宮ちゃん◎リーマンさんのブログ
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[ベト株]日本人が知らなかったVISTA株(2/2)
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「東西回廊」で発展が期待されるベトナム中部のダナン
ベトナムというと、南部のホーチミン市と北部のハノイ市が有名ですが、近年では両都市のちょうど真ん中に位置するダナン市にも注目が集まっています。
ダナン市はこれまで港湾都市として発展してきました。現在の人口は80万人程度です。ダナンにはミーソン遺跡など世界遺産が存在しており、観光スポットにもなっています。ベトナムが南北に分かれて戦ったベトナム戦争のときには、ダナンに米軍最大の基地が建設されました。ダナンはべトナム戦争の激戦区となって、大きな被害を受けたのです。
近年、ダナンが注目されるのは、同市が「東西回廊」という巨大プロジェクトの玄関口になっているためです。
「東西回廊」のプロジェクトでは、ベトナムのダナンを玄関口として、ラオス、タイ、ミャンマーまでをつなぐ道路をつくります。その全長はなんと1450キロメートルにもなります。
日本は円借款を中心とするODA(政府開発援助)などによって、「東西回廊」に多額の資金援助、技術供与をしてきました。2006年12月20日には、「第2メコン国際橋」(タイのムクダハンとラオスのサバナケットを結ぶ橋)が開通し、「東西回廊」がほぼつながることになりました。「第2メコン国際橋」も日本からのODAによって建設されたものです。
「東西回廊」が完全につながれば、インドシナ半島の物流事情は劇的に改善することになります。ベトナム、タイ、ラオス、ミャンマーの経済的な結びつきが強まり「インドシナ経済圏」が形成されるでしょう。現在、ダナン港は、ホーチミン港、ハイフォン港に次ぐ、ベトナムで第3の港湾都市ですが、「東西回廊」を利用する企業が増えていけば、その恩恵によって港湾都市としてのプレゼンスが大きく向上すると予想されます。インドシナの内陸部でつくられた製品が集中してダナンから輸出されることになるからです。
ベトナム政府は、「東西回廊」の開通にあわせてダナン周辺地域の開発に力を入れており、工業団地を造成するなど、外国企業の誘致にも積極的です。現在ダナンには5つの工業団地があります。ただ、ホーチミンやハノイと比べるとインフラ整備は遅れ気味です。
日本からはマブチモーターなどがダナンに進出しています。マブチモーターは1996年にベトナムのビエンホア市に進出、小型モーターの大型工場を建設しました。そして、2005年にダナン市に進出、ホアカイン工業団地にベトナムで2番目となる工場の建設に着手しました。
ダイワ精工も2006年の秋にダナンのホアカイン工業団地に大規模な釣具工場を建設しました。ダナンで生産した安価な釣竿などを北米に輸出しています。今後はリールなどの生産工場もダナンに建設する予定です。
ダナンでの物流需要が拡大することをにらんで、住友商事もベトナムでの物流サービスの拡充を図っており、ダナンに営業拠点を新設する予定です。
歴史の浅いベトナムの株式市場
ベトナムには1部市場に位置づけられるホーチミン証券取引所と、2部市場に位置づけられるハノイ証券取引所があります。
ベトナムにホーチミン証券取引所が設立されたのは2000年7月、ハノイ証券取引所が設立されたのは2005年7月のことで、株式市場の歴史はまだ浅いといえます。
ベトナム政府がドイモイ政策の一環として国営企業の民営化を積極的に推進していることから、最近になって上場企業数は急速に増加しています。ホーチミン証券取引所の場合、設立当初の上場企業数はわずか2社だったのですが、現在は107社が上場しています。またホーチミン証券取引所の時価総額は2005年末の約5億ドルから現在は約160億ドルにまで膨らんでいます。
最近、ホーチミン証券取引所は、周辺諸国の証券取引所との連携を強化しています。たとえば、2007年2月末には、シンガポール証券取引所(SGX)とホーチミン証券取引所が株式や金融派生商品、取引規制などについて情報交換をするとともに、人材交流することで正式に合意しました。また、2007年4月には、シンガポール証券取引所とハノイ証券取引所がホーチミン証券取引所と同様の内容で正式に合意しています。
ホーチミン証券取引所の代表的な株価指数がVN株価指数です。VN株価指数は、日本の日経平均株価に相当します。VN株価指数は、ホーチミン証券取引所に上場している企業すべてを対象にした時価総額加重平均指数です。2007年7月28日を基準にして、その日の株価を100として指数にしています。
同指数の最近の動きを見ると、2006年ごろから急騰しています。VN株価指数が上昇している背景には、ベトナム経済が好調であることや、ベトナムがWTO(世界貿易機関)に正式加盟したことを好感して、海外の機関投資家からたくさんの投資マネーが入ってきていることがあります。株式投資がブームとなるなか、海外の投資家だけでなく国内の個人投資家もベトナム株を積極的に購入しています。
また規制緩和によって外国から外国からベトナムに投資をしやすくなってきたことも海外からの投資マネーの拡大につながっています。ホーチミン証券取引所は、2003年7月に外国人投資家の出資比率の上限をそれまでの20%から30%に引き上げました。さらに2005年9月には、外国人投資家の出資比率の上限を30%から49%に引き上げています。
さらに、優良企業の新規上場が相次いでいることも取引規模の拡大につながっています。たとえば、2006年1月には、製品メーカーのビナミルクがホーチミン証券取引所に新規上場して話題を集めました。ビナミルクの上場によって、ホーチミン証券取引所の時価総額は一気に2倍に膨らみました。
こうしたなか、最近では、ベトナム株に過熱感が出てきています。ベトナム政府も株価の急激な上昇に警戒感を抱いており、株の不正取引を取り締まるなど金融市場の健全化を進めようとしています。
このため、ベトナム株は短期的には調整するかもしれません。
ただし、中長期で考えた場合には、優良企業の新規上場などが見込まれるため、株価が上昇する余地はまだ大きいといえるでしょう。
ベトナム政府は、国営企業の民営化によってホーチミン証券取引所の上場企業数を3年で7倍(770社)にすることを予定しています。また、GDPに対する株式市場の大きさを現在の数%程度から15%に拡大することも計画しています。
ユニークな6銘柄
・ベトナムの巨大企業、乳製品メーカー「ビナミルク」
・ベトナムの民間商業銀行最大手「サコムバンク」
・ベトナムの巨大IT企業「FPT」
・ベトナム最大手の証券会社「サイゴン証券」
・ベトナムのランドン電球・魔法瓶株式会社
・ベトナムの有力プラスチックメーカー「ビンミン・プラスチック株式会社」
海外分散投資の必要性
先進国の株式市場を長期的な視点でとらえた場合、たとえば日本が代表的ですが、それほど高い株価の上昇は見込めません。人口は減少し始めており、経済全体の生産性が大幅に上がることも難しいため、経済成長率が大きく高まることが見込みづらいためです。マーケットだけが、経済のファンダメンタルズの動きを踏まえれば、株価がボックス圏での推移になる可能性は
高いといえるでしょう。
そうした状況になったときに先進国のマーケットに集中投資をしていても、良好なパフォーマンスは期待できません。短期的には「上げ・下げ」のサヤを取ることはできますが、大きな右肩上がりの上昇トレンドに乗れないからです。
その点、現在の有力新興国は右肩上がりの強い上昇トレンド
があります。
これらの国の経済は、ちょうど日本の高度成長時代の入り口、あるいはその少し手前のところにいます。ですから、今後高成長をしていく過程において、これらの国の株価が上昇する余地はきわめて大きいといえます。
もっとも、ひとつの有力新興国に投資すればそれでいい、ということではありません。やはり分散投資が基本です。
日本人の個人投資家にとっては、これまで分散投資といっても、先進国の中での分散投資がメインでした。先進国の経済は、実はアメリカ経済と密接に連動しており、ほとんどの国がアメリカと同じ動きをします。つまり、あまり分散の意味がなく、極端な言い方をすれば、全額をアメリカに投資していることと変わらない状況なのです。
本当の分散投資を考えるならば、有力投資対象をエマージング国まで広げた方が、より大きな効果が得られると思います。
エマージング諸国の株価も短期的にはアメリカと連動します。なぜなら、現状エマージング諸国に入ってくるマネーは先進国からのものが中心だからです。アメリカの金融政策などの影響で資金の出入りがあると、先進国・アメリカとの相似性は高まります。
しかし長い目でみると、大きな違いがあります。「上昇の角度」です。短期的なアメリカとの連動によって上げ下げがあっても、中長期的にはファンダメンタルズを反映し、成長が高い国は株価も大きく上昇します。中長期で国際分散投資をしたときの効果は非常に大きいと考えられるのです。
理想的なポートフォリオを提示することはなかなか難しいですが、ひとついえることは、「保有するすべての資産を先進国に入れることは賢い手段ではなくなった」ということです。余裕資金の一部を、有力新興国の債権や株式市場に回すことは、今後ますます効果的な投資法として定着するはずです。
さて、近年、投資対象として人気が高い有力新興国といえば、もうお馴染みとなったBRICsです。
2000年前後に中国が注目され始めました。その予想どおり、中国は実際に高い成長を遂げ、株価もその間に急激に上昇しました。ただ、高成長を期待して、巨額の投資資金がマーケットに入りました。そのために、現在の株価水準は過去と比較するとそれほど割安でなくなっています。
これまでは、中国株であれば、どの銘柄に投資してもそれなりに上昇しましたが、今後は「上がる株」と「下がる株」の二極化が鮮明になってくると思われます。その意味では、中国株への投資の難易度は上がっているといえるでしょう。
中国の次に注目されたのはインドでした。インドの場合は、投資家が中国の成功事例を見てきたこともあって、相当短期間に投資マネーが流入しました。インドが高成長路線にシフトしたことが確認されたことで、中国からインドへシフトしたマネーも相当あったとみられます。当初は欧米の年金ファンドなどの機関投資家が中心でしたが、2004年あたりから日本で「インド投資」がブームになり、日本からも大きな資金がインドに入っていきました。しかし、こうした結果、中国同様に割安感は少し薄れてきたように思います。
出典 「日本人が知らなかったVISTA株」 門倉貴史著
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%8C%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9FVISTA%E6%A0%AA-%E9%96%80%E5%80%89-%E8%B2%B4%E5%8F%B2/dp/4798114243/ref=sr_1_1/249-8616148-1036365?ie=UTF8&s=books&qid=1191135894&sr=1-1
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