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2021/09/01 - 三菱マ(5711) の関連ニュース。―太陽光発電を劇的に変える可能性、軽量・柔軟な特長に関心高まる― 菅政権は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、経済産業省が7月に公表した新しいエネルギー基本計画の原案では30年度の総発電量のうち 再生可能エネルギーで36~38%(現行目標は22~24%)を賄うことが示された。風力は環境への影響調査などに時間がかかることから当面は太陽光に頼らざるを得ないが、国土面積当たりの日本の太陽光の導入量は既に主要国のなかで最大で、パネルの置き場所は限られつつある。そこで関心が高まっているのが、軽量で柔軟性を持つペロブスカイト太陽電池だ。●政府は研究開発を支援

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再生エネ拡大の切り札、「ペロブスカイト太陽電池」で輝き放つ銘柄群 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2021/09/01 19:30

―太陽光発電を劇的に変える可能性、軽量・柔軟な特長に関心高まる―

 菅政権は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、経済産業省が7月に公表した新しいエネルギー基本計画の原案では30年度の総発電量のうち 再生可能エネルギーで36~38%(現行目標は22~24%)を賄うことが示された。風力は環境への影響調査などに時間がかかることから当面は太陽光に頼らざるを得ないが、国土面積当たりの日本の太陽光の導入量は既に主要国のなかで最大で、パネルの置き場所は限られつつある。そこで関心が高まっているのが、軽量で柔軟性を持つペロブスカイト太陽電池だ。

●政府は研究開発を支援

 ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を用いた新しいタイプの 太陽電池で、発電層を含む厚みが現在主流となっているシリコン系太陽電池の100分の1程度と非常に薄いため、軽量で曲げることができるのが特長。そのためネット・ゼロ・エネルギービル(建物全体でのエネルギー負荷制御と高効率システムの設置などにより、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現したうえで再生可能エネを導入し、年間の1次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物のこと)の普及につながる建物壁面への設置や、透明電極を用いて窓への適用など多様な設置形態が可能になる。また、太陽電池モジュールの基板に直接、層材料を塗布することができることから従来の作製技術に比べて、より安価に形成できることもメリットとして挙げられる。

 こうしたことから世界各国で、ペロブスカイト太陽電池が“シリコンに対抗しうるゲームチェンジャー”と位置づけられ、長期的にはシリコンと置き換えることを念頭に実用化を目指す動きが活発化。例えば、米国では国立再生可能エネルギー研究所が中心となって「米国先進ペロブスカイト製造コンソーシアム」が設立されている。国内では経産省が8月31日に開いた産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会のグリーン電力の普及促進分野ワーキンググループ(WG)で、脱炭素化に取り組む企業を支援する2兆円の基金から、ペロブスカイトの社会実装を視野に次世代太陽電池に関する研究開発のプロジェクト予算(21~30年度)として最大総額で498億円(基盤技術開発事業に上限80億円、実用化事業に上限120億円、実証事業に上限298億円)を配分する計画が示された。

 WGの資料によると、太陽光発電の世界市場規模は30年に約5兆円(うち次世代太陽電池は約500億円)、50年に約10兆円(同約5兆円)になると試算しており、ペロブスカイト太陽電池の関連銘柄に注目したい。

●社会実装に向け着々

 リコー <7752> は屋外・宇宙用途向けのペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んでおり、色素増感太陽電池で培ったモジュール作製技術や屋内外共通で利用可能な低照度・高照度の性能両立化に強み。今月には九州大学と共同開発した薄型・軽量・フィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプル提供を開始するなど、さまざまな次世代太陽電池を手掛けていることから同社のビジネス機会は更に広がりそうだ。

 ニチコン <6996> は6月、リコー電子デバイス(大阪府池田市)及び京都大学発のペロブスカイト太陽電池のスタートアップ企業であるエネコートテクノロジーズ(京都市上京区)と共同でフィルム型ペロブスカイト太陽電池を活用した電子棚札システムを開発した。室内環境のような低照度下でも高い変換効率を有するフィルム型ペロブスカイト太陽電池と、微弱電流による充電が可能で長寿命の充放電サイクル特性を持つ二次電池、低消費電源回路を組み合わせることでメンテナンスフリーのシステムを開発することに成功した。

 サムコ <6387> は5月、京都大学化学研究所にペロブスカイト太陽電池向けALD(原子層堆積)装置を納入したと発表。このALD装置は容積を小さくし、ガス消費を抑えた効率的な反応室構造を採用しているほか、オープンロード(反応室開閉)式の装置にグローブボックスを装備しており、大気にさらすことなく試料の出し入れが可能だという。

 ホシデン <6804> は4月、ペロブスカイト太陽電池事業に参入すると発表した。関係会社のホシデンエフディが持つタッチパネル製造ラインは、ペロブスカイト太陽電池生産との親和性が高く、既存設備の有効活用が可能。将来的には韓国やベトナムにあるフィルム基材タッチパネルの製造ラインを活用することにより、フレキシブル太陽電池の量産も視野に入れている。

 産業技術総合研究所の福島再生可能エネルギー研究所は4月、21年度「被災地企業等再生可能エネルギー技術シーズ開発・事業化支援事業」として、ケミプロ化成 <4960> [東証2]が応募した「ペロブスカイト太陽電池用材料の開発」を採択しておりマークしておきたい。

●フジプレアムなどにも注目

 このほかでは、研究開発に取り組んでいるカネカ <4118> 、フィルム型の実用化に向け注力する積水化学工業 <4204> 、京都大学と開発を進めているフジプレアム <4237> [JQ]、グループ会社が関連試薬を手掛ける富士フイルムホールディングス <4901> 、エネコートテクノロジーズに出資している三菱マテリアル <5711> 、ペロブスカイト化合物を取り扱う堺商事 <9967> [東証2]に商機がありそう。また、ペロブスカイト太陽電池モジュールで高エネルギー変換効率を達成している東芝 <6502> とパナソニック <6752> も見逃せない。

株探ニュース
配信元: 株探

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