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券闘士(ギャンブラー)2

(前回のあらすじ)
2009年 有馬記念当日、私は旧知のプロ馬券師、’山さん’に再会する。彼は、「万馬券を狙う。」との言葉を残して馬券売場に消える。

「可能性があるとすれば、ドリームジャーニーからエアシェイディへの馬単か。」
しかし私は、このレース、不測の事態がなければドリームジャーニー、ブエナビスタの1点と考えていた。
あとの2点(ドリームジャーニー-フォゲッタブル、エアシェイディ)は、あくまでも’抑え’だ。
プロである山さんが勝負を賭ける馬券とは、到底思えない。あまりにもハイリスクなのだ。
結局、私は、ドリームジャーニーからブエナビスタ、フォゲッタブルへの馬連馬券を購入、エアシェイディへの馬券は切ってしまった。
山さんへの手前、’変な馬券’は買いたくなかった。10年前の私とは違うのだ。それを見せつけたい、鼻を明かしてやりたいとの思いもあった。
午後3時25分、G1のファンファーレが場内に鳴り響き、ゲートオープン。一瞬の静寂ののち、大きな歓声があがる。
ドリームジャーニーが出遅れるが、これは想定内。リーチザクラウンがハナを切り、ブエナビスタも前に位置する。
レースは淀みなく流れ、1000mを58秒で通過。やはり、かなりのハイペースだ。
向う正面でスリーロールスがスローダウン、故障発生か?後方追走のドリームジャーニーとぶつかるが何とか難を逃れたようだ。額から冷や汗が吹き出す。
「おいおい頼むぜ、こんなことでハズしたんじゃシャレになんない。」
3コーナー手前でマツリダゴッホがスパート、捲りぎみにリーチザクラウンに並びかける。これでリーチ他、先行馬はアウト。
4コーナーを向いて、今度はブエナビスタに横山の左ムチ、マツリダゴッホを捕える。直線、外からドリームジャーニーの強襲。
「そのままー!」
悲鳴と歓声の入り混じる中、私は我を忘れて声を張り上げていた。
1着ドリームジャーニー、2着ブエナビスタ、大差の3着にエアシェイディ。会心の勝利。
直線差されたとはいえ、先行抜け出しの横綱相撲で2着。一番強い競馬をしたのはブエナビスタ。負けて強し、来年(2010年)は、この馬とオウケンブルースリを中心に競馬はまわるだろう。逆に3歳牡馬に見るところなしだが、短いところならリーチザクラウンのスピードは秀逸と記憶に留める。今この時点から、次の勝負は始まっているのだ。
「あと約5分で阪神第11レースの投票を締め切ります。お買い求めの方は、・・・」
山さんはどうなんだ?場内アナウンスが流れる中、私は足早に馬券売場をあとにした。
(つづく)

※この物語は、フィクションです。登場人物は、実在の人物とは一切、関係ありません。
1件のコメントがあります
  • イメージ
    こんにちはーsocialcolorさん

    有馬記念かぁ~
    フォゲッタブル、あまり論なしで買っちゃいました(^^ゞ

    でも、自分の応援した馬が負けても
    いいレースでしたわ~...( = =) トオイメ

    山さん気になりますなぁ・・・
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