3. 財務状況と経営指標
貸借対照表を見ると、2020年9月期末における総資産は前期末比133百万円増加し9,910百万円となった。これは、現金及び預金の増加(1,258百万円)、受取手形及び売掛金の減少(401百万円)などにより流動資産が811百万円増加したこと、及びのれんが償却及び減損により609百万円減少したことが主な要因である。
負債合計は前期末に比べ1,061百万円減少し4,514百万円となった。これは、短期借入金の減少(309百万円)、未払法人税等の増加(295百万円)、転換社債型新株予約権付社債の減少(1,000百万円)が主な要因である。純資産は5,396百万円となり、前期末に比べ1,194百万円増加した。これは、転換社債型新株予約権付社債の株式への転換により1,000百万円、新株予約権の行使による払込により243百万円増加したこと等により資本金及び資本準備金がそれぞれ623百万円増加したことによる。
キャッシュ・フローの状況を見ると、2020年9月期末における現金及び現金同等物は前期末に比べ1,257百万円増加し3,363百万円であった。キャッシュ・フローごとの増減要因を見ると、営業キャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益805百万円に対し、のれん償却額293百万円、売上債権の減少353百万円などがプラス要因であり、投資有価証券売却益1,186百万円、その他の流動資産の増加額106百万円、法人税等支払い額147百万円などのマイナス要因を合算した結果、127百万円の収入となった。投資キャッシュ・フローは、有価証券の売却による収入1,221百万円などにより1,287百万円の収入となった。財務キャッシュ・フローは、長期借入金の純増が234百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入243百万円などの一方で、短期借入金の純減299百万円、自己株式の取得による支出83百万円、配当金の支払額200百万円などがあったことにより、133百万円の支出であった。
経営指標を見ると、健全性を表す自己資本比率は49.8%と前期末比12.7ポイント改善、流動比率は207.5%で同31.8ポイント改善、有利子負債比率は短期借入金の減少で44.0%と同21.5ポイント改善した。転換社債の株式転換や新株予約権行使によって自己資本が拡充し、健全性は向上した。一方で、営業赤字となったことにより、収益性を表すROA(総資産経常利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)、売上高営業利益率などは前期比で悪化した。
なお、投資有価証券の売却や転換社債型新株予約権付社債の行使などにより、2020年9月期末現在で現金及び現金同等物残高が3,363百万円と過去最高額となり、M&Aを含めた戦略的投資に備え、今後の事業拡大に期待できる状況となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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