視線を投げかけながらの語りで飽きさせません。
・目先払拭すべき問題は政治の問題。
・世界が良くなれば日本も良くなる、世界が悪くなれば日本も悪くなる。
・今までは財政赤字で景気を支え、40年来、財政赤字が続いてしまっているためそれが普通と錯覚しがちだが、これからは赤字を抑えなければならない。ただ、急ぎ過ぎると景気が冷え込むというジレンマがある。
・金余りはまだ続く、従って低金利もまだ続く。
・大きな財政赤字を続けていくこと自体は可能と考える。
・英国は緊縮財政へ向かうと考えられるが、米国は景気優先を維持するのではないか。
・暫くはデフレが続くがその先には悪性インフレが待ち構えているので英国のような路線をとらなければならない。
話は上手いのですが論旨が見えてきませんでしたね。メビウスの輪みたいな感じもあり。裏です、裏です、裏ですといっていたのにいつの間にか表ですっていってるみたいな(笑)
根拠を示さず一般論で終始した感じで、財政赤字は良くない、良くないがまだ続けられる、でもいつか改めなければならない、って感じかな。