──何故、米国株へ投資を行うのか?
僕がなぜ米国株に投資をするかというと、結論は「稼ぎやすいから」です。僕の投資は国を限定しません。米国株、日本株、香港株、ロシア株、韓国株と幅広く投資しています。その中でも、米株式市場は長年投資環境がよく、株価が上がる銘柄を見つけやすいように感じます。
米国株市場のが稼ぎやすい理由は以下の2つです。
イノベーションが起こりやすい
革新的技術(イノベーション)が起こりやすい環境が米国株式市場での稼ぎやすさに大きな影響を与えていると考えています。
米国経済は、イノベーションの力によって支えられています。成長し続ける企業が多いばかりか、スタートアップがユニコーン企業(評価額10億ドル企業)となり、次々と上場しています。
※2020年時点において米国のユニコーン企業は228社、日本は7社
それに米国の大企業は、日本の大企業に比べても成長率が高いことも少なくありません。これは、はじめて投資をした時に驚いた覚えがあります。GAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)など、世界をリードする企業などが付加価値を生み出し続けているからだと考えています。最近ではアリババなど米国に上場している成長著しい中国企業に注目が集まってきているため、投資の選択肢が多くて困ってしまうくらいです(笑)
世界中の資金が集中する
米国にはグローバルに事業展開する企業が多く、知名度が高いことが、世界中の資金が米国株式市場に集中する原因の一つともいえます。
結局のところ株式市場というのは人気投票のようなものだと思うので、GAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)などの時価総額が高くなりやすい傾向にあるのは当然なのですよね。新型コロナウイルスで米政府が給付金を国民に配ったことで、ロビンフッダー(ロビンフッドという株取引サービスで取引をする人たち)が、GAFAMに群がったとも言われたくらいです。
それにドルが基軸通貨であるため、ドル資金が流れ込みやすいということも影響しているように思います。ちなみに、日本からも米国の個別株は気軽に買えます。なお、中国や香港からも買えます。このように資金が流入しやすい市場は、株の購入難易度が下がります。
加えて、米国は財政政策や金融政策を機動的に行います。そうなると、市場にあふれた資金が米国株式市場に流れてくるので、株価が上がりやすい傾向にあります。それも投資家を惹きつけている点だと思います。
──自身のポートフォリオや掛ける時間の中で米国株がどれだけを占めるのか?
僕のポートフォリオは冒頭でも述べましたが、世界各国の株を採用しています。
タカシさんのポートフォリオ
- 米国株:6割
- 香港株:3割
- 日本株、ロシア株、韓国株:1割
2020年までは、ポートフォリオの米国株比率は4割にしていました。しかし、テスラの株価が15倍に上昇し、その比率が大きくなってしまいました。そこで一部を利益確定し、昨年末にようやく米国株のウェイトを6割にまで抑えました(笑)
他に米国株で投資している銘柄は、以下などがあります。
- ビヨンド・ミート(BYND)
- Bilibili(BILI)
- Weibo(WB)
- NETFLIX(NFLX)
※2021年2月末時点
米国株投資にかける時間
私は米国株をはじめ、株式投資にかける1日あたりの時間ですが、実は1時間程度です。
ただ、投資をする前段階として、周りの人たちが驚くほど調査・分析を徹底して行っています。 そのような時は3日程度、PCの前から離れず調査に没頭しています。
それさえ終われば、あとは新しいニュースを拾う程度で済むためです。
「自分が値上がりすると確信できた企業にのみ投資をする」が僕の基本ルールです。そのため、悪材料が出てきてもその銘柄の魅力を大きく毀損しない内容であれば保有し続けることができます。金融ショックなど、投資家的勘で「これはヤバイ!」と思った時を除き、基本はバイ&ホールドです(笑)
こうすることで、精神的に凄く楽な状態で投資に臨むことができます。
──米国株投資での成功体験と失敗体験は?
米国株での投資で実はあまり失敗したことがありません。
その代わり、初心者の頃に日本株投資で失敗したことが活かされているように感じます。
株式分割、増資、窓埋め、自社株買い、権利落ち、決算…どれも大小問わず株価を大きく動かす可能性のあるものです。
日本株での失敗体験があるため、米国株では対策を打つことができています。
結局は経験したりシミュレーションを重ねながら調べて、学んでいく必要があるのだと思います。
例えば、一つの銘柄に集中投資をするのではなく、3つの銘柄に分散投資を行います。ただし、銘柄の数は保有銘柄の動向をしっかりと追えるように、増やしすぎないようにするといったことが重要なのではないでしょうか。特に時間のない方は「自分が管理できる適度な分散」を意識したほうが良いと思います。
最も危険なことは、ネットで見た情報を鵜呑みにしたり、盛り上がっているからといって、情報を精査せずに取引をしてしまうことです。そういう取引を、イナゴのように群がることから「イナゴ投資法」と呼びますが、多くの場合失敗します(笑)
成功体験
そして、米国株で一番の成功体験といえるのはテスラの保有ですね。
僕がテスラに初めて投資をしたのは2018年で58ドル(分割後価格換算)でした。当時、テスラやイーロン・マスクへの世間の評価は散々なものでした。
8割以上のアナリストがテスラに「売り」の評価を出し、「テスラは倒産する」と半ばキレ気味で煽っていたのを覚えています。
空売りファンドも一緒になって売り浴びせていました。
そのような風向きの悪い時に僕はテスラの株を買ったのですが、それから数日後、イーロンマスクが、空売りファンドや四半期ごとに結果を求めてくる投資家やアナリストたちに嫌気がさして、ツイッター上で勝手に上場廃止宣言をしたんです。超クレイジーですよね(笑)このような言動でイーロン・マスクが世間を騒がせるたびに、記者や大衆が彼を嘲笑し非難しました。不思議な光景でしたね。僕は周りの人たちが誤った見方をしているとずっと思ってました。
僕がテスラに投資をした理由は、イーロン・マスクという人間にポテンシャルを感じたからです。彼の過去の功績や発言、行動から垣間見える思想、彼の生きてきた環境、仲間からの評価などを調べ尽くした結果、彼に惚れ込んでテスラに投資することを決めました。
過去にも数千社という企業を見てきましたが、ポテンシャルのある企業、伸びる銘柄の共通点はCEOだと思っています。 経営者が変われば企業の業績も180度変わったりします。そのため、僕は必ず経営者のバックグラウンドや発言、行動を見るようにしています。
ただ、本当はスペースXに投資をしたかったのですが、スペースXは非上場企業だったし、イーロンも「火星に行くまでスペースXは上場させない」と言っていたので、僕は仕方なくテスラへの投資を決めたという裏話があります(笑)
▼テスラ(TSLA)月足チャート
イーロンの企業であれば必ず長期でミッションを達成すると考えていたので、彼がCEOを務める企業であればどこでもよかったのです(笑)
そして、株価が下がってもひたすら買い増しをして待っていたところ、「中国での生産が本格化する」と投資家が気づき始めたあたりから、急激に株価が伸び始めたんです。
2020年1月に中国の発表会で公開した、マスク氏が踊っている映像は「マスクダンス」と呼ばれて拡散されました。
僕はかねてより中国市場は人口が多く消費も盛んなので、テスラの売上高に与えるインパクトは大きくなるだろうと感じていました。
さらに、毎日中国のミニブログの微博(Weibo)を見て、注目度の高さを実感していたので、テスラへの投資額を増やしていきました。
しかし、こんなに早く株価が上がるとは予想していませんでした。僕は、いつも投資をするタイミングが早すぎる傾向があります。そのため、テスラの場合も株価上昇までのんびり待つつもりでした。
投資タイミングが早かったとしても、最終的に株価が上がれば負けない投資になるので、それを続けてきましたね。
──タカシさんの情報収集の方法とは?
僕の情報収集の方法は、「できるだけ体験する」、「多言語で調べる」です。体験しなければユーザーの満足度はわからないし、製品・サービスに詳しくなければ変化にも気づけません。
ユーザーからの評価が下がったことに気づくことができないのは、非常に恐ろしいことですよね。
もちろん中には体験できない製品・サービスもあります。その場合は、分析して想像するしかありません。
例えば、B2Bビジネスを行う企業の場合は、四半期ごとに決算の売上高や利益率を追いながら、そのビジネスモデルが浸透するかどうかを想像する力が求められます。
他にも石油関連の企業だと、マクロ経済分析や原油価格の予測なども必要です。
このように体験できないことも多々あります。そのため、自分が詳しい領域で投資をすることが成功しやすいと僕は思います。好きだったり詳しい分野なら他の投資家よりも時間をかけて調べたいと思えますからね(笑)
あと、「投資前」と「投資後」で情報の調べ方も少し変わります。
投資をする前は、日常的に気になったサービスや商品、企業を徹底的に調べ尽くしています。僕は日常生活の中で、満足度が高かったり、流行りそうだと思ったサービスや商品があれば、その場で株価チャートを見るようにしています。
これを習慣づけることで、他の投資家より早く投資できる可能性が上がります。後で調べようと思っていると、他の人が気づいて株価が上昇してしまうかもしれません。
株は「安く買って高く売る」ことが大事なので、真似してみてください。
ビヨンド・ミートのケース
たとえば、僕はビヨンド・ミート(BYND)という株に投資しています。
ただ、上場した時はブルームバーグ(金融情報サイト)でニュースを見たくらいで、それほど関心はありませんでした。
しかし、実際にプライベートでヒヨコを保護して育てる機会があり、「鶏たちが食べられない世界」が来てほしいと本気で考えました(保護したヒヨコは現在も幸せに生きています)。
それから、培養肉の領域に興味を持ちました。そこで同社について徹底的に調べてみたところ、既存の食肉市場を一変させる力を持っていることに気づいたので、チャートを見てタイミングを伺いながら投資をしました。
▼ビヨンド・ミート(BYND)週足チャート
このように、投資をする際には必ずきっかけがあるはずです。そのフックを増やすという意味でも、何かを体験する度に「あれ、これって上場しているのかな?株価はどうなのかな?」と考える癖をつけてみてください。“ビッグトレンド”に乗る訓練ができます(笑)
情報収集の工夫
投資をした後は、すぐに手元に情報が流れてくるような仕組みを作ってあります。
たとえば、ビヨンド・ミートの場合、中国市場での売上高上昇に大きく期待しています。そのため、Wechat(微信)というチャットツールを使い、新商品が出たりイベントが開かれる度に企業からメッセージが通知されるように設定し、自動的に情報が入ってくるようにしました。また現地の友人に感想を聞くこともあります。
もちろん、その企業の情報が追えるサイトのページをいくつかブックマークしておきます。
このように、体験後に時間をかけずに情報をストレス無く得られる環境を作ることをおすすめします。
ただし、ひとつだけ気をつけてほしいことがあります。自ら体験して、他の人よりも早くその企業の成長性に気づいた時、世間の評価と自分の評価の間に差が生まれます。
時間が経ち、世間の温度感が上がってきた時に株価が上がるのですから、当然と言えます。
そのため、世間の評価は参考程度に留めておくと良いでしょう。
ネット上には、投資判断をブレさせる余計な情報や偏った意見などが多いです。僕は「体験して感じた製品・サービスの魅力」、「CEO」、「業績の成長度合い」など、自分の判断基準を大切にしています。
これがイノベーションが起きる米国市場で、先行者利益を獲得するコツだと考えています。
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