ココナラ、流通高・営業収益ともに高水準で推移 流通高1,000億円、営業利益率30%に向けて積極投資を継続
個人投資家向けIRセミナー
日根野健氏(以下、日根野):株式会社ココナラ個人投資家向けIRセミナーを始めます。株式会社ココナラは、総合カテゴリ型の知識・スキル・経験のサービスECプラットフォームを運営している会社です。東京証券取引所のグロース市場に上場している株式会社ココナラの代表取締役社長CEO鈴木歩さま、よろしくお願いいたします。
鈴木歩氏(以下、鈴木):本日はよろしくお願いします。
日根野:鈴木社長、ラフな服装に見えます。暑がりだとお聞きしましたが、そうなのでしょうか?
鈴木:暑がりです。ただ、本日画面上では上半身のみが映っているため、ラフな印象は隠せていると思っています。
日根野:もともと暑がりだったのでしょうか?
鈴木:生まれた時から暑がりでした。生まれた場所は日本になりますが、0歳からマレーシアに行っているため、体は東南アジアに完全に順応しています。
日根野:そのような環境もあり、生まれた時から暑がりなのですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
ココナラの事業概要
日根野:本日はココナラの事業内容や今回発表された第2四半期決算の内容についてお話をお聞きしていきたいと思います。
鈴木:第2四半期の決算説明資料を用いてご説明していきたいと思います。まずは会社の概要についてお伝えし、後半で今回の決算に関する詳細などをお話ししていきたいと思っています。
最初に、弊社の事業概要になります。大きく分けて3つのプロダクトを持っており、そのうちの1つが「ココナラ」です。メインのサービスになっていますが、スキル・知識・経験のマッチングに関するマーケットプレイスを運営しています。
ここから派生するかたちで、昨年の夏から「ココナラビジネス」を立ち上げており、中身は基本的に「ココナラ」と同様になりますが、購入目的でご利用いただく方が使いやすいように、機能をアップデートして搭載しているプロダクトになっています。
また、姉妹サイトとして「ココナラ法律相談」を持っており、カテゴリとしては、弁護士と悩みを抱える相談者のマッチングに特化したかたちで運営しています。今年の頭からは、ファンドにおいて「ココナラスキルパートナーズ」も、新たな仲間として運営しています。
日根野:「ココナラ」と「ココナラビジネス」の違いとしては、どのようなところにあるのでしょうか?
鈴木:「ココナラビジネス」の場合は掲載されているカテゴリやサービスが、ビジネス利用に特化されています。
日根野:ビジネス領域と言いますと、例えばどのようなものになりますか?
鈴木:デザインやWebサイト制作、マーケティングなどに特化しており、且つ、同じようなカテゴリが「ココナラ」にある場合でも、「ココナラビジネス」ではよりビジネスに適した価格帯・レベルのサービスを選抜して掲載しています。
日根野:「ココナラ」の中でも特にクオリティの高いサービスを選抜し、ビジネスに適しているものを掲載しているというイメージでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。
ココナラのVision&Mission
鈴木:ココナラのVisionとMissionです。まず、Visionについては「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」と掲げています。ただ、これでは定義が広いため、Missionとして「個人の知識・スキル・経験を可視化し、必要とする全ての人に結びつけ、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供する」を掲げており、我々が価値提供するフィールドをすごく絞っています。
ココナラが実現したいこと
鈴木:Visionについて少し具体的に踏み込んでお話しすると、実現したいことは3つあります。1つ目は「あらゆる人に機会を」です。出品者向けの機能も提供しているため、副業解禁などにより、よく「働き方改革ですか?」というお声もいただきますが、我々としてはツーサイデッド(two-sided)のマーケットプレイスとして出品される方、購入される方、両方のあらゆる方を対象としています。
出品される方の中でもアマチュア、プロを問わず、また、購入される方の中でも、ビジネス利用・プライベート利用などは問わないあらゆる人に対して、なにかしら「誰かの力を借りたい」、もしくは「自分の力を活かしたい」と思ったら、社会や個人とつながれるような仕組みを作っていきたいと思っています。
日根野:私は公認会計士・税理士ですが、私が出品してもよいのでしょうか?
鈴木:もちろんです。税理士の場合、法令などもあるため持っている免許の番号を必ず記載していただく必要はありますが、専門の領域においてプロフェッショナルとしてご活躍いただけます。
日根野:私に相談したい方が私を見つけてくれたら成立、ということでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:それでは、自分の中で「これは得意だ」というものをいろいろな方が出品されているのですね。
鈴木:そのような状況です。実現したいことに関する2つ目は、「制約からの解放」です。みなさまに機会を提供したいと思った時、我々はオンライン完結で提供しているため、住んでいる場所や稼働できる時間に関係なく、世の中とつながっていくことができます。
また、環境や年齢についても同様です。例えば組織に属していないと「仕事ができない」「誰かの助けを借りられない」となるところを、個人として、「定年退職した後に」「子育て中のお母さんがスキマ時間に」といったように、いつでも世の中・社会とつながっていける世界観を目指しています。
3つ目は「フェアな取引」です。やはり「オンラインで誰かの力を借りる・貸す」という概念は初めてであるため、マーケットにおいて信頼性と安全性を最初に示しながら、マーケットをしっかりと作っていく必要があるため、フェアな取引をかなり重視しています。そのため、情報の可視化、マッチングのアルゴリズムの適正化といったフェアな取引をかなり意識しビジネスを行っています。
日根野:新型コロナウイルス感染症が拡大した影響により、オンライン上では今まで以上に「副業も行おう」という流れになり、加速していったという背景はありますか?
鈴木:そのような流れは本当にあります。2020年3月、4月で一気に節目が変わりました。非対面・非接触の流れになる中で、出品者の属性としてはリモートによって移動時間がなくなるなどにより、時間に余裕ができるようになりました。そのような環境になると、「余った時間で、何か活かせることはないか?」となります。
また、コロナ禍により収入が不安定になった方もいるため、出品者側では「ココナラ」での副業を新たな収入のチャネルとして活用する方もいます。購入者側としても、「対面で人と会うのは少し怖いため、オンライン上でよい」というような考えをきっかけに、「ココナラ」をご利用いただく流れが加速しました。
日根野:追い風が吹いていたわけですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
ココナラの特徴
鈴木:「ココナラ」の特徴については3つあります。1つ目は、EC型であるということです。我々の場合、出品者が先にサービスを作り出品するため、「このようなことができ、それをいくらで売ります」というように、出品者が価格決定権を持っています。
今では50万サービスくらいある在庫が並んでおり、これに対して購入者は「ココナラ」で、ふだんECサイトで日用品を買うようにポチポチとカテゴリを選んだり、自分が欲しいものを絞り込んだりします。購入した後ボタンを押せば取引成立になるため、ふだんの物を買う体験と同じかたちで気軽にスキルを買うことができます。
日根野:出品者と購入者がマッチングした後について、実際には購入者側からすると「このようにしてほしいです」、出品者側からすると「これが得意です」といったように、お互いにいろいろと伝えたいことがあると思います。その場合、どのようにやり取りするのでしょうか?
鈴木:「ココナラ」内でコミュニケーションツールを使い、やり取りが全部完結できるかたちをご提供しています。テキストのチャットや電話も可能であり、また、コロナ禍の少し前になんとか間に合って用意できたビデオチャットもあるため、やり取りのすべてをスムーズに行うことができます。
日根野:そのようなもので打ち合わせなどを行い、「このようなことをしてほしい」「このようなことが得意」といったことをテキストや電話、ビデオなどですり合わせて、欲しいものが手に入るということでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:これはすごい仕組みです。
鈴木:2つ目は、すでに繰り返し何度かお伝えしていますが、オンラインで完結するということです。これは取引が成立するだけでなく、その先の納品に至るまでのあらゆるコミュニケーションが「ココナラ」内でしっかりと完結するという特徴になります。
3つ目は、幅広いカテゴリです。バーティカルでわかりやすく事業を実施されているサービスもあると思いますが、我々の場合は、プライベートからビジネスまで利用シーンは広く、あらゆる450くらいのカテゴリを取り揃えて行っています。
日根野:特定の分野に特化しているというよりも、総合的にいろいろなメニューがあるということでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。ビジネス利用、制作系利用で言いますと、代表的なのはデザインやWebサイト制作であり、プライベート系で言いますと、美容の相談といった悩み相談、オンラインレッスンなどもあります。
日根野:オンラインレッスンなどはおもしろそうです。英語のオンラインレッスンなどもできるのでしょうか?
鈴木:まさに、英語のレッスンも可能です。そのほか、例えばプログラミングのレッスン、文章の書き方レッスンなど、限定されずにすべて可能な状況です。
ココナラがターゲットとするスキルシェア市場の魅力
鈴木:我々が見据えている市場の魅力について簡単にご説明したいと思います。スキルシェア市場について、特に我々はオンライン完結で行っていますが、今はまだ規模が小さいと思っています。1,000億円くらいの市場規模に対して、昨年度の我々の流通高では96億円程度です。ただ、オンラインのみではなく、オフラインも含めた役務提供のマッチング市場に関しては18兆円くらいあります。
日根野:実際にそれほどあるのでしょうか?
鈴木:調べた上で、そのくらいはあるだろうと理解しています。この点を踏まえると、現在の1,000億円は全体の0.6パーセントくらいしかオンライン化していないということが言えると思っています。「それではこれがサービスの役務の提供ではなく物の場合だとすると、どのくらいオンライン化しているのか?」と言いますと、おそらく現時点では日本で10パーセント弱ほどがオンライン化しており、欧米では20パーセント以上となっています。
我々は日本において、このサービスの市場も10年後にはオンライン化が10パーセントになる世界観にしていけるのではないかと思っており、まだまだ余地があると考えています。今が0.6パーセントで、これが今後10パーセントになった場合は20倍くらい伸びることになりますが、その中でシェアをしっかりと獲得していき、数千億円といった流通高、GMVも、もちろん狙っていけるのではないかというポテンシャルを感じています。
日根野:スライド中央の円グラフに記載している「オフライン99.4パーセント」という部分が、どんどんオンラインになっていくというイメージだと思います。例えば、ホームページを作る時、知り合いに「そのホームページはどこで作ってもらったのか知りたい」「紹介してほしい」など、今まで口コミによってつながっていた部分が変わっていくということでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:友だちに口コミで「誰か良い方はいないか?」と聞くよりも、「ココナラ」で探すほうがよいとするポイントはあるのでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおり、あります。オンライン化していくことでどのような便利な世界があるのかについてを4つほどまとめているため、この後詳しくご説明します。
もう1つ、市場としての魅力のポテンシャルで言いますと、スライド右側の棒グラフを見ていただくとわかると思いますが、日本のフリーランサーの比率において、個人として、フリーランスとして働く比率についてはまだ発展途上になります。今後はさらに組織という枠組みだけでなく、個人で働くという選択肢を持たれる方が増えていくと考えるため、我々のマーケットにおいてよいきっかけとなるチャンスがあると思っています。
ココナラが実現したい世界観
鈴木:「ココナラ」が実現したい世界観において、オンラインがどれほど便利なのかという内容については4つほどあります。1つ目は「マッチング範囲」です。先ほど「知り合いに紹介してもらう」というお話があったと思いますが、この場合では知っている人、ネットでリーチできる人に限られてしまいます。我々の場合、何十万人というエキスパートのデータベースがあるため、検索する必要はありますが、誰でも簡単にリーチできるという世界観になります。
2つ目は「時間・場所」に関係なく可能であるということです。つまり、オンラインであるが故に、九州の出品者と東京の購入者が場所に関係なく簡単にマッチングでき、また、オンライン上でコミュニケーションもとれるため、朝にチャットを送り、夜に返信することもできます。このように時間・場所に関係なく非常にスピーディなやり取りができます。
続いて3つ目の「情報」は特に大事な部分になります。対面のよいところは、face to faceで話していると相手のことがわかったという安心感があるところだと思います。
日根野:そのように思います。
鈴木:ただ、実はわかった気になっているのであって、「本当に相手のことがわかっているのか?」ともなります。オンラインの場合では、データベースにあらゆる情報が載っており、その方の過去の実績、レビュー、ポートフォリオといった過去の作品群、返信速度まで視覚的にわかるため、この点において部分的には対面より勝っているところがあると思っています。例えば、対面で仕事に関する話になった時、「あなたのメールの返信速度は何分ですか?」とは聞きづらいと思います。
日根野:聞けないです。
鈴木:これがオンラインではできる、というけっこう有利な面もあります。
日根野:「ココナラ」を見る時は、確かに過去に何件実績があるのかを見ます。また、過去に利用された方の感想やレビューで星マークが4つ、5つある客観的な評価が数件も並んでいると、初対面でも「この方は大丈夫そう」と信頼できるような印象を持ちました。
鈴木:これを今までどおりの対面に置き換えますと、「お任せください。我が社では必ずうまく行ってみせます」と言われることがあっても、「過去のユーザーの平均評価は4点でした」などとは言わないと思います。
日根野:おっしゃるとおりです。
鈴木:そのようなこともあるため、オンラインではよいところがあると思っています。
4つ目は「価格」です。CtoCのかたちであるため、ユーザーとユーザーがダイレクトに結びつきます。そのため、中間的に発生する店舗費用、組織維持費用、マージンなどがかからず、我々が仮に手数料をいただいたとしてもコストメリットを享受できており、クオリティは変わることなく相場より安く購入できるという世界観になります。
ココナラの競争優位性
「ココナラ」の優位性については3つほどあります。1つ目は「No.1マーケットプレイス」です。現時点で50万件くらいのサービスがすでに出品されており、圧倒的な数になっています。
日根野:50万件とはすごい数ですね。
鈴木:数が多いと思います。さらに、出品されているサービスに紐付いている、取引が成立した時に発生するレビューは数百万ほどあります。
日根野:こちらもすごい数だと思います。
鈴木:物と比べてサービスは目に見えない上に、相場観がないため、「はたしてこの価格は適正なのか、この方で大丈夫なのか」と不安になるところを、過去何人も同じサービスを買って満足している内容を見ることで、おそらく自分も満足できるだろうという安心感につながると思います。
日根野:期待につながります。
鈴木:このようなものがすでにストックされている状態であるため、みなさまがより安心して「ココナラ」を選ぶ理由になっていると思います。
日根野:その数百万というレビュー自体が、「ココナラ」というサイトの価値を高めてくれているということになりますでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:たくさんの方が活用し、点数を付けてくれている状況だと思います。
鈴木:この何十万というサービス、何百万というレビューは、一朝一夕ではためられないため、これが資産の一つになっていると思っています。
2つ目は「高い購入継続率」です。スライド中央には、各年度において登録いただいたユーザーが、その翌年以降でどのような流通高、利用実績になっているのかという推移を表しています。ほぼ離脱することなく利用いただけており、また、新しい年度の利用者の流通高が乗るため、非常に積み上がり右肩上がりになっている状況です。
なぜこれが実現できているのかと言いますと、先ほどもお伝えしましたが、扱っているカテゴリ数が多く単発の需要で終わらないためです。「ロゴを作ったが、次はWebサイトを作ってみよう」「せっかくだから、チラシも作ってみよう」「プライベートで占いをお願いしてみよう」といった需要がずっと継続されるというモデルになります。
日根野:ほかの商品も買っていくといった、クロスセルのようなことになりますでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。続いて3つ目は「安定したテイクレート」です。我々は手数料型をとっており成果課金であるため、成立することができた取引の一部のお金を頂戴するというモデルになっています。そのため、テイクレートは非常に安定しており、26パーセントから27パーセントくらいまで常に安定して収入を得ることができています。
日根野:要するに、1万円の発注契約が成立し納品されると、そのうちの27パーセントくらいが「ココナラ」に入ってくるということでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。
プロダクトの拡張
鈴木:プロダクトの拡張についてです。我々としては「できないことをなくしていく」という世界観の中でプロダクトの磨き込みを行っており、5方面への拡張を実施しています。詳細は少し割愛しますが、1つ目は「サービス提供手法の拡張」です。コミュニケーション手法の拡張のことで、テキスト、電話、ビデオといったいろいろなやり取りの方法を便利にしていくという方向性になります。
2つ目は「カテゴリの拡張」です。これは一番シンプルになりますが、今450あるカテゴリを段階的に増やしており、おそらく将来的には1,000を超えてくると思います。
3つ目は「マッチング手法の拡張」です。最初は、サービスをいきなり買うというかたちでしたが、そこから「このようなことを行いたいのですが、カスタマイズはできますか?」といったお声により、見積りの方法が増えるようになりました。
また、コンテンツというかたちでスキルをパッケージ化して売るなど、マッチングの形式をいろいろと増やしていく中で、みなさまのニーズをカバーできるような範囲を増やしていくことも行っていきます。
日根野:より高度な商品を売っていくようなイメージでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。4つ目は「ユーザー属性の拡張」です。これは特に顕著になりますが、最初は個人のプライベート利用が多く、ここ数年で加速度的にビジネス利用が増えていきました。今ビジネス・制作系の利用が6割くらいになりますが、特にビジネス利用に適した機能拡充を足元で行っています。また、5つ目の「課金手法の拡張」もやはり増えれば増えるほど、みなさまにとって便利な状態にしていけるため、常に機能開発していくということで進めています。
ココナラ経済圏
もう少し広く見た時に、「ココナラ経済圏」を作っていきたいと思っています。実は、価値提供をできているフィールドはまだ一部だと思っているのです。スライドの縦軸が領域やカテゴリ、横軸が我々が価値提供をできている種類ですが、制作系から学び・占い・エンタメのような領域においてのサービス・プロジェクト、単発型、タスク型のところについては、我々は主な価値を持っています。
しかし、もう少し時間や周期で何かを定期提供、マッチングしていくという部分に関しては、まだ未対応なことが多かったりします。また、大部分を日本で展開していますので、海外のようなところにもシナジーがあります。そのようなかたちで、まだまだ未提供なところも多いのです。
我々としては随時範囲を広げていき、場合によっては自社開発するだけではなくM&Aやアライアンスのような手法も駆使しながら、「ココナラ経済圏」を拡大していきたいと思っています。
日根野:サービスのマーケットはすごく大きいですね。先ほどお聞きしたように、いろいろなまだまだ手が付けられていない未開拓な領域があるということですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
中長期的に目指すターゲット
鈴木:スライドは中長期的に目指すターゲットです。どのタイミングかはお伝えできないのですが、流通高1,000億円を早期で達成していきたいと思っています。
日根野:1年間で、「ココナラ」で取引されるサービスが1,000億円ということですか? かなりの金額ですね。
鈴木:チャレンジングだとは思っています。昨年度でまだ100億円のため、やはり我々としてはトップラインをまだまだ圧倒的に伸ばしていきたい、流通高を伸ばしていきたいと思っています。
短期については、トップライン成長のための大胆な投資も進めていきたいです。赤字も辞さずに進めていくというスタンスで取り組みますし、今期が始まる時もそのようなガイダンスを提示しています。
一方で、これが中期になってくると、我々は非常にテクノロジーで労働集約ではないため、流通高の伸びに応じてずっとコストを増やさなくてはいけない構造ではないのです。損益分岐を超えると一気に利益率が上がってくるため、長期的に見ると、たとえば営業利益率30パーセントなどの高い水準を作っていけるのではないかと思っています。
日根野:株主はすごくうれしいですね。一定ラインを超えるとどんどん利益が出るというかたちですね。
鈴木:そのような絵を描きながら今、足元で投資をしています。ここまでが会社の説明になっています。
FY2022第2四半期(21年12-22年2月)決算ハイライト
鈴木:決算説明に移ります。まずハイライトです。連結としては、冒頭お伝えした「ココナラ」と、姉妹サイトの「ココナラ法律相談」はともに堅調に推移しており、流通高で昨年対比35パーセント成長となっています。営業収益、すなわち普通の会社での売上は昨年対比43パーセントと、非常に高水準で推移しています。
日根野:すごい成長ですね。
鈴木:ココナラ本体に関しても、今お伝えしたところと同じような水準で成長しています。詳細はこの後、グラフを用いてお伝えしたいと思っています。
特に「ココナラ法律相談」は、ココナラ本体と比べると規模は非常に小さいものの、成長は急角度で伸びています。営業収益で昨年対比98パーセント成長と、ほぼ2倍で成長しています。それを支える、有料でご利用いただいている弁護士の数も非常に増えています。
その周辺のトピックスとしては、「トップラインを伸ばしていくために積極投資をします」というところの一番の目玉がTVCMです。
日根野:CMを見ました。
鈴木:ご覧いただきましたか。ありがとうございます。
日根野:「こんなことができるんだ」というような、印象に残るCMですよね。
鈴木:ありがとうございます。積極的にクリエイティブのTVCMを作りながら、一方でTVCMは「ただ流せばよい」というものではないため、我々の考え方としてはWeb広告と同じように非常に緻密に設計し、モニタリングして、回収期間などを考えながら進めています。
TVCMだけではなくて、ほかのマーケティング手法も常にフィジビリティスタディをして、トライ&エラーをしながら開発することになっています。詳細はまたグラフ等を用いながら解説します。
連結:営業収益
鈴木:連結営業収益は先ほどお話ししたとおりで、43パーセント成長となっています。
日根野:すごいですね。これは四半期ごとのグラフですよね?
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:営業収益は、売上のようなイメージですね?
鈴木:そのとおりです。法律相談が最初は非常に薄かったのですが、最新の第2四半期では全体の10パーセント程度までシェアを拡大しています。
日根野:急成長していますね。
ココナラ:流通高、営業収益、テイクレート
鈴木:「ココナラ」単体ですが、こちらも35パーセント成長で、テイクレートは27パーセント近くで安定しています。
ココナラ:主要KPI(購入KPIの四半期推移)
鈴木:「ココナラ」単体の主要なKPIです。流通高を分解すると、購入してくださる方の人数と、購入してくださる方が平均的に利用する購入額になるのですが、両方とも右肩上がりで伸びています。
日根野:2022年第2四半期で購入者は約14万人いるのですね。
鈴木:これを多いと取るか、少ないと取るかわからないのですが、我々としてはまだまだ伸ばしていきたいです。
ココナラ:カテゴリ別流通高
鈴木:カテゴリ別に大きい分類で分解してみると、制作・ビジネス系はスライドのグラフの濃い紺の部分ですが、これが非常に伸びており、全体の60パーセントくらいを占めるまでになっています。
日根野:ビジネス系とおっしゃっていた部分ですね。左端の始まりはだいたい両方とも同じくらいですが、ビジネス系のほうが大分伸びていますね。
鈴木:急速に伸びています。
ココナラ法律相談:営業収益・主要KPI(1/2)
鈴木:このスライドは「ココナラ法律相談」です。左側の営業収益、つまり売上が昨年度対比2倍に成長していて、登録してくださっている有料弁護士数も80パーセント成長です。有料弁護士とはどのようなことかというと、このビジネスモデルは「ココナラ」本体とは異なっていて、広告収入を得るかたちになっています。
日根野:弁護士がココナラに広告料を払うということですね。なるほど。
鈴木:広告として弁護士事務所情報を載せていると、それに対して相談者が一定程度問い合わせをしてくるという期待値で、広告をいただくモデルです。広告料を払ってくださっている弁護士の数が、有料登録弁護士数ということになっています。
日根野:着実に増えていますね。
ココナラ法律相談:主要KPI(2/2)
鈴木:スライドのARPPUというのは弁護士1人あたりの単価で、こちらも非常に伸びています。
日根野:これは1ヶ月ごとですか?
鈴木:四半期ですので3ヶ月です。
日根野:3ヶ月で9万8,000円、月にすると3万円あまりですね。
鈴木:かつ、モデルが基本的には半年単位の継続になっているのですが、そこでの解約率も1パーセントを切るかたちで、非常に順調に推移しています。
営業費用
鈴木:「ココナラ」と「ココナラ法律相談」全体の営業費用です。直近は広告宣伝費、特にTVCM等も活用しているため増えてはいますが、適切にコストコントロールしています。
日根野:TVCMは高そうですね。
鈴木:高いです。
日根野:スライド右のグラフの見方を教えていただいてもよいですか? 営業収益にどのくらいの割合で費用がかかっているかということですね。
鈴木:そのとおりです。この100パーセントのラインを上回っている時は赤字ということです。
日根野:棒グラフの一番上にある緑の部分が広告宣伝費ですね。この広告宣伝費をたくさんかけた四半期は、100パーセント、つまり赤字黒字のゼロのラインを大きく越えているということですね。
鈴木:そのとおりです。もう少し見方を変えると、次のスライドのようになります。
TVCM関連費を除いた営業利益
鈴木:TVCM関連費を除いた営業利益です。TVCMを流すと一時的に赤字にはなるのですが、TVCM費用はいつでもやめられますし、コントロール可能な費用です。
このように捉えた場合に、この部分を除いた、たとえば人件費などの簡単には減らせない費用だけで見ると、営業利益はずっときちんとプラスで推移しています。「TVCMさえやめれば、いつでも黒字にできます」ということを、このグラフで示しているということです。
日根野:TVCMさえ抜けば、毎四半期が黒字になるということですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:TVCMは、元は取れるのですか?
鈴木:正直にお伝えすると、通常はSEOと呼ばれる無料の集客やWeb広告が中心で、こちらに比べたら回収期間はTVCMのほうが長くかかります。
日根野:かけた広告代の元を取るのに時間がかかるということですね。
鈴木:時間はかかりますが、我々はきちんと科学して、数年かかったとしてもきちんと回収できるというところを見極めながら投資しているため、トータルとしては意味のある投資になっていると思います。
日根野:先ほどそのようなグラフがありましたね。2018年から利用し始めた人が、ずっとクロスセルで使ってくれているということでした。
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:一度お客さまになってくれた方が、利用額をむしろ年々増やしていってくれているというグラフがありましたね。
鈴木:LTVと呼ばれる顧客が生み出してくださる利用金額の相場のようなものは、年を経れば経るほど増えていくという構造です。
マーケティング投資の考え方
マーケティング投資の考え方です。今期は10億円を超えるマーケティング投資を進めていますが、お話ししているとおり、ユニットエコノミクスを考えながら回収期間を意識して行っています。
加えて財務方針ですが、こちらもTVCM費用を考慮した場合に、いつでも黒字状態になるように、きちんとコントロールしながら運営しています。
職種別の人員数(正社員+契約社員)
職種別の人員数です。我々はプロダクトの機能をどれだけUXが優れたかたちでご提供できるかが大事ですので、特にこのプロダクト開発人員、つまりエンジニアやデザイナー、企画職の人を採用できるかが重要なのですが、順調に採用できています。
日根野:「ココナラ」のシステムのプログラムを書く人たちですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:CSというのは何ですか?
鈴木:カスタマーサクセスで、ユーザーから問い合わせをいただいた内容に対してお答えしたり、場合によっては積極的にこちら側から声をかけて「このようにもっと活用できますよ」とお手伝いしたりしています。
財務基盤
鈴木:財務基盤について、B/Sも表示していますが、ご参考までにご覧いただければと思います。健全に運用しています。
通期業績予想に対する進捗率
鈴木:通期業績予想に対する進捗率ですが、順調に進んできていると思っています。2022年第2四半期終了時点で49パーセントです。
日根野:順調ですね。四半期ごとの季節性というか、第何四半期の売上が増えやすいというような傾向はあるのですか?
鈴木:大きな季節変動はなく、どちらかと言えば今はビジネス利用が増えているため、「その四半期にお休みの期間がどれだけあるか」の影響をけっこう受けやすくなっています。年々、ビジネス利用が増えれば増えるほど影響を受けるようになっています。今回の第2四半期は、我々は9月始まりのため12月から2月です。
日根野:年末年始の時ですね。
鈴木:本当は、第2四半期がある意味不利と言えば不利です。
日根野:でも伸びていますね。
鈴木:そのとおりです。
日根野:ビジネス利用が増えれば増えるほど、第2四半期、つまり12月と1月の休みが多い時期は減るということですね。
鈴木:みなさまがお休みすると、たとえばWebサイト制作やデザインは動かさないため、大きく落ちます。つまり、季節よりは、企業が稼働しているかどうかに影響を受けるというかたちです。
新テレビCMの放送
鈴木:最後のパートはトピックスです。これは少し簡単にご説明したいと思います。「TVCMを運用しています」という簡単なご紹介です。
ココナラ本体:プロダクトアップデート事例
鈴木:プロダクトのアップデート事例をいろいろと記載しているのですが、細かくなるため割愛します。いろいろな認定制度や、使い勝手がよくなるような機能開発をしています。
ココナラビジネス:中小企業を中心としたビジネスユーザーの注力
鈴木:「ココナラビジネス」についてです。ビジネス利用が伸びている中において、我々がどのようなところをターゲットとしているかというと、小規模から中規模くらいに関して、300万社を超える企業がいらっしゃいます。このような方々によりご利用していただきやすいような機能拡張を進めています。
ココナラビジネス:サービス概要
鈴木:具体的には、スライド左側にも記載のとおり、ビジネスに使いやすいような請求書払いや源泉徴収、あとは部署でご利用されることも多いため、複数人でプロジェクトを管理できる機能があったりします。
実際にこのようなものを追加すればするほど、スライドに掲載しているような大手の企業なども、安心してご利用いただけるようなプラットフォームになってきたと思います。
日根野:だから「ココナラ」と「ココナラビジネス」が分かれているわけですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:ビジネスだからこそ必要とされる機能がいろいろあるということですね。
鈴木:どのようなシーンで利用されているかというと、企業でも「新規事業はクイックに安く、いろいろな検証をしたい」というニーズがあると思うのですが、そこと我々の特性がマッチするというのが1つです。
また、リソース不足のようなところでは、DXなどいろいろなことに新しく取り組む時に、今までは、外から採用し、育成して馴染ませてトライしてきたと思います。しかし、「必要な時に外部から簡単に手を借りられた方がよいのではないか?」という世界観に変わってきており、そこにおいて我々はプロの人材を掲載しているため、うまくご利用いただけるのではないかということです。
マッチングの中で中間コストがないということで、購買コストを削減するというメリットもあります。
ココナラビジネスのご活用事例1/2
鈴木:ご利用事例等もスライドに挙げています。
ESGのマテリアリティマッピング
鈴木:ESGのマテリアリティマッピングというものを、今回初めて作成しました。
日根野:ESGは環境や社会によいというようなものですね。
鈴木:その中でも環境という観点の「E」の部分は、我々はオンラインで完結するサービスを行っていますので、あまり影響がなく、観点としては薄かったりします。一方で、ビジョンとして「一人ひとりが自分らしい世の中にしていく」という、このソーシャルの部分をより強調して、価値提供をしていきたいということです。
スライドのグラフは、縦軸が周囲のみなさまからの期待で、横軸は当社から見た重要性の高さです。右に行くほど重要性が高いのですが、右上のほうにソーシャル系のカテゴリーが固まっている状態になっています。
株主構成の変化
鈴木:私からの最後のパートですが、株主構成の変化です。昨年度末から今年の2月末にかけて機関投資家比率が大きい状態をキープしています。加えて、海外機関投資家のシェアが増えているということは、我々としてはポジティブに捉えています。
日根野:今からの時代にすごくマッチしたサービスを提供していることがよくわかりました。「ココナラ」のサービスが広がることで、一人ひとりの人が生きやすく、個性を発揮しやすい社会になるのだろうと思いました。
質疑応答:社名の由来について
日根野:まず、基本的なことからお聞きします。ココナラという社名の由来を教えてください。
鈴木:かわいいからという感じです。実はもともと、ココナラの社名はココラナだったのです。ココラナだった理由は、実は私も創業者ではないので知りません。「ココラナではなくてココナラのほうがよくない?」と途中で変わったのですが、今となっては「ここなら何でも叶う」「ここならすべてがそろう」というように、つじつまが合っていて語呂もよいため、結果としてよかったと思っています。
日根野:よいですね。「ここなら何でもできる」「ここなら自分の力が発揮できる」「ここなら欲しいサービスが見つけられる」と、よい言葉ですね。
鈴木:「最初からそのような体であった」としたほうがよいかもしれません。
日根野:本題から離れますが「社長さん、日に焼けていますね。アウトドア派ですか?」と質問が続いています。
鈴木:アウトドア派です。子どもが小さいので、一緒に川遊びを楽しむことがあります。
日根野:それはアウトドアですね。
鈴木:外で遊んであげることが多いので、肌も焼けます。
日根野:質問された方が的確でしたね。
質疑応答:出品サービスの健全化をはかる具体的な方策について
日根野:続いて、多少異なる角度から出品されるサービスについてお聞きします。サービスには、ウェブ制作のような誰でも提供できるものだけでなく、法規制を受けるものも含まれていると思います。
私も詳しくないため、違法かどうかはわかりませんが「代行ドライバーやタクシー営業になるような、いわゆる『よくない出品』はどのようにコントロールするのでしょうか?」というご質問をいただいています。
鈴木:特定のカテゴリではなく総論としてお伝えしますと、我々は違法性と倫理観をチェックする二段階の機能を有しています。まず、出品されたサービスは全件をチェックするようにしています。
サービスは何十万件とありますが、毎日地道に確認し、分かりやすく違法性のあるものは常にチェックしています。
大手弁護士事務所と協力し、どのようなものが違法かをリストにまとめ、かつアップデートや追加により情報を拡充し続けています。
そのリストに沿って全サービスをチェックし、明らかに違法性のあるものは全て削除します。これが第一段階です。さらに、人と人がマッチングするため、違法ではないが好ましくないものもあります。
そこで、第二段階としてココナラ独自のルールやマナーを制定し、人を不快に思わせる可能性があるサービスも取り下げています。以上のような取り組みとなっています。
日根野:取り扱い件数も圧倒的にナンバーワンですので、業界ナンバーワンのココナラが違法性の有無をどのようにチェックしているかは、投資家の方々も気になるところかと思います。法令違反だけでなく倫理上よくないものについても確認しているということでしょうか?
鈴木:おっしゃるとおりです。
質疑応答:競合サービスと比較した際の優位性について
日根野:続いて、私からも質問させてください。ココナラと似た競合サービスもあるかと思いますが、他のサイトよりもココナラが優れているポイントを教えてほしいです。
鈴木:我々と同じく、EC型でスキルをマッチングする会社自体が本当に少ないため、そもそもビジネスモデルがユニークだと思っています。
一部に、おそらくココナラを参考にし、ほぼ同じ構成を作っているような会社もあります。ただ、後発ですと、我々がすでに用意している数十万のサービス、数百万のレビューに勝つ術はありません。ですので、在庫とレビューの差によってユニークな部分が担保されているかと思います。
日根野:レビューが多いことにより、出品者、購入者のそれぞれにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
鈴木:モノと違い、サービスは目に見えないところが大きいです。そのため、相場観や安心感が弱い部分があります。出品者からすると、レビューが溜まれば、それを活用し、よりアピールすることができます。
人は「僕ってこんなにすごいんですよ」というより「これだけの様々な人に支持されています」という言葉で動くので、これは出品者にとって非常にうれしいことになります。
購入者も最初は不安があると思いますが、自分より前に利用した人が「とてもいい出品者さんでした。コミュニケーションもスムーズでクオリティもよくて、納期も守ってくれました」と言っていれば、安心してそこから買うようになります。ですので、やはりレビューは重要になります。
日根野:確かに他では、蓄積してきたレビューを真似することはなかなかできません。
むしろ貴社の件数の方が多いので、どんどん突き放すかたちになりますね。そのようなところが差別化のポイントになるのですね?
鈴木:おっしゃるとおりです。
「大型のマーケティング投資」の内容と効果検証の概要について
日根野:「『大型のマーケティング投資』とは、何を指しているのでしょうか?」という質問をいただいています。
鈴木:主に昨年の8月から実施しているTVCMになります。
日根野:TVCM以外に、ネット広告や電車広告などは実施していますか?
鈴木:ネット広告は定常的に実施しています。
日根野:検索結果に出てくるようなものでしょうか?
鈴木:それも含まれますし、バナー広告も該当します。また、すでにみなさまもご覧になっているかもしれませんが、YouTubeのようなサービスで流れる広告など、いろいろ組み合わせて取り組んでいます。ただ、電車広告は実施していません。
日根野:私もYouTubeの広告は拝見しました。
鈴木:ありがとうございます。我々は、基本的に効果検証できることを重要視していますので、電車広告だと難しいのではないかと判断しています。
日根野:TVCMも厳格に効果検証されているというお話でしたが、TVCMの効果はどのように検証するのですか?
鈴木:それは企業秘密です。ただ、TVCMの流れたエリア、局、時間は全て捕捉しています。また、今はいろいろなツールを駆使すると、どのエリアで会員登録が急増したかなどを把握することができますので、そのような動きと突き合わせ、分析しています。
質疑応答:トラブル発生時の各ケースにおける対策および考え方について
日根野:続いて、サービスについて異なる質問をさせていただきます。「購入者がクレーマー、つまり良識ある利用者ではなかった場合、出品者を守る仕組みはありますか?」という質問をいただいています。
鈴木:基本的にプロダクトでデジタルに対応することは難しいと思っています。そこで、先ほどお話しした、カスタマーサポートがあります。何かあった時、我々は仲介の立場として価値を発揮しなければなりません。ですので、そのような人間が間に入り、両者から丁寧にヒアリングした上で適切なサポートを実現します。
日根野:ここでカスタマーサポートの方が活躍してくれるのですね。
鈴木:この部分は意外とアナログにみえますが、我々の価値として非常に大きなポイントだと考えています。今まではダイレクトに対面し、知り合った上でお願いしている世界でした。そこから一歩飛躍し、我々のようなプロダクトを通じずにSNSなどで出会い、個人間がやりとりする世界があります。
そこと我々が入ることの一番の違いが、個人間で揉めてしまった時です。例えば、お金を持ち逃げされてしまうなど、SNSのつながりが切れたら一方的に逃げてしまうことが起きてしまいます。一方、我々はプラットフォームとしてみなさまの情報をお預かりしています。特に出品者の本人認証を実施した中で運営していますので、しっかりと最後までケアさせていただきます。納品が完了するところまで、確実に人間がフォロー、サポートする点が特長になります。
日根野:トラブルになるかもしれない時、助けてもらえることがよいですね。
鈴木:この安心感は何物にも代えがたいようです。「手数料高いよね」という声もありますが、「これだけやってくれるんだったら、この手数料って妥当だよね」とおっしゃってくださる方も多いと思っています。
日根野:例えばイラストを依頼したのに納品されなかったなどの問題が生じた時はどのように対応されるのでしょうか? この場合もやはりカスタマーサポートが出動しますか?
鈴木:その瞬間起きてしまった取引、起こってしまったことについてはカスタマーサポートが入ります。
さらに、そのようなことを再発させない、二次被害を防止する観点においては、起こしてしまった出品者に対して一定のペナルティがあったり、次にマッチングしなくなる仕組みを入れたりするなど、カスタマーサポートとは別途で次回以降の抑止力を考えています。
日根野:そのようなところもココナラが間に入ってくれる意義ですね。
質疑応答:中抜き防止の考え方について
日根野:お話しを聞いていて不思議に思ったのですが、出品者と購入者が「このような商品を作ってよ」とやり取りをしている内に仲良くなっていくと、「今度からは『ココナラ』を通さずに」という人が出てくることも考えられます。そのあたりについて、どのように対策されているのでしょうか?
鈴木:そのような場合の対策として、「ココナラ」がオンライン完結である点をうまく活用しています。我々は、取引成立だけでなくコミュニケーションも含めた全てが内製ツールで構成されています。
日根野:先ほども、チャットも「ココナラ」の中で行うというお話がありました。
鈴木:「ココナラ」内のやり取りはNGワードの抽出などが可能になっており、電話番号やメールアドレスの交換がなされていれば検知できるようになっているのです。
その中に注意喚起する仕組みもありますし、万が一そのような行為をしてしまうユーザーが出てしまった際は、そのユーザーに対して厳正に対処させていただくこともあります。
ただ、思想的には、厳しい対処などより、プロダクトの機能やカスタマーサポートの手厚さなどの部分で、「手数料が高い」という思いを上回る価値提供を実現していきたいのが本音です。
質疑応答:報酬トラブルを未然に防ぐ対策について
日根野:「ココナラ」で出品者が報酬をもらえないことも事前に防いでくれるのですか?
鈴木:もちろんです。
日根野:どのように防ぐのでしょうか?
鈴木:方法としては、金銭のやり取りがエスクロー形式で時間差があります。実は、購入者は取引が成立した瞬間、1回決済しているのです。
日根野:先払いのような感じですか?
鈴木:はい、先払いとなっています。ただ、そこで出品者に渡してしまうと持ち逃げされる可能性があるため、納品されるまで我々が預かっています。
確実に納品されて、はじめて出品者に報酬が渡されます。逆に、出品者が正しい納品をしているにもかかわらず、購入者が明らかにクレーマーで「キャンセルしたい」と言った場合も、「いや、それはできません。しっかり納品しているので、いただいている分は出品者に渡します。」と対応することができます。
このような部分がエスクローという、第三者が入るメリットの1つと言えます。
日根野:そこも「ココナラ」の価値ですね。
鈴木:そうですね。
日根野:これはよくできた仕組みです。物販でも、同じように個人が出品して買ってもらうプラットフォームがありますね? 仕組みとして、似たかたちになるということでしょうか?
鈴木:そうだと思います。
日根野:それのサービス版ですね。
鈴木:ただし、サービスの方が難しいと思います。物販は「モノが届いたか」「本物か偽物か」「壊れているか」といった観点ですが、サービスにおけるクオリティの満足は主観になります。
日根野:確かに難しいですね。
鈴木:そのため、運営が入っていくのがかなり難しいところがあります。「このクオリティレベルってひどくないですか?」と言われても、ひどいかどうかはその人の主観によってしまうのです。
このような点まで含め、運営が適切に、そしてできる限りフェアに介入していくことは、難易度として高いと思います。
日根野:だからCSの人が必要なのですね。確かに、物販の場合は写真に写していたものが届けば満足となりますが、サービスは違いますね。
質疑応答:オンラインのサービス提供が当たり前の社会に向けた「ココナラ」の役割について
日根野:次は会社のビジョンに近い質問です。「『ココナラ』でできることもできないこともあると思いますが、オンラインで知らない人に何かをお願いする価値観が根付く社会になっていくためには何が必要ですか?」というご質問です。
鈴木:非常に本質的な、我々がいつも考えていることですが、これは一朝一夕でどうにかできるものではありません。先ほどビジョンのパートでスライドを示してお話しした「3つの分野」の「フェアな取引」と言っている部分にあたりますが、結局は信用信頼の積み重ねだと思っています。
オンラインで誰かに何かをお願いすることは、現時点で不安だという価値観が大多数を占めると思います。
それでも、真摯に一件一件の取引において満足度を高めていくことを繰り返していけば、周囲で「ココナラ」を利用する人も少しずつ増えていきます。その中で「『ココナラ』を使ったけど、すごく便利だったよ。安心だったよ」という人が現れると、また次の人に派生し、便利になっていきます。
この流れは、モノの場合も同じだったと思います。今はモノにおいてCtoCを行っても、それほど不安はありません。
しかし、思い出してください。おそらく約20年前からその走りはありましたが、企業ではなく個人からモノを買うことは、「本当にそれって届くの?」という世界だったと思うのです。
日根野:確かに10年前や20年前はそうでした。
鈴木:今は当たり前に安心し、モノならば届くはずだと利用しているのですから、価値観の問題は時間が解消していきます。どれだけ信頼を獲得できるかについて、丁寧に真摯に向き合い続け、日々運営していくところが重要だと思っています。
日根野:時間は必要ですが、利用者一人ひとりがそのような社会へと進めていってくれるのですね。
鈴木:また、我々がスキルシェアのECプラットフォームにおけるリーディングカンパニーを自負していくのであれば、我々が評判を決めてしまうとも思っています。
我々が利益に走り、とりあえず足元でマッチングすればよい、売上高さえ上がればよいとすれば、マーケット自体が壊れてしまいます。今、0.6パーセントオンライン化しているものが、10年後には10パーセントまで大きくなるという世界観を壊してしまうのです。絶対に「やっぱりオンラインは怖い」と思わせてはいけないのです。
日根野:そのような意味において、先ほどお話しされていたような、出品されているものが法律に違反していないか、倫理に反していないかをチェックしてくれている対策は、買う側にとって非常に安心です。
買う側に悪意はなくても、知らない間に買ってはいけないサービスを買ってしまうことになる可能性もあるわけです。
鈴木:おっしゃるとおりです。
日根野:将来的にこの市場を大きくしていく上で、トップのココナラがそのようなことをきっちりと管理してくれているのは、非常に大切なことです。
質疑応答:「ココナラ」の実現する夢、魅力について
日根野:お客さまの声を直接聞く機会はないのかもしれませんが、「ココナラ」を運営していてうれしかったこと、「やっててよかった」「喜んでもらえた」といった経験があれば教えてほしいです。
鈴木:たくさんあります。「ココナラ」では、「その人らしくあるための選択肢」を提供できている瞬間に多く出会うことができます。これまでと違い、夢をかなえる手段や選択肢が増えたためだと思います。
例えばデザイナーやイラストレーターとして一本立ちしたい場合、昔は高校の時からそのような未来を描き、美大に通い、そのような企業やデザイン事務所に就職し、経験を積んで独立するルートがありました。
そうしなければ、なれない部分もあったと思います。しかし、今は思い立ったらいつでもスモールスタートから始めることができます。「ココナラ」で1,000円や2,000円からでも売ってみます。
本人にスキルやコミュニケーション能力があり、支持されれば、さらに5,000円、10,000円、50,000円と売っていくことも可能です。気付けば、「これで食べていける」となり、そこから独立することもできます。場合によっては「ココナラ」が本業になるわけです。
「私、気づいたら好きなことで生活できてました」という声を本当に多くいただいていて、そのようなお話は大変うれしいです。
日根野:おっしゃるように、「ココナラ」の仕組みがあれば、メインの仕事があっても、最初は副業のかたちでやってみるところからチャレンジできます。
鈴木:「この年齢になってから夢がかなうと思っていませんでした」「組織に属していないとできないと思っていたけれど、個人でも世の中につながり、人から必要としていただくことってできるのですね」と本当に多くの方に言っていただるので、その声が非常に大きなやりがいになっています。
日根野:例えば「65歳で会社を定年退職しました」という人も出品しているのですか?
鈴木:そのような方は、まさにゴールデンコースです。「人生100年時代」といわれている今、65歳は残り35年もあると考えると、スキルも知識も経験も脂が乗り切って十分なわけです。
問題があるとするなら体力が多少弱くなったくらいで、定年退職後、隠居生活に入るのはあまりにももったいないです。
そのような方々が「ココナラ」を通じて、若い方や社会にもっと貢献することができるようになってきたのです。
日根野:それはよい時代ですね。
代表取締役社長CEO鈴木歩氏からご挨拶
日根野:今日は、予想していた以上に世の中に必要とされているサービスだと実感しました。
鈴木:ありがとうございます。
日根野:今回、たくさんの個人投資家の方がご覧になっています。よろしければ、投資家のみなさまへ一言いただきたいと思います。
鈴木:我々が掲げているビジョンでもある「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」を信じ、そこへ向かって進んでいます。まだ道半ばではありますが、ユーザーのみなさま、そして支えてくださる投資家のみなさまのご支援があってこそだと思いますので、ぜひ今後ともサポートのほどよろしくお願いいたします。
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