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近年稀に見る政府・日銀の見事な連例プレー!

昨日の米国株式相場は高安まちまちとなった(DJIA +203.40 @40,743.33, NASDAQ -222.78 @17,142.42, S&P500 -27.10 @4,436.44)。ドル円為替レートは大きく揺れ150~152円台の間を激しく変動した。本日の日本株全般は大きく上昇した。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,540に対して、下落銘柄数は177となった。騰落レシオは98.73%。東証プライムの売買代金は5兆5335億円。

TOPIX +40 @2,794
日経平均 +576円 @39,102円

米国では、JPモルガンチェースやゴールドマンサックスなどの金融株や景気敏感株の一角は買われたが、エヌビディアやテスラをはじめとするハイテク株が売られ、株価は高安まちまちとなった。日本時間の8月1日午前3時に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控えているため、売り買いどちらへもポジションを傾けるのを控えた。今回のFOMCでは利下げは行わず、9月に利下げに踏み切るというのが現在のマーケットの主流の見立てである。

本日の東京市場ではサプライズがあった。日銀が金融政策決定会合(7月30~31日)で(1)追加利上げと(2)国債買い入れの減額の2つを同時に行うと発表した。マーケットは国債買い入れの減額のみを予想していたから「驚き」となった。政策金利(=翌日物無担保コールレート)を「0~0.1%」を「0.25%」へ引き上げると決定した。国債の買い入れ額は2026年1~3月期には現在の6兆円から3兆円程度まで減額する。これに大きく反応したのが当然ながら、利上げにより利幅が拡大することにより収益が拡大する三菱UFJなど銀行株だった。また、午後になるとバイデン政権が新たな対中国半導体輸出規制で日本と韓国を除外すると報道され、足元で売られていた東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体関連銘柄が買われ、日経平均の上げ幅は一時660円を超えた。日経平均の日中値幅(高値と安値の値幅)は1,233円99銭と今年最大となり、2020年3月13日以来の大きさとなった。

外為市場では、円相場が一時151円50銭台まで上昇したかと思えば急に揺り戻して153円台まで下落するというように大荒れとなった。今回の利上げは、あまり上がらない賃金に対してより速く高まりつつあるインフレ(=実質所得の減少)を2%程度に抑え込むため(そうしないと国民の政府・日銀に対する不満が高まる)、円安・ドル高是正を強く意識したものでもある。振り返れば、ほんの3週間ほど前の7月11日には1ドル=161円70銭台で動いていたが、2日連続の覆面介入(ニューヨーク外為市場での急激な動きだったので、日銀がニューヨーク連銀に委託した「委託介入」と見られる)により円安・ドル高の動きが止まり、次いで7月中旬から下旬にかけては政府要人から円安・ドル高をけん制する発言が相次ぎ、そして本日、日銀が利上げを発表して円高・ドル安方向へ動きを加速した。近年稀にみる政府・日銀の見事な連例プレーだった。その結果、20日間で10円以上円高・ドル安になった。

日銀はどの程度まで利上げするだろうか。日本経済の潜在成長率(成長会計、つまり、資本、労働、全要素生産性の総和から見積もる)をプラス0.5%くらい、インフレ率を2%前後とすれば、景気をふかしも冷やしもしない中立金利は2%くらいになる。ということは現時点で合理的に想像できる利上げのゴールは政策金利が2%前後ということになる。今回の利上げでもまだ0.25%なので、まだまだ利上げ余地が残っている。今年度末までにもう1回0.25%利上げして、その後も半年ごとに利上げすると政策金利は2026年度末には1.25%になるが、それでもまだ届かない。日本経済が本当にデフレから脱却すればその方向に向かう。

日経平均の日足チャートを見ると、2日連続で短陽線が出て「並び赤」となった翌日の今日、長大陽線で上げ、下向きの10日移動平均線を上抜けした。これにより当面の底値は完全に確認できた。下値不安がほとんど無くなり、まずは25日移動平均線回復まで反発を試しに行くと見る。

33業種中31業種が上げた。上昇率トップ5は、銀行(1位)、海運(2位)、証券(3位)、パルプ・紙(4位)、鉱業(5位)となった。

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