長いこと外国への投資を試行錯誤している身として、アジア株への投資環境は三歩進んで二歩下がる、いや一進一退かもしれないと感じている。
・インド株
最近、インド株のインデックスファンドが増えたこと。これは良いことだ。
以前はインド株に投資するならば、Nifty50のETF(1678)があるが、これは先物で運用のため分配金が少なかったり、出なかったり、そして当然現物の裏付けがない。
外国市場のインド株ETFがあるが(私はこれを選択していた)、為替手数料や売買手数料などのコストが多くなり、何よりNISAに対応していない。
そして国内のインド株アクティブファンドはあるが、年間の信託報酬が驚くほど高いもの(2%前後!)がほとんどだった。
現時点ではインド株ファンドを買い増す予定はないが、インド株インデックスファンドが長く継続してくれることを願う。
・香港株、韓国株
香港のハンセン指数に投資する場合、以前は国内ETFがあったのだが、上場廃止。
ハンセン指数のインデックスファンドは1つだけになってしまった。そしてそのファンドは旧NISAで買えたのだが、新NISAは対応していないようだ。
韓国株のETFも国内市場は上場廃止され今はない。
では個人的に注目し、多少投資をしているアセアンの株について。
・マレーシア株
マレーシア株への投資なら、KLCI指数ETF(1560)が上場されている。
確かマレーシア株は国内にインデックスもアクティブファンドもない。なのでこのETFが外国市場ETFなどを除き数少ない投資手段となる。
コロナからの脱却による観光分野の回復、そしてインフレ、コモディティ価格の高止まりは石油製品、パーム油、天然ガスを輸出するマレーシアには追い風だ。
資金においても関係改善されつつあるシンガポールからの流入がある。
もちろん、主要貿易相手の一つである中国の不透明感や、中所得国の罠といったリスクは忘れてはならない。
・タイ株
タイ株への投資は、タイSET50指数ETF(1559)が上場されている。
こちらはインデックスファンドはないが、アクティブファンドはある。当然信託報酬は高い。
タイ経済については、コロナからの回復が遅れ気味なのと、マレーシア同様中所得国の罠といったリスクがある。
現時点では割安ではないので今のところ投資予定はないが、今後の回復に期待。
・フィリピン株
フィリピン株については、国内のインデックスファンドはないので、アクティブファンドか外国市場ETFのいずれかだ。
フィリピン経済は課題はあるものの、コロナからの脱却によ景気の底打ち、高いGDP成長率、理想に近い形の人口ピラミッド、内需の拡大と経済の回復が見込まれる。
マレーシアとは異なりエネルギー価格上昇が逆風になることは念頭に置くべきだろう。
・インドネシア株
インドネシア株についても、国内のインデックスファンドはないので、アクティブファンドか外国市場ETFのいずれかだ。
インドネシア経済については、コモディティ価格の高止まりによる石炭、パーム油を輸出するインドネシアにとってはプラス。インドネシアといえばニッケルもあるが、こちらはWTOともめているので注意が必要。
他にコロナからの回復、(フィリピン程ではないが)安定した人口ピラミッド、高いGDP成長率などが挙げられる。
リスクとしては主要貿易相手の一つである中国の不透明感、インドネシア政府の財政などが挙げられる。
投資する際はリスク(純粋リスク)とリターンを冷静に鑑みて判断すべきだろう。
・シンガポール株
シンガポール株については、残念ながら国内にはインデックスもアクティブファンドもない。以前アクティブファンドがあったので投資していたが、償還してしまった。なので現状外国市場ETFのみとなる。
シンガポールについては他のアセアンの国々と異なり、新興国・中所得国ではなく先進国である。
コロナからの回復、半導体関連での国内投資、そして何より投資国であるため各国の成長が恩恵を受ける。
リスクはいうまでもなく半導体関連の景気後退、そして貿易国や投資先が経済悪化した場合は影響を免れない。
ざっとではあるが、ASEANと一言でいってもこの様に各国で置かれている状況や景気動向が異なるとお分かりいただけたと思う。(もちろんASEAN加盟国同士でそれぞれ貿易比率が高いため、ASEANの多くの国が好調ならそれぞれの国が恩恵を受ける。だが個々の景気の強弱は出るだろう。)
なので投資を考えるなら「ASEANならどこでもよい」、「東南アジアだからどこも同じ」などと考えるのではなく、もう一歩踏み込んで調査・検討すべきだろう。
ASEANの国々は日本との関係も深く、また経済成長も期待できる。しかし個人の投資となるとかなり限られているのが現状だ。
外国市場のETFは今では(市場と証券会社にもよるが)手数料は下がり、特定預かりにできる証券会社もあるが、やはり税金やコストの面を考えると国内市場ETFかインデックスファンドのほうが好ましい。何年も前から個々のインデックスファンドを待ち望んでいるのだが、状況は御覧の通り。
メモ:
ASEANの国々にまとめて投資したいなら、アセアン株式指数のインデックスファンドはある。
また、アジアの国々にまとめて投資したいなら、日経アジア300のインデックスファンドやアジア株指数のインデックスファンドはある。
※ここに書いていることはあくまで私の調査や主観によるものなので、投資する際はご自身の調査と自己責任により行ってください。