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低成長経済下の銘柄発掘

久々に備忘録としての日記を書くことにします。
①本日の日経新聞に銀行に対する資本規制として自己資本7%になりそう、という報道がありました。みずほ銀行をはじめ、日本の銀行の自己資本比率は非常に低く、7%基準クリアに向けて、収益を着実に上げていく必要があります。銀行の収益源泉の基本は利回り曲線(短期金利が低く、長期金利が高くなるという金利の期間構造を示す曲線)ですが、利回り曲線が日本の場合低水準でしかもフラットな形状となっています。これは、銀行(保険会社も)が本来の業務から収益をあげにくいということを意味します。収益向上の見込みが立ちにくい状況では、銀行は収益性の高くなる可能性もあるがリスクも高い企業に融資を行うことはますますなくなります。事業融資は停滞するということです。株式を含む資産の時価会計の影響も深刻です。株式の保有は危険ですので、低収益の継続が予想されるのであれば、時価低下に伴う評価損は避けなければなりません。しかも、大企業が著名企業は、銀行の低金利を活用して、個人向けの社債発行を活発化しています。銀行が低コストの資金である預金を増やすことはますます困難になってくると考えられます。日銀の流動性の大量供給は企業のための信用創造につながらない状態が継続するということでしょう。
②事業拡大のための信用創造が進まないことに加えて、もともと、中国やインドなどの新興国の経済成長が米国の消費の落ち込みを数年のうちに代替することなど困難です。需要の規模と質があまりにも異なります。
③金利はもともと実質潜在成長率+インフレ率ですから、日本の金利は上昇する可能性は低いということになります。ただし、日本の金融資産がどんどん海外資産(株や債券)にシフトすると、金利上昇の可能性もあります。日本人が日本国債を買い続けるから、国債をどんどん発行してもいいのだ、という議論は日本人が海外投資をしない、ということを前提にした議論だと思います。このまま金利が低い状態と円高が続くと、日本国内の潜在成長力はますます低下することは必至でしょうし、輸出に依存している多くの日本企業、コストの大半を日本円ベースとしている日本企業は、円ベースので連結収益は、いくらグローバル化を進めても、低収益性から脱却することは困難となり、ますますリスクの高いイノベーションのための投資を控えざるを得ない、という悪循環が形成されしまう、という見方の説得力が強くなります。新興国企業や欧米の企業の競争力・収益力が回復し、ドル回避・ユーロ回避の動きが止まった段階で突然、日本の国際競争力の神話は崩れ、円安だけが残る、というシナリオが描けます。
④こうしたムードが最近の株式市場の低迷の背景にあると思いますが、その中にあるからこそ、特定のタイプの企業は守りを固めつつ攻めの展開も進めているはずです。資産回転率が同業他社に比べて大きく改善させている企業、円高を活用して業界の集約化を進めている企業、市場シェア向上を加速する設備投資あるいは研究開発投資増大企業などタイプが思いつきます。1930年代に自動車でシェアをあげたのは、GMでありクライスラーでした。徹底したコスト削減と垂直統合の見直しを進めました。フォードは垂直統合モデルから脱却できず、トップの地位から大幅にシェアを減らし、3位に転落しました。IBMも従業員の解雇をせず、むしろ、優秀な人材を増やし、回復時の需要に素早く対応して、確固たる地位を築いたようです。まさに、日本で言えば、信越化学のような、不況期活用企業です。
⑤株式市場の低迷は当分続くと思われますので、じっくり、3~4年後の勝利企業はどこかを見極めたいと思います。
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