中古マンションいい感じ「スター・マイカ（3230）」

板さん 2010/03/31 23:19

「お、ねだん以上」のニトリに限らず、低価格＆リーズナブル品質は今や好調業種、好調企業のキーワードとなっているようですね。

マンション販売の世界でも、新築ではなく中古市場が元気です。2009年の一都三県における新築マンション発売戸数は前年比17％減、同契約戸数も同7.5％減だった（不動産経済研究所調べ）のに対し、中古マンションの成約件数は前年比9％増。直近1月も同じく11％増となっています（レインズ調べ）。

この中古マンション市場で異彩を放っているのが、スター・マイカ（3230、ヘラクレス市場）。社名の由来は鉱石「雲母」の英名だそうで、星の輝きと鉱石の永続性を象徴しているそうです。

中古マンションの「仲介」ではなく「仕入れ、販売」を生業とする企業ですが、ユニークなのは、マンションを1棟丸ごと仕入れるのではなく、1室単位で仕入れます。しかも、賃貸中の物件を仕入れて、賃借人が退去するまでは賃貸収益で食いつなぎ、退去後にリフォームをかけて販売するのです。

ミソは、賃貸中の物件は買い手が非常に少なく、また売り手は知識、情報の少ないシロウトが多いがゆえに場合によっては非常に安い値段で仕入れることができるわけです。

一般業者のように市場価格で売買すれば、市況上昇による値上がり益かせいぜいリフォームなどによる付加価値見合いの利益しか上げられないわけですが、同社は市場で買うのではなく相対取引で優位に仕入れ、市場価格との鞘を抜くことが利益の源泉となっているのです。

金融業界でいうところの「マーケットメーク」「アービトラージ（裁定取引）」の手法を、不動産市場に持ち込んでいるわけです。不動産市場は金融市場より市場参加者が少なくまた市場の歪みも大きいのです。ちなみに社長はこの会社に来る前、投資銀行の雄、ゴールドマンサックス証券に4年程在籍経験があります。

おいしそうな商売なので、まねをする人が沢山居るのではと思いますが、ファイナンス、オペレーション、物件管理などの部分でかなりハードルが高いようで、少なくとも現状で有力な競争相手は出現していないようです。

さて、業績を見てみましょう。04/11期までは売上高10億円に満たず経常利益も1億円台でしたが、3年後の07/11期には売上高128億円、経常利益12億円と急成長しました。

その後は売上高120-140億円を行ったり来たり、経常利益も08/11期11億円、09/11期は8.6億円と減少基調ですが、今10/11期は10億円への回復を見込んでいます。

今1Q決算は売上高前年同期比38％増の34億円、経常利益は同2.8倍の3.2億円と急回復です。もっとも、昨年度の1Qはリーマンショック後の最悪期で、市場はフリーズ状態。その反動もあるので、それほど驚くことはないのかもしれません。

ポジティブ要素を挙げると、１）販売マンションの粗利益率が前年同期9.6％（前期平均10.8％）から今1Qは13.7％に大幅上昇、２）販売価格自体も実質（同じ物件同士の比較で）3％程度上昇している模様、３）販売用不動産の評価損が殆どなくなる（前1Q49百万円→今1Q8百万円）、など。

社長によると、今の中古マンション市場は、昨年の危機的状態から急回復し、現状は正常状態プラスアルファ。一部では品薄感も見られるほどだといいます。春先からは1億円以上の高級マンションも動き始めており、買い手として中国人も参加しているようです。

基本的に今期の収益計画は控えめと見て良さそうです。

問題は、ここ数年停滞しているトップライン（売上高）を再度成長軌道にもっていけるかどうかでしょう。

注目すべきは営業キャッシュフローの動きです。

06/11期は47億円の赤字、07/11期も31億円の赤字から08/11期は8.8億円の黒字転換、09/11期は33億円の黒字に大幅改善しています。今1Qも8.4億円の黒字であり、要するに投資期から順調に資金回収が進んでいるということで、これからそれを原資として規模拡大の循環に入れるのでは。

株価は本日終値で109,000円。今期会社予想PER16倍、同予想ROE6.3％に対し予想PBR1.0倍。

今後成長が期待できるとの前提であれば水準的にはまだ安いのではないかと。。。ただ、テクニカル的にはやや過熱感があるようで、もう少し待ちたいところでしょうか。