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米国のリバランス そして、リバランス活用企業とは

昨日、投資ポートフォリオのリバランスの話を書いた後、4月3日付けのThe Economist誌が、Hope at last(ようやく希望が出てきた、とでも訳すのでしょうか)という言葉で、米国経済がいよいよ転換し始めた、という特集記事を読みました。

米国のGDPは2009年の2.4%のマイナス成長の後、2010年には3%程度の成長を遂げるとされています。失業率はようやく低下し始めたものの、失業率の水準は依然として高水準です。財政赤字も巨額です。差し押さえられた住宅件数も多数です。金融危機が経済恐慌に陥ってしまうことは同誌は避けられたとしていますが、静かに大転換(リバランス)が進みつつあると指摘します。

消費+住宅+借金という3点セットの時代から、輸出+投資+貯蓄(節約という意味もあります)の3点セットの時代へのリバランスです。節約志向はウォルマートの業績と株価上昇にすでに反映されているように思います。このリバランスが提起する論点は、①米国が消費しないとしたらどの国が消費するのか、②米国が貯蓄額を増やしたら、その貯蓄の投資先はどこなのか、③この大転換の影響に米国を含む世界の政治家たちはうまく対処できるのか、という3点です。①と②の主役は中国です。③は、元の切り上げ問題や、中国への投資のためにインフラ整備の問題(開示制度やコーポレート・ガバナンスなどを含みます)や、貿易障壁の問題、住宅補助、消費税の定率維持などの問題などにつながります。同誌は、米国のリバランスは必要で、そのリバランスを遅らせるような政策は取りべきではないという立場にあるようです。

米国から世界に向けて輸出できるものとは何か。そのような輸出品の米国での生産を担うのは誰か。アップルのiPhoneやiPadが世界の注目を集めていますが、製造は台湾や中国が担っています。米国の製造力の復権はあるか、とうテーマも非常に興味深いのですが、ソフトウェアや特許料やサービス・コンセプトなどが短中期的には米国の輸出品の主力であると現時点では判断すべきでしょう。世界の消費者があこがれる商品開発力や、さまざまな社会インフラ構築のニーズに対応する大規模なインフラ・システム構築・運用力が問われることになると思います。社会インフラの典型例は電気自動車でしょう。電気自動車の普及の鍵は、スマートグリッドにもつながる充電インフラシステムをいかに構築していくか、ということになると思います。

United States of Exportに米国が変貌すると、日本は窮地に陥るのではないか。もちろん、日本の輸出力が急速に低下するとも思えませんが、米国のリバランスは、世界市場における国際競争の激化につながることは不可避でしょう。世界市場に魅力的な商品を生み出す各国の開発力は、世界の先端需要の取り込み力に大きく依存することになるのではないでしょうか。この点で、米国は世界において優位にあると思います。日本はどうでしょうか。職人の技を磨いた結果として世界に類を見ない高品質・高精度の部品を開発できるのは日本だけ、というポジショニングを得ていると思いますが、全体としての製品やサービスに仕立て上げるのは海外勢が多いのではないかと懸念しています。プロデュース能力という点で、日本勢は劣後しているように思います。

The Economistの記事は、「世界最大の経済は、大幅に遅れていたリバランスの作業をようやく開始した。アメリカの消費と借金は、アメリカ自身の経済にとっても世界の経済にとってもエンジンになることはもはやできない。リバランスは希望なのだ。脅威は、世界の政治家たちがその結果に対処する能力に欠けていることである。」という段落で終わっています。

米国のリバランスの方向性は明確です。しかし、日本のリバランスの方向性は明確に政府からは打ち出されておりません。国としての国際競争力の問題も重要です。そのためには、第二の開国が必要なのかもしれません。そして、第二の開国を先導するのが企業ということになると思います。

こう考えると、米国のリバランスの方向性にマッチする日本企業はどこなのか。リバランスの過程で起きるさまざまな軋みを事業機会に変えることのできる企業はどのような企業なのか。米国のリバランスの中で有効なプロデュース能力を発揮できる企業であるにも拘らず、依然として株式市場では注目されていない企業はどこなのか。米国のリバランスへの対応がアジア・シフト、中国シフトだけでは、不十分のように感じます。リバランス活用企業の特徴や判断材料を考えてみる時期なのではないでしょうか。

The Economistの記事の備忘録として感想を書こうと思ったのですが、またまた、長文になってしまいました。
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