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「コラム」過剰流動性の功罪

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この所、金融市場の乱高下により、実体経済が翻弄されるという事態が顕著になってきています。
90年代のバブル崩壊による「失われた十年」の未曾有の大不況は言うに及ばず、今度は、原油、銅、小麦などの商品価格の急激な暴騰。為替市場における急激な円高進行。米国における住宅バブル崩壊、サブプライムローン問題。これらは資本の過剰流動性、いわゆるマネーゲームが原因となっていると言えるのではないでしょうか。
昨日の米雇用統計の著しい悪化のように、このマネーゲームの結果として、実体経済への悪影響が顕著になってきています。
市場での取引、相場という“バーチャル”な世界が、実体経済という“リアル”を侵食していると言っても良いかもしれません。
 
そもそも、現実に存在する貨幣と商品とを等価交換する原始的な取引のみであれば、ここまでの過剰流動性、マネーゲームは発生しないでしょう。
金融市場における信用創造、証拠金を担保にして数倍~数百倍の金額の取引を行ったり、証券会社から株券を借りてそれを売る空売りなどの信用取引、その主体としてのヘッジファンドの存在が、市場の乱高下を際限なく増幅させているのではないでしょうか。
信用取引は、古くは江戸時代の大阪堂島の米相場から行われていたという話もありますが、この米相場におけるマネーゲーム(多くは売り惜しみ)の結果として、米価格が高騰し「米騒動」までが発生したということは周知の事実です。
 
1918年の米価格の暴騰による「米騒動」、あるいは、90年代の住宅価格の暴騰とその急激な反動による「バブル崩壊」、あるいは、98年のヘッジファンドの空売り攻勢による「アジア通貨危機」、あるいは、昨年から顕在化した米国における住宅価格の暴騰とその急激な反動、つまり「サブプライムローン問題」などは、すべて根っ子は同じであるように思われます。
すなわち、金融市場のマネーゲームの結果として、実体経済が大打撃を受けるという構図です。
米国ではこの10年間で新築住宅価格が2倍になっており、昨年ついにピークアウトした形になっています。
◇日本総研の記事
http://www.jri.co.jp/thinktank/research/eye/2007/0830.pdf

 
空売りに代表される信用取引、その主体のヘッジファンドなどは、市場取引の流動性を確保し経済の発展に寄与しているのだという話がありますが、現状として、その「過剰な流動性による市場価格の暴騰(暴落)と、それによる実体経済への悪影響」が現実に発生してしまっている以上は、流動性が経済に寄与するという説は今ではあまり信用できないように思えます。
このように、「資本の流動性が高まれば、すなわち、住宅価格や商品価格が継続して上昇すれば、経済も発展するはずだ」という極めて単純な思考は、もはや通用しなくなってきているのではないでしょうか。
そのようなことは、90年代の「バブル崩壊」や、98年の「アジア通貨危機」ですでに証明されたはずですが、未だにその教訓から何も学んでいないというのが実態なのかもしれません。
 
むろん、現代の経済は資本主義経済ですから、資本主義の原理自体を否定することは不可能ですが、「バブル崩壊」「アジア通貨危機」「サブプライム問題」と立て続けに実体経済を危機に陥れる大問題が発生していることで、この「金融至上主義」にも見直しが必要になってきているように思われます。
折りしも、日本でも「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられて久しいですが、逆に、日本郵政の販売する投資信託で20万円以上の評価損を出している人が8万5000人もいて、これが8月の時点の話ですから現在はさらに多くの人が損失を被っているだろうことを考えれば、「貯蓄から投資へ」は、「虎の子の貯蓄を食い潰す」結果になってしまう可能性すら浮かんできています。
 
ただ、過剰流動性の負の側面、とりわけ、相場暴落の原因となる空売りを仕掛けるヘッジファンドのみを悪者にすることはできませんし、流動性の金額規模で言えばオイルマネーや国有ファンド(SWF)の影響力も大きいでしょう。
ヘッジファンドの全世界の預かり資産は1.6-2兆ドルと言われ、仮に10倍のレバレッジをかけて20兆ドル。国有ファンドは全世界で2.3兆ドルの規模と言われ、2015年までに10兆ドルを超えると言われています。
重要なことは、それらの「投機マネー」により実体経済が翻弄される事態をいかにして防いでいくか、根本的な解決策を編み出すことだと思います。
G7でもヘッジファンド規制は度々議論に上がっていて、米英の反対もありまとまる気配がありませんが、現状の危機的状況に危機感を持って、新しい国際金融システムの青写真を早急に示す必要があるように思います。
 
 
「ヘッジファンドは怖いね~」




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