中国には、生まれたばかりの赤ん坊に、酢をなめさせ、
塩をなめさせ、苦い薬をなめさせ、さらにトゲのあるカ
ギカズラをなめさせ、最後に砂糖をなめさせる「五香の
儀式」というのがあるそうです。
人生は、「すっぱく」「からく」「にがく」「痛い目」
に遭わなければ「甘い」ものにはありつけないというこ
とを、この世に生をうけたばかりの赤ん坊に体験させる
というわけです。もちろん、困難に打ち克って素晴らし
い人生を勝ち取ってほしいとの親の願いが込められてい
ます。
日本にも「一生食べるのに困らないように。健やかに
育つように」との願いを込めて、一歳の誕生日に一升の
お餅を背負わせるといった風習が残りますが、もちろん
これにも「困難に負けぬように」との願いが込められて
います。
甘いものを先にほしがり、楽な方を選びたがり、困難
に遭えば簡単に諦たりへこむ人々が多い世の中で、上記
のような風習には見失いがちで大切な何かが残されてい
るような気がします。