インタースペース<2122>は1999年にインターネット広告事業を主目的として設立され、現在はアフィリエイト広告を中心とするインターネット広告事業とメディア運営事業を展開している。2019年9月期における事業セグメント別構成比では、インターネット広告事業が売上高、営業利益の95%以上を占める主力事業となっているが、今後はメディア運営事業についても強化し、将来的には営業利益でインターネット広告事業と並ぶ水準まで拡大していくことを目指している。
グループ連結子会社は2019年9月期末時点で11社と前期末比で3社増加した。2019年9月期第1四半期にアフィリエイトメディアを運営する(株)TAG STUDIO、及びアフィリエイトサービスを展開するINTERSPACE DIGITAL MALAYSIA SDN.BHDを新設し、連結対象子会社としている。主要子会社は、2018年4月に分社化した (株)ストアフロント(リアルアフィリエイトサービスを主に展開)、2018年1月に子会社化した4MEEE(株)(20代の女性をターゲットとした「4MEEE」や、感度の高い主婦・ママ層をターゲットとした「4yuuu!」等のメディアサービスを運営)のほか、海外に4社ある(インドネシア、タイ、シンガポール、マレーシア)。その他にもベトナムに現地企業との合弁で持分法適用関連会社(出資比率49%)を設立している。海外子会社では主に現地の金融、eコマース企業などをクライアントとするアフィリエイト広告事業を展開している。
1. インターネット広告事業
インターネット広告事業では、アフィリエイト広告を中心にリスティング広告なども取り扱っている。売上高の8割強はアフィリエイト広告による収入で、アフィリエイト運営事業者の中で大手の一角を占めている。競合としては、業界最大手となるファンコミュニケーションズ<2461>のほか、アドウェイズ<2489>、バリューコマース<2491>、レントラックス<6045>などがある。
アフィリエイト広告とは成果報酬型のインターネット広告のことで、商品購入や資料請求などの最終成果の発生に応じて、広告主が広告を掲載したWebサイト(パートナーサイト)やメールマガジンなどの運営者に対価を支払う形態の広告を指す。広告主からこれら広告掲載者に至るまでの中間段階として、アフィリエイトプログラムを提供する同社のような運営業者(アフィリエイトサービスプロバイダー)が介在することになる。同社は広告主から得られる広告料を売上高として計上し、そのうちパートナーが受け取る報酬額を支払成果報酬として売上原価に計上している。粗利益率はおよそ20~30%の水準となっている。
アフィリエイトプログラムとは、広告掲載者が自身のWebサイトに広告を掲載するためのツールであり、使い勝手の良いツールが各運営業者から提供されている。同社は2001年に「アクセストレード」を開発し、2019年9月末時点で約59万のパートナーサイトで利用され、取扱広告プログラム数としては約1.4万件となっている。
また、同事業売上高の1割弱はリアル店舗型のアフィリエイト(ストアフロントアフィリエイト(以下、SFA))で占められる。主に携帯電話販売店にてサービス提供を行っているもので、携帯電話の購入者に対して広告主が提供するコンテンツアプリやサービスをショップ店員が勧め、ダウンロードやサービスを開始した段階で成果報酬がショップ側に発生する仕組みとなる。このため、SFAの売上高に関しては、携帯電話の販売動向と相関性が高くなる。店員が直接、顧客に商品・サービスを提案するため、広告主にとっては費用対効果の高い広告サービスとなり、同社の粗利益率は15~25%となっている。携帯電話ショップの契約店舗数は約1万店舗と業界トップクラスのネットワークを形成しており、競合としてはエムティーアイ<9438>がある。また、最近は不動産販売代理店など新規販路の開拓を進めており、入居契約時に合わせて提案できるインターネット接続サービスやウォーターサーバーなど新たな商材の販売にも注力している。
2. メディア運営事業
メディア運営事業は、ママ向けコミュニティサイトとして月間平均利用ユーザー数が590万人超(2019年9月期第4四半期)と、業界最大級のメディアに成長した「ママスタジアム」を中心に自社メディアの広告枠を販売するメディア広告事業のほか、スマートフォン用ゲームコンテンツの開発・運営を行うコンテンツ事業などが含まれる。「ママスタジアム」を中心としたメディア広告事業の粗利益率は30%以上と高収益性を誇っている。一方、ゲームコンテンツについては新規開発を抑え、過去のゲームコンテンツの中から需要が見込めると判断したコンテンツを買い取り、スマートフォン用ゲームとして再リリースし、その中から得られる広告収入や月額課金収入を主な収益源としている。売上規模は小さいが開発費もほとんど掛からないため、ローリスク・ローリターンのビジネスモデルとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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