新型インフルエンザワクチン接種用に国が用意した「大型容器」に、接種を受け持つ医療現場が振り回されている。生産効率優先で容量を季節性の10倍の10ミリリットルとした結果、子供なら1度に約50人分もの接種を終える必要に迫られているためだ。開封後は保存がきかず、診療所や自治体からの“悲鳴”を受けた国は来年から季節性と同じ小型容器に統一する。
埼玉県所沢市のあるクリニック。11月末の土曜午後、急きょ妊婦ら70~80人を集め、集団接種を行った。同月届いた待望のワクチン5本はすべて大型容器。余ったワクチンの廃棄を避けるため、本来休診日の土曜日を使い人数を確保した。異例の対応は2回にわたり、院長は「完全に使い切れるよう計算し、接種する人数を調整している」と困惑気味。